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目覚めの日(10)
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窓の外は暗くなり、廊下の明かりが灯った頃。今日の夕餉の時間が始まろうとしていた。
一人で昼にサデュアに案内された場所まで来た。
腹が空いたら飯の時間。ずっとそうだったのに、今日だけは食事をせずに寝てしまいたかった。本当はここに来たくなかった。でもベッドの上で目を閉じても、腹がグウグウ鳴るのが耳につくだけで眠れなかった。
ドアノブに手をかけて目を閉じる。昼に見たヴァルガの顔を思い出した。考えれば考えるほど、頭は悪い方へと傾いていく。
その時また腹の音が鳴った。
「………お腹すいた」
結局、食欲には勝てなくて ゆっくりとドアを開く。
ドアの隙間から中を覗く。昼と変わらない。既にヴァルガは座っていて壁際に執事と侍女が立っている。ここまで来たのにまだ逃げ出したい気持ちになってる。足を一歩後ろに引いた時、コッチを見てたヴァルガが立ち上がった。
「どうした?」
身長の高いヴァルガは歩けば数歩でドアの前まで辿り着いてしまう。上から下まで視線を何度も往復させる姿から逃げるように俯いた。そんな覇気のない愁玲の頬にヴァルガの指が触れる。
一人で昼にサデュアに案内された場所まで来た。
腹が空いたら飯の時間。ずっとそうだったのに、今日だけは食事をせずに寝てしまいたかった。本当はここに来たくなかった。でもベッドの上で目を閉じても、腹がグウグウ鳴るのが耳につくだけで眠れなかった。
ドアノブに手をかけて目を閉じる。昼に見たヴァルガの顔を思い出した。考えれば考えるほど、頭は悪い方へと傾いていく。
その時また腹の音が鳴った。
「………お腹すいた」
結局、食欲には勝てなくて ゆっくりとドアを開く。
ドアの隙間から中を覗く。昼と変わらない。既にヴァルガは座っていて壁際に執事と侍女が立っている。ここまで来たのにまだ逃げ出したい気持ちになってる。足を一歩後ろに引いた時、コッチを見てたヴァルガが立ち上がった。
「どうした?」
身長の高いヴァルガは歩けば数歩でドアの前まで辿り着いてしまう。上から下まで視線を何度も往復させる姿から逃げるように俯いた。そんな覇気のない愁玲の頬にヴァルガの指が触れる。
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