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知りたくなかった現実(11)

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「うー……」
「お前はバカか。濡れたまま寝たら風邪を引くに決まってるだろ」
「ぅるさい…」

布団に包まり呻き声をあげる。

いつもみたいに言い返したいのに気力が出ない。

体が熱い、頭が痛い。腕を上げる事すら億劫だった。そういえば風邪を引くのは生まれて初めてかもしれない。

「死ぬ、のか…?」
「この程度で死んでたら、世の中死人だらけだぞ」

呆れた表情を浮かべたヴァルガの手が愁玲の額に触れる。ひんやりとしていて、その温度に愁玲は目を閉じた。

「食欲はあるか?」
「……たぶん」
「じゃあ薬も飲めるな」
「液体で苦くないヤツ」
「子どもか」
「今だけは子どもだ」
「仕方ねぇな。薬師に作らせてやるから、今はさっさと寝ろ」
「ん…」

昨日は眠りが浅かった事もあり愁玲の意識は直ぐに微睡んでしまう。あと数分も経たずに夢の世界に旅立ちそうだ。そう思ったのにヴァルガの一言で目が覚める。

「コレも邪魔だろ、外すぞ」
「いい!」

パシッと乾いた音が部屋に響く。伸ばされたヴァルガの手を愁玲が払い落とした。

「あ、悪い…。でもコレはこのままで良い、から」

首から下げていたネックレスを握りしめる。

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