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欲しいもの(1)
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「新しい主人、探し、じゃね…?」
「は?」
返ってきた答えはディオが一番最初に予想から外したものだった。騎士として生きる者は主人を一人だけだと決めている者が多い。
例外もいるが、主人の後を追う事を選んだカイルは前者のはずだ。なのに出した答えは新しい主人。沸々と怒りが湧いてきた。
俺を殺して、また知らない誰かに忠誠を誓う…?
「流石にもう、あん時のような、後悔とか、負い目とか。そういった気持ちは薄れてて。あの人には感謝してる、けど……もう後を追いたい、ってのは、ない、な」
言葉を切りながら自分自身の気持ちを確かめるようにゆっくりと紡いでく。ディオはそれをただ黙って聞く事しか出来なかった。まるで夢でも見ているような心地だ。本当に目の前にいる男はディオが求め続けた男なのかと疑った。
「でも、目的なしで生きてく、ってのはなんつーか、性に合わねえ。直ぐには難しいかもだけど……新しい主人が欲しい」
言葉にした事で漸く気持ちに整理ができたのか、カイルは自分を肯定するように何度も首を縦に振る。本当に新しい主人を求めるつもりでいるのだ。
あぁ、夢じゃない。漸く、理解した。
これは現実だ。
「は?」
返ってきた答えはディオが一番最初に予想から外したものだった。騎士として生きる者は主人を一人だけだと決めている者が多い。
例外もいるが、主人の後を追う事を選んだカイルは前者のはずだ。なのに出した答えは新しい主人。沸々と怒りが湧いてきた。
俺を殺して、また知らない誰かに忠誠を誓う…?
「流石にもう、あん時のような、後悔とか、負い目とか。そういった気持ちは薄れてて。あの人には感謝してる、けど……もう後を追いたい、ってのは、ない、な」
言葉を切りながら自分自身の気持ちを確かめるようにゆっくりと紡いでく。ディオはそれをただ黙って聞く事しか出来なかった。まるで夢でも見ているような心地だ。本当に目の前にいる男はディオが求め続けた男なのかと疑った。
「でも、目的なしで生きてく、ってのはなんつーか、性に合わねえ。直ぐには難しいかもだけど……新しい主人が欲しい」
言葉にした事で漸く気持ちに整理ができたのか、カイルは自分を肯定するように何度も首を縦に振る。本当に新しい主人を求めるつもりでいるのだ。
あぁ、夢じゃない。漸く、理解した。
これは現実だ。
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