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38 それぞれの戦闘準備
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ローベルトは、簡易にしつらえられた日よけの下で、兵たちの配備が進むのを待っている。
蛮族の騎士団本部まで、300メートルも無い距離。位置的には、大手門の内側の場所。そろそろ自分も、大手門を出て最前線まで進むつもりでいる。
場合によっては、神使の力を用い、蛮族の根拠地たる建物を破壊するのもやぶさかではない。
だがまずは、この兵力差。
敵1000程度に対し、こちらは3万。
準備さえ整えば、号砲とともに、鎧袖一触、叩き潰すことになるだろう。
『配置は終わったか?』
『順次進んでおります。ただし、敵の北東より進む部隊の配置に、あとしばしのご猶予を』
『急がせろ。……我自身も、前に進む。馬の準備を』
一番距離を進む部隊の配置が遅れている。大軍の為仕方がないとはいえ、待ちされるのは気に食わない。
『若、蛮族の地でございますぞ。大将がおわす場所は、ここでも十分でございます』
『爺、軍を率いる者が、後ろに控えて居ては公爵家の恥よ』
常に苦言を呈する老騎士に、つい苦笑いが浮かぶ。
ローベルトは、本陣を出来るだけ前に置くことを好んだ。それは、初陣の折に見た、自分と同年代の指揮官が先陣を切り、敵へ突撃していくのを見たときに決めたこと。常に自ら騎馬を操り、先頭に立つ同い年の将軍を見た時から変わらない。
(奴には負けぬ)
自分が初陣を飾ったそのころから、天才の名を欲しいままにしていた男に負けたくない気持ちは、立場が越えた今でも消えていない。
『後方で、全軍を俯瞰的に見ることこそ将の務めでございます』
いつも同じやりとりを飽きることなく繰り返す老騎士に、ローベルトの苦笑もさらに濃くなる。
『閣下』
側近が傍に寄り、片膝をつく。
『何用ぞ?』
『は。敵の航空騎兵らしきものが、接近してまいります』
『ほう』
隧道を出た時、真上を飛んでいた者たちを叩き落としたばかりだというのに、懲りずに、また来たようだ。
促され、東の空を見ると、さきほどの物より細く伸ばしたような箱型の魔道具が飛んでいる。
『リヒトホーフェン男爵に伝えよ。「空の勇者の力を見せよ、聖王国軍の空へ踏み入るものを排除せよ」と』
『かしこまりました!』
側近が頭を下げ、腰を上げるのと入れ替わりに、別の高級騎士が指揮官の足元でひざを折る。
『何用か?』
『は。ミシェル・アステル子爵より、魔道通信が入りましてございます』
『ほう……バサラの話では、蛮族に寝返ったという話だったが……』
ローベルトは楽し気につぶやくと、片手をあげ、近くに控える幕僚たちを呼び寄せる
『それで?』
『バサラ伯爵の、蛮族━━二ホン国への密約の証拠を入手。これより、二ホン国騎士団本部にて脱出を決行するゆえ、軍へ回収・援護を願いたい。以上でございます』
『ほう』
ローベルトは、ひげの先を紙縒りのようにいじり、幕僚を見渡す。
『どう思う?』
『ワナ……でしょうか?』
『バサラ将軍は、アステル子爵こそが二ホン国へ裏切ったとおっしゃられておられましたな』
『アステル家の者が裏切るとは信じられぬ。まさに公爵様をや』
『彼の方の言葉こそ、どれほど信じるべきか』
『ならば裏切ったという話こそが、バサラ将軍の詐言か……』
『ふむ……会ってみるか』
意見を聞きつつ、ローベルトは、目を細める。
『子爵も、自分の行動が男爵家にどのような影響をもたらすか、よくわかっておるはず。にも関わらず、バサラが、“子爵が裏切ったという話をしてきた”という事は、我らが忍ばせた“埋伏の毒”と気付き切り捨てたと考えるべきだ』
『……』
