【完結】敵対騎士の懐かせ方

琉海

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本当に欲しいもの(2)

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「はぁはぁ……強ぇ…」

もう動けないと肩で息をするカイルはそのままフィールドの上に倒れ込んだ。勝敗はカイルの全敗というディオの圧勝。何度、もう一度だと挑んでも結果は変わらない。悔し気に拳を握り震えるカイルがいたが、ディオとってはそんな事どうでもよかった。

やっと、やっとだ。

カイルに近づき腰を下ろしたディオが屈託なく笑う。

「約束守れよ。今日からお前は俺の騎士だ。さっさと前の主なんて忘れちまえ」
「……約束だからな」

はぁと再度深いため息をついて呼吸を整えたカイルは横にしていた体を起こし、ディオの前で片膝をついて頭を垂れる。

「カイル・バルアーノの名に懸けて、この身に代えても貴方様を守りぬく事を誓います」

ディオの右手をとって手の甲にキスをする。

そんなカイルをディオは少し複雑な表情を浮かべて見ていた。決して命を懸けて守って欲しい訳ではないのだ。だが、それを口にするのは憚れた。

黙って普段はこんなに近くで見る事のない銀色の髪を撫でる。その感触は存外、柔らかかった。
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