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目覚めの日(8)

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昼に見たヴァルガの驚いた顔が何度も頭の中に浮かぶ。

やろうと思えばちゃんと出来るんだ。相手を欺けたみたいで、とても気分が良い。無意識に鼻歌を歌いながら足をバタつかせた。

元々は馬鹿にしてきたヴァルガを見返すためだけに開いた本だった。内容は理解できないし、文字ばかりで面白くない。あまりのつまらなさに何度も読むのを止めようと思った。でもそれをしなかったのは、ただの意地だった。

数時間前に読んでいた本と同じなのに、今はすんなりと頭の中に入ってくる。それは別に腹が満たされたからじゃないだろう。


ヴァルガに渡された本はミリューク王国について書かれた本だった。

愁玲が住んでいた国は一年中、穏やかな気候が続く過ごしやすい国だ。だがミリューク王国は温暖な気候で一言でいえば暑い。

愁玲の髪は長い。解いていると腰くらいまである。その長髪を上で一つで結んでも暑さはあまり逃げなかった。雨もめったに降らないため、窓は付けられておらず生温い風が頬を掠め通りぬけていく。

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