『そして、子爵は、それを見越したうえで、バサラめの裏切りの証を手に入れた、ということではないか?』
ローベルトの考えに、幕僚たちは、そっとお互いに視線を交し合う。
反対の意見の無いことに、ローベルトは、少し不満げに口の端を歪める。おそらく、反対意見が出ても、同じ顔をしただろうが。
『危険でございますな。子爵が裏切っていた場合、狙いは指揮官閣下のお命』
老騎士だけが反対の意思を示す。
『一発逆転を狙ってか? こいつがいるのにか?』
ひげを弄るのとは、逆の手に王杓を掴む。
空から、音もなく、ローベルトの傍らに、襤褸をまとった小さな体が降り立つ。
『ばけもの、我を守れ』
神使は、黙ったまま、何の反応も示さない。
けれど、ローベルトも、その様子を気にすることなく、部下に指示を与える。
『本陣を進める。行くぞ』
ローベルトは、立ち上がり、小姓の引いてきた愛馬へと向かう。
小さな神使が音もなく続き、幕僚たちも慌てて後を追った。
「ミサイルって、竜とかグリフォンに当たるのかな?」
すぐ真上の空を、轟音を奏でて、F15が上空を飛び去る。それを見上げながら、友兼は、疑問を口にする。
友兼と雛菊、それにミシェルは、警察本部裏側の玄関口で準備を整えている。
それぞれが大きめのマスクを着けている。マスク自体を濡らし、その上、マスクと口の間に濡れたハンカチを仕込んでいる。
「濡れたタオルとペットボトル」
「うい」
友兼より受け取り、雛菊はポーチにしまう。
「先生、自衛隊より連絡です。梅田方面は展開中、準備が整い次第、橋の奪還にかかります。難波宮跡公園方面につきましては、順次到着をはじめました」
「了解です。ありがとうございます」
報告する下島に礼を言い、ヘルメットを雛菊に渡す。
「自衛隊、間に合いそうなん?」
受け取ったヘルメットを被り、雛菊は自分であご紐をつけようとして手を止め、友兼に向けて顎を突き出す。
「どうだろ? 着いてすぐ突撃ってことは出来ないだうろしね。それに、神使は排除したい」
雛菊の顎ひもを付けてあげて、同様にミシェルのあご紐も取り付ける。
友兼は、ヘルメットの代わりに、顔を丸ごと隠す兜を被り、ミシェルに革ひもを留めてもらう。
『ミシェルさん、危険なことをさせてすみません』
『ミシェルちゃん、無理言うてごめんね』
『なに、バサラ様のご命令とあれば、この命喜んで捧げよう』
ミシェルは外連味《けれんみ》の無い笑みで応える。
そこに、地下から、バイクが2台運び出されて来る。そのサドルにクリストが取りつき、興味深そうに、その乗り物を見ている。
「葵ちゃんが、バイク運転できるとは意外」
「よー言われる。……あ、先生?」
バイクのハンドルに手をかけた雛菊が、わざと背中を向けてから、横顔だけで友兼を振り返る。笑みを消し、真面目な顔付きになる。
「ん?」
「さよなら」
「……?」
「別れ際にさよならなんて悲しいこというなよ━━はい、どうぞ」
ポカンとしている友兼に、雛菊が無理やり続きを言わせようとする。
「わ、わかれぎわに、サヨナラ、なんていう、なヨ?」
「ごめんなさい、こんな時どんな顔したらエエかわからないの」
雛菊は、シリアスな顔のまま、少しうつむく。
「……ワ、ワラエバイイト思フヨ」
友兼の番のセリフに、雛菊はニパッ~と笑顔になる。
「この小芝居いる?」
付き合ったものの、あきれ顔で友兼は聞く。
「えー、いつか映画化されたときに、うちの印象的なカットあった方がエエやん?」
「パクリですけどね?」
「……うーん、じゃあ、緊張感ほぐす為です!」
「『じゃあ』って言ってる時点で……」
その時、警察本部の正面側で、ポンポンポンという音と共に、催涙弾が発射され始めた。
催涙弾は、聖王国の陣地内に転がり、白い煙を大量に吐き出し、周囲を白く靄の中へと埋めていく。
出発の時間。
雛菊の強制ミニコントのおかげで、肩から力が抜けている。
友兼は、バイクにまたがると、ミシェルをその後ろに乗せる。
『ミシェルさん、しっかり腰を掴んでてくださいね』
準備は整った。
蛮族の騎士団本部まで、300メートルも無い距離。位置的には、大手門の内側の場所。そろそろ自分も、大手門を出て最前線まで進むつもりでいる。
場合によっては、神使の力を用い、蛮族の根拠地たる建物を破壊するのもやぶさかではない。
だがまずは、この兵力差。
敵1000程度に対し、こちらは3万。
準備さえ整えば、号砲とともに、鎧袖一触、叩き潰すことになるだろう。
『配置は終わったか?』
『順次進んでおります。ただし、敵の北東より進む部隊の配置に、あとしばしのご猶予を』
『急がせろ。……我自身も、前に進む。馬の準備を』
一番距離を進む部隊の配置が遅れている。大軍の為仕方がないとはいえ、待ちされるのは気に食わない。
『若、蛮族の地でございますぞ。大将がおわす場所は、ここでも十分でございます』
『爺、軍を率いる者が、後ろに控えて居ては公爵家の恥よ』
常に苦言を呈する老騎士に、つい苦笑いが浮かぶ。
ローベルトは、本陣を出来るだけ前に置くことを好んだ。それは、初陣の折に見た、自分と同年代の指揮官が先陣を切り、敵へ突撃していくのを見たときに決めたこと。常に自ら騎馬を操り、先頭に立つ同い年の将軍を見た時から変わらない。
(奴には負けぬ)
自分が初陣を飾ったそのころから、天才の名を欲しいままにしていた男に負けたくない気持ちは、立場が越えた今でも消えていない。
『後方で、全軍を俯瞰的に見ることこそ将の務めでございます』
いつも同じやりとりを飽きることなく繰り返す老騎士に、ローベルトの苦笑もさらに濃くなる。
『閣下』
側近が傍に寄り、片膝をつく。
『何用ぞ?』
『は。敵の航空騎兵らしきものが、接近してまいります』
『ほう』
隧道を出た時、真上を飛んでいた者たちを叩き落としたばかりだというのに、懲りずに、また来たようだ。
促され、東の空を見ると、さきほどの物より細く伸ばしたような箱型の魔道具が飛んでいる。
『リヒトホーフェン男爵に伝えよ。「空の勇者の力を見せよ、聖王国軍の空へ踏み入るものを排除せよ」と』
『かしこまりました!』
側近が頭を下げ、腰を上げるのと入れ替わりに、別の高級騎士が指揮官の足元でひざを折る。
『何用か?』
『は。ミシェル・アステル子爵より、魔道通信が入りましてございます』
『ほう……バサラの話では、蛮族に寝返ったという話だったが……』
ローベルトは楽し気につぶやくと、片手をあげ、近くに控える幕僚たちを呼び寄せる
『それで?』
『バサラ伯爵の、蛮族━━二ホン国への密約の証拠を入手。これより、二ホン国騎士団本部にて脱出を決行するゆえ、軍へ回収・援護を願いたい。以上でございます』
『ほう』
ローベルトは、ひげの先を紙縒りのようにいじり、幕僚を見渡す。
『どう思う?』
『ワナ……でしょうか?』
『バサラ将軍は、アステル子爵こそが二ホン国へ裏切ったとおっしゃられておられましたな』
『アステル家の者が裏切るとは信じられぬ。まさに公爵様をや』
『彼の方の言葉こそ、どれほど信じるべきか』
『ならば裏切ったという話こそが、バサラ将軍の詐言か……』
『ふむ……会ってみるか』
意見を聞きつつ、ローベルトは、目を細める。
『子爵も、自分の行動が男爵家にどのような影響をもたらすか、よくわかっておるはず。にも関わらず、バサラが、“子爵が裏切ったという話をしてきた”という事は、我らが忍ばせた“埋伏の毒”と気付き切り捨てたと考えるべきだ』
『……』
『そして、子爵は、それを見越したうえで、バサラめの裏切りの証を手に入れた、ということではないか?』
ローベルトの考えに、幕僚たちは、そっとお互いに視線を交し合う。
反対の意見の無いことに、ローベルトは、少し不満げに口の端を歪める。おそらく、反対意見が出ても、同じ顔をしただろうが。
『危険でございますな。子爵が裏切っていた場合、狙いは指揮官閣下のお命』
老騎士だけが反対の意思を示す。
『一発逆転を狙ってか? こいつがいるのにか?』
ひげを弄るのとは、逆の手に王杓を掴む。
空から、音もなく、ローベルトの傍らに、襤褸をまとった小さな体が降り立つ。
『ばけもの、我を守れ』
神使は、黙ったまま、何の反応も示さない。
けれど、ローベルトも、その様子を気にすることなく、部下に指示を与える。
『本陣を進める。行くぞ』
ローベルトは、立ち上がり、小姓の引いてきた愛馬へと向かう。
小さな神使が音もなく続き、幕僚たちも慌てて後を追った。
「ミサイルって、竜とかグリフォンに当たるのかな?」
すぐ真上の空を、轟音を奏でて、F15が上空を飛び去る。それを見上げながら、友兼は、疑問を口にする。
友兼と雛菊、それにミシェルは、警察本部裏側の玄関口で準備を整えている。
それぞれが大きめのマスクを着けている。マスク自体を濡らし、その上、マスクと口の間に濡れたハンカチを仕込んでいる。
「濡れたタオルとペットボトル」
「うい」
友兼より受け取り、雛菊はポーチにしまう。
「先生、自衛隊より連絡です。梅田方面は展開中、準備が整い次第、橋の奪還にかかります。難波宮跡公園方面につきましては、順次到着をはじめました」
「了解です。ありがとうございます」
報告する下島に礼を言い、ヘルメットを雛菊に渡す。
「自衛隊、間に合いそうなん?」
受け取ったヘルメットを被り、雛菊は自分であご紐をつけようとして手を止め、友兼に向けて顎を突き出す。
「どうだろ? 着いてすぐ突撃ってことは出来ないだうろしね。それに、神使は排除したい」
雛菊の顎ひもを付けてあげて、同様にミシェルのあご紐も取り付ける。
友兼は、ヘルメットの代わりに、顔を丸ごと隠す兜を被り、ミシェルに革ひもを留めてもらう。
『ミシェルさん、危険なことをさせてすみません』
『ミシェルちゃん、無理言うてごめんね』
『なに、バサラ様のご命令とあれば、この命喜んで捧げよう』
ミシェルは外連味《けれんみ》の無い笑みで応える。
そこに、地下から、バイクが2台運び出されて来る。そのサドルにクリストが取りつき、興味深そうに、その乗り物を見ている。
「葵ちゃんが、バイク運転できるとは意外」
「よー言われる。……あ、先生?」
バイクのハンドルに手をかけた雛菊が、わざと背中を向けてから、横顔だけで友兼を振り返る。笑みを消し、真面目な顔付きになる。
「ん?」
「さよなら」
「……?」
「別れ際にさよならなんて悲しいこというなよ━━はい、どうぞ」
ポカンとしている友兼に、雛菊が無理やり続きを言わせようとする。
「わ、わかれぎわに、サヨナラ、なんていう、なヨ?」
「ごめんなさい、こんな時どんな顔したらエエかわからないの」
雛菊は、シリアスな顔のまま、少しうつむく。
「……ワ、ワラエバイイト思フヨ」
友兼の番のセリフに、雛菊はニパッ~と笑顔になる。
「この小芝居いる?」
付き合ったものの、あきれ顔で友兼は聞く。
「えー、いつか映画化されたときに、うちの印象的なカットあった方がエエやん?」
「パクリですけどね?」
「……うーん、じゃあ、緊張感ほぐす為です!」
「『じゃあ』って言ってる時点で……」
その時、警察本部の正面側で、ポンポンポンという音と共に、催涙弾が発射され始めた。
催涙弾は、聖王国の陣地内に転がり、白い煙を大量に吐き出し、周囲を白く靄の中へと埋めていく。
出発の時間。
雛菊の強制ミニコントのおかげで、肩から力が抜けている。
友兼は、バイクにまたがると、ミシェルをその後ろに乗せる。
『ミシェルさん、しっかり腰を掴んでてくださいね』
準備は整った。
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