18 / 71
目覚めの日(12)
しおりを挟むさっきまでなら、どうだって胸を張ってただろうが今はコレが正しいのかさえ分からなくて自信がない。今までこんな気持ちになった事がない。悲しい?寂しい?よく分からないが、目の奥が熱くなるみたいに涙が出てきそうになって耐えるようにヴァルガを見つめる事しか出来なかった。
「ふはっ!」
「ぅわ!」
笑い声と同時に頭に衝撃を喰らう。叩かれたとかそんなんじゃない。大きな手のひらが今も頭の上で髪をくしゃくしゃと撫でていた。
「朝の言葉は撤回だ」
「はあ!?」
「自分の頭で考えられる。自分で行動できる。お前は思ったよりバカじゃねぇ」
「っ…!」
耳に残るのは出来た兄と比較し愁玲を拙す声ばかり。こんなことを言われたのは生まれて初めてだった。
ここに来てからヴァルガの事ばかり見てた。初めは怒った顔、それから不機嫌で揶揄するような腹の立つ顔。
いつの間にこんな笑う顔に変わってたんだろう。
「思ったように生きてみろ。今のお前なら悪くねえ生き方が出来るはずだ」
そう言われて次に大きく目を見開くのは愁玲の番だった。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
死に戻り悪役令息が老騎士に求婚したら
深凪雪花
BL
身に覚えのない理由で王太子から婚約破棄された挙げ句、地方に飛ばされたと思ったらその二年後、代理領主の悪事の責任を押し付けられて処刑された、公爵令息ジュード。死の間際に思った『人生をやり直したい』という願いが天に通じたのか、気付いたら十年前に死に戻りしていた。
今度はもう処刑ルートなんてごめんだと、一目惚れしてきた王太子とは婚約せず、たまたま近くにいた老騎士ローワンに求婚する。すると、話を知った実父は激怒して、ジュードを家から追い出す。
自由の身になったものの、どう生きていこうか途方に暮れていたら、ローワンと再会して一緒に暮らすことに。
年の差カップルのほのぼのファンタジーBL(多分)
異世界人は愛が重い!?
ハンダココア
BL
なぜか人から嫌われる体質で、家族からも見放され、現世に嫌気がさしたので自殺したら異世界転生できました。
心機一転異世界生活開始したけど異世界人(♂)がなぜか僕に愛の言葉を囁いてきます!!!!!
無自覚天然主人公は異世界でどう生きるのか。
主人公は異世界転生してチート能力持っていますが、TUEEEE系ではありません。
総愛され主人公ですが、固定の人(複数)としか付き合いません。
マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
【完結】消えた一族
華抹茶
BL
この世界は誰しもが魔法を使える世界。だがその中でただ一人、魔法が使えない役立たずの少年がいた。
魔法が使えないということがあり得ないと、少年は家族から虐げられ、とうとう父親に奴隷商へと売られることに。その道中、魔法騎士であるシモンが通りかかりその少年を助けることになった。
シモンは少年を養子として迎え、古代語で輝く星という意味を持つ『リューク』という名前を与えた。
なぜリュークは魔法が使えないのか。養父であるシモンと出会い、自らの運命に振り回されることになる。
◎R18シーンはありません。
◎長編なので気長に読んでください。
◎安定のハッピーエンドです。
◎伏線をいろいろと散りばめました。完結に向かって徐々に回収します。
◎最終話まで執筆済み
音楽の神と呼ばれた俺。なんか殺されて気づいたら転生してたんだけど⁉(完)
柿の妖精
BL
俺、牧原甲はもうすぐ二年生になる予定の大学一年生。牧原家は代々超音楽家系で、小さいころからずっと音楽をさせられ、今まで音楽の道を進んできた。そのおかげで楽器でも歌でも音楽に関することは何でもできるようになり、まわりからは、音楽の神と呼ばれていた。そんなある日、大学の友達からバンドのスケットを頼まれてライブハウスへとつながる階段を下りていたら後ろから背中を思いっきり押されて死んでしまった。そして気づいたら代々超芸術家系のメローディア公爵家のリトモに転生していた!?まぁ音楽が出来るなら別にいっか!
そんな音楽の神リトモと呪いにかけられた第二王子クオレの恋のお話。
完全処女作です。温かく見守っていただけると嬉しいです。<(_ _)>
転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
俺の死亡フラグは完全に回避された!
・・・と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ラブコメが描きたかったので書きました。
【完結】ゆるだる転生者の平穏なお嫁さん生活
福の島
BL
家でゴロゴロしてたら、姉と弟と異世界転生なんてよくある話なのか…?
しかも家ごと敷地までも……
まぁ異世界転生したらしたで…それなりに保護とかしてもらえるらしいし…いっか……
……?
…この世界って男同士で結婚しても良いの…?
緩〜い元男子高生が、ちょっとだけ頑張ったりする話。
人口、男7割女3割。
特段描写はありませんが男性妊娠等もある世界です。
1万字前後の短編予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる