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<2・加藤ツクモ相談所>
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どこか陰鬱な住宅を抜けると、まるで世界が変わったように煌びやかな大通りに出た。二車線道路を、ヘッドライトをつけた車があっちにこっちと行き来している。
「わあ……」
こんなに大きな道路、殆ど見たことがない。あの住宅街を出たら少しは見慣れた景色が出てくるかと思ったが、残念ながらそこまで甘い話ではないようだった。もっとも、目立つ看板でもない限り大通りの景色なんてどこも似たようなものである。見覚えがある、なんて記憶があっても感じることは難しいのかもしれないが。
おじいさんに言われた通りに右に折れて、そろそろと道を歩いて行く。道行く人がちらちらとチョコの方を振り返るのが居心地悪かった。今の時間はよくわからないが(なんせ空が曇っていて暗いのだ)、恐らく日没の少し前といったところであるのだろう。夕方ならば小学生が一人で歩いていてもおかしくはないのかもしれないが、それも場所と状況次第に違いない。この近辺に小学校がないなら、チョコくらいの年齢の少年が一人で歩いていることに違和感を覚えられてもおかしくはあるまい。
そもそも、よくよく考えたら自分は手ぶらである。友達の家に行くにせよ学校帰りにせよ、何か荷物を持っていなければ変だと気がついた。まるで外国人のような見た目が、より彼らの好奇の目を引きつけてしまっている可能性も大いにあるだろう。
――お巡りさんとかが来ちゃったら面倒だな。急ご。
そこまで考えてふと気づく。さっきからチョコは、当たり前のように人間の世界の常識や用語が浮かんでくるのだ。人間社会にそこそこ関わっていなければ、知る機会などきっとないことばかりだろう。ということは、チョコは本当に人間とよく関わる“何か”であったということではあるまいか。
同時に、自分に関する記憶は名前以外すっぽり抜けているのに、それ以外の常識は覚えているということでもある。人間だったなら、特定のショックな出来事があると自分に関する記憶だけ消えることがあると聞いたこともあるのだが。自分は実際、人間ではないわけで。人間の常識で医療やらなんやらに当てはめて考えることはできないような気がしている。
――うー、わからない。……なんだろう、頭に霞がかかってるみたいだ。モヤモヤするなあ。
黒いビル、というものは割とすぐ見つかった。翠子ビル、なんて珍しい名前だったからというのもあるがそれだけではない。ビルやお洒落なハンバーガーショップ、カレーショップなどが立ち並ぶ中で一番ボロくて今にも壊れそうだったからである。
こんなところに本当に、付喪神に関する相談に乗ってくれる人なんかがいるんだろうか。
チョコは恐る恐るエントランスを覗き込んだ。このテのビルは入口に、ビルに入っている会社の名前をずらずらと並べた表札が出ていると相場が決まっているものだ。場合によってはポストに名前がついていることもあるだろう。
「えっと……」
101 もちのき皮膚科クリニック
102 中岡印刷株式会社
201 (空室)
202 (空室)
301 株式会社オフィシャルインターフェース
302 加藤ツクモ相談所
「あ、やっぱここでいいんだ……」
というか、なんで二階がまるっと空室なんだろう、とどうでもいいことを考える。ビルとビルの間に挟まれるような小さな三階建てのビルである。二部屋ずつしかないあたりお察しだろう。どちらかというと、小さなマンションと言ったほうがいいような作りである。
真正面のエレベーターに乗ると、四人乗りと書いてあるのが嘘かと思うほど狭かった。チョコくらいの小さな小学生でさえ、四人も乗ったらぎゅう詰めである。きっとこの設計者は、重量だけで乗れる人数を計算したに違いない。広さを視野に入れてくれよ、とチョコはややうんざりしてしまう。狭いところは苦手だ。閉じ込められそうな気がしてしまう。肌色の塗装が剥がれかけたエレベーター内の壁はいかにも何かが出そうで、乗り込んだ途端ぎしぎしと嫌な音がしたのもいただけなかった。
早く到着してくれ、と思っていると人間(まあ自分は人間じゃないのだけれど)やたらと時間を長く感じてしまうものである。エレベーターが到着するやいなや、チョコは早足でそこから脱出した。次に此処に来る時は、多少大変でも階段を使おうと心の底から考える。次があるかどうかはまだわからないけれど。
――加藤ツクモ相談所、は302号室……。
エレベーターを背にして、左右に二部屋。真正面に階段がある仕組みである。階段はまだ上に続いていた。多分屋上でもあるのだろう。
左を見ると、硝子の自動ドアには301という数字の下に“株式会社オフィシャルインターフェース”のおしゃれな青い文字が踊っていた。ならばこっちだ、と身体ごと右を向いたチョコは、えええ、と思わず小さなうめき声を上げてしまうことになる。
「ボッロ……」
オフィシャルインターフェースの入口と違って、自動ドアなんてハイテクなものはついていない。それこそ、ボロ団地の一室、と言った方が相応しいような真っ黒なドアが一枚あるだけ。しかもあちこち錆びている。覗き穴の下に、やや斜めになった看板がべりっと貼り付けられていた。
加藤ツクモ相談所。ここで本当に間違いないのか。看板は斜めになっているのみならず、あちこち名前がハゲているせいでツクモの“ツ”の時がほとんど“ソ”になっているが直さないのか。
入る前から印象は非常によろしくない。チョコは恐る恐る、横についていたインターフォンを押した。ピンポーン、とどこか調子のズレた音が響き渡る。
五秒。
十秒。
二十秒。
三十秒――応答、ナシ。
「もしもーし?」
まさか誰もいないんじゃなかろうな。チョコが訝しく思ってもう一度チャイムを押すと、今度は数秒くらいしてバタバタと向こうから駆けてくる足音が聞こえた。
「はいはいはーい!」
どたどたどったん、という“もう少し落ち着けよ”とツッコミたくなる足音の後。がちゃり、とドアが開いた。
「すみません、電話してて遅れちゃって!お客さんですよね!?」
「は、は、い。そうだけど……」
チョコは目を丸くする。飛び出してきたのはどこからどう見ても――まだ年若い少年であったからだ。チョコの外見年齢よりは上であろうし、背も高い。しかし長身のわりに幼くて小さな顔が、ちょこんと胴体の上に乗っかっているのである。
チョコとは少し違う茶色の髪の少年だった。恐らく、中学生くらいの年齢だろう。しかも何故か、この暑い季節に袖の長い青いジャージのようなものを身につけている。どこかで見覚えのあるジャージであるような気がするが、思い出せない。ひょっとして、チョコの“家”のすぐ近くの中学校の生徒であったりするのだろうか。
「ごめんね、ボロくって!えっと、そこに来客用ソファーあるんで、座っちゃってください!今お茶入れますね!」
彼はチョコに名前も用件も聞かず、さささっと室内にチョコを通すと黒いソファーに座らせた。内装は、思ったほどひどくはない。どこかのアニメで見たことがありそうな、いわゆる“探偵事務所”や“弁護士事務所”ってこんなかんじなんだろうな、というような内装である。黒い一対の来客ソファーに硝子の長方形のテーブル。入口脇には観葉植物があって、窓際には事務用デスクと書架がある。
奥にはもう一部屋くらいあるらしく、冷蔵庫があるキッチンはそちらであるらしかった。少年はパタパタと駆けていくと、慣れた様子でお茶を入れにかかる。
もしやその年で、この相談所とやらの秘書みたいなことをしているのだろうか。日本のご時世、中学生のうちから働いている子供はそんなに多くはない気がするのだけれど――そう思った瞬間、チョコは気づく。
「はい、どうぞ!」
お茶をテーブルに置く彼の腕が一瞬、透けたように見えた。
一般的な生物なら当たり前にするような匂いが、彼からは一切しない。するのは微かな“紙”の匂いだ。それも、洋紙ではなく、まるで和紙のような――。
「……もしかして」
「ん?」
「あなたは、生きた人間ではないの?」
気配が、似ている。チョコにこの相談所を紹介してくれた、あの老人と。
彼は目をぱちくりさせた後、正解!と笑った。
「うん、俺はいわゆる幽霊ってやつです。正確には“式神”に近いものだけどね。名前は楠純也。純也でいいですよ。貴美華さんのサポートしてます」
「きみかさん……」
『ツクモ相談所の所長、“加藤貴美華”ちゃん。彼女に相談するんだ。付喪神に関するトラブルを解決する専用の探偵、みたいなものだからな。きっと君の正体を突き止め、元の場所に帰る手伝いをしてくれるだろう』
やはり、彼は補佐官とか秘書官とか、そういうポジションなのだろう。式神ってなんだっけ、と思いながら辺りを見回す。
狭いオフィスだ、探すまでもない。どうやらその所長の女性は、今此処にいないようだった。どこかに出かけてしまっているのだろうか。
「ごめんねえ、貴美華さんちょっと出ちゃってるんだ。最近仕事多くって」
困ったように純也は笑う。そうして見ると、普通の中学生男子にしか見えない。この長身からして、生前は何かスポーツをやっていたのだろうか。格闘技、というほどがっつり筋肉があるようには見えないが。
「とりあえず、今から貴美華さんに連絡入れますね。……なんなら、一緒に貴美華さん迎えに行っちゃう?此処で待ってるのも淋しいだろうし、貴美華さん怒らないと思うし!」
それは、このオフィスが完全に留守になるがいいのだろうか、とチョコは心の中で突っ込む。
同時に、思った。最近仕事が多い、という。こんな辺鄙な、よくわからない相談所に、駆け込んでくるような人はそんなに多いのだろうかと。
まあ、駆け込んでくるのは人ではないナニカなのかもしれないが。もちろん、そこにはチョコ自身も含めてはいる。
「わあ……」
こんなに大きな道路、殆ど見たことがない。あの住宅街を出たら少しは見慣れた景色が出てくるかと思ったが、残念ながらそこまで甘い話ではないようだった。もっとも、目立つ看板でもない限り大通りの景色なんてどこも似たようなものである。見覚えがある、なんて記憶があっても感じることは難しいのかもしれないが。
おじいさんに言われた通りに右に折れて、そろそろと道を歩いて行く。道行く人がちらちらとチョコの方を振り返るのが居心地悪かった。今の時間はよくわからないが(なんせ空が曇っていて暗いのだ)、恐らく日没の少し前といったところであるのだろう。夕方ならば小学生が一人で歩いていてもおかしくはないのかもしれないが、それも場所と状況次第に違いない。この近辺に小学校がないなら、チョコくらいの年齢の少年が一人で歩いていることに違和感を覚えられてもおかしくはあるまい。
そもそも、よくよく考えたら自分は手ぶらである。友達の家に行くにせよ学校帰りにせよ、何か荷物を持っていなければ変だと気がついた。まるで外国人のような見た目が、より彼らの好奇の目を引きつけてしまっている可能性も大いにあるだろう。
――お巡りさんとかが来ちゃったら面倒だな。急ご。
そこまで考えてふと気づく。さっきからチョコは、当たり前のように人間の世界の常識や用語が浮かんでくるのだ。人間社会にそこそこ関わっていなければ、知る機会などきっとないことばかりだろう。ということは、チョコは本当に人間とよく関わる“何か”であったということではあるまいか。
同時に、自分に関する記憶は名前以外すっぽり抜けているのに、それ以外の常識は覚えているということでもある。人間だったなら、特定のショックな出来事があると自分に関する記憶だけ消えることがあると聞いたこともあるのだが。自分は実際、人間ではないわけで。人間の常識で医療やらなんやらに当てはめて考えることはできないような気がしている。
――うー、わからない。……なんだろう、頭に霞がかかってるみたいだ。モヤモヤするなあ。
黒いビル、というものは割とすぐ見つかった。翠子ビル、なんて珍しい名前だったからというのもあるがそれだけではない。ビルやお洒落なハンバーガーショップ、カレーショップなどが立ち並ぶ中で一番ボロくて今にも壊れそうだったからである。
こんなところに本当に、付喪神に関する相談に乗ってくれる人なんかがいるんだろうか。
チョコは恐る恐るエントランスを覗き込んだ。このテのビルは入口に、ビルに入っている会社の名前をずらずらと並べた表札が出ていると相場が決まっているものだ。場合によってはポストに名前がついていることもあるだろう。
「えっと……」
101 もちのき皮膚科クリニック
102 中岡印刷株式会社
201 (空室)
202 (空室)
301 株式会社オフィシャルインターフェース
302 加藤ツクモ相談所
「あ、やっぱここでいいんだ……」
というか、なんで二階がまるっと空室なんだろう、とどうでもいいことを考える。ビルとビルの間に挟まれるような小さな三階建てのビルである。二部屋ずつしかないあたりお察しだろう。どちらかというと、小さなマンションと言ったほうがいいような作りである。
真正面のエレベーターに乗ると、四人乗りと書いてあるのが嘘かと思うほど狭かった。チョコくらいの小さな小学生でさえ、四人も乗ったらぎゅう詰めである。きっとこの設計者は、重量だけで乗れる人数を計算したに違いない。広さを視野に入れてくれよ、とチョコはややうんざりしてしまう。狭いところは苦手だ。閉じ込められそうな気がしてしまう。肌色の塗装が剥がれかけたエレベーター内の壁はいかにも何かが出そうで、乗り込んだ途端ぎしぎしと嫌な音がしたのもいただけなかった。
早く到着してくれ、と思っていると人間(まあ自分は人間じゃないのだけれど)やたらと時間を長く感じてしまうものである。エレベーターが到着するやいなや、チョコは早足でそこから脱出した。次に此処に来る時は、多少大変でも階段を使おうと心の底から考える。次があるかどうかはまだわからないけれど。
――加藤ツクモ相談所、は302号室……。
エレベーターを背にして、左右に二部屋。真正面に階段がある仕組みである。階段はまだ上に続いていた。多分屋上でもあるのだろう。
左を見ると、硝子の自動ドアには301という数字の下に“株式会社オフィシャルインターフェース”のおしゃれな青い文字が踊っていた。ならばこっちだ、と身体ごと右を向いたチョコは、えええ、と思わず小さなうめき声を上げてしまうことになる。
「ボッロ……」
オフィシャルインターフェースの入口と違って、自動ドアなんてハイテクなものはついていない。それこそ、ボロ団地の一室、と言った方が相応しいような真っ黒なドアが一枚あるだけ。しかもあちこち錆びている。覗き穴の下に、やや斜めになった看板がべりっと貼り付けられていた。
加藤ツクモ相談所。ここで本当に間違いないのか。看板は斜めになっているのみならず、あちこち名前がハゲているせいでツクモの“ツ”の時がほとんど“ソ”になっているが直さないのか。
入る前から印象は非常によろしくない。チョコは恐る恐る、横についていたインターフォンを押した。ピンポーン、とどこか調子のズレた音が響き渡る。
五秒。
十秒。
二十秒。
三十秒――応答、ナシ。
「もしもーし?」
まさか誰もいないんじゃなかろうな。チョコが訝しく思ってもう一度チャイムを押すと、今度は数秒くらいしてバタバタと向こうから駆けてくる足音が聞こえた。
「はいはいはーい!」
どたどたどったん、という“もう少し落ち着けよ”とツッコミたくなる足音の後。がちゃり、とドアが開いた。
「すみません、電話してて遅れちゃって!お客さんですよね!?」
「は、は、い。そうだけど……」
チョコは目を丸くする。飛び出してきたのはどこからどう見ても――まだ年若い少年であったからだ。チョコの外見年齢よりは上であろうし、背も高い。しかし長身のわりに幼くて小さな顔が、ちょこんと胴体の上に乗っかっているのである。
チョコとは少し違う茶色の髪の少年だった。恐らく、中学生くらいの年齢だろう。しかも何故か、この暑い季節に袖の長い青いジャージのようなものを身につけている。どこかで見覚えのあるジャージであるような気がするが、思い出せない。ひょっとして、チョコの“家”のすぐ近くの中学校の生徒であったりするのだろうか。
「ごめんね、ボロくって!えっと、そこに来客用ソファーあるんで、座っちゃってください!今お茶入れますね!」
彼はチョコに名前も用件も聞かず、さささっと室内にチョコを通すと黒いソファーに座らせた。内装は、思ったほどひどくはない。どこかのアニメで見たことがありそうな、いわゆる“探偵事務所”や“弁護士事務所”ってこんなかんじなんだろうな、というような内装である。黒い一対の来客ソファーに硝子の長方形のテーブル。入口脇には観葉植物があって、窓際には事務用デスクと書架がある。
奥にはもう一部屋くらいあるらしく、冷蔵庫があるキッチンはそちらであるらしかった。少年はパタパタと駆けていくと、慣れた様子でお茶を入れにかかる。
もしやその年で、この相談所とやらの秘書みたいなことをしているのだろうか。日本のご時世、中学生のうちから働いている子供はそんなに多くはない気がするのだけれど――そう思った瞬間、チョコは気づく。
「はい、どうぞ!」
お茶をテーブルに置く彼の腕が一瞬、透けたように見えた。
一般的な生物なら当たり前にするような匂いが、彼からは一切しない。するのは微かな“紙”の匂いだ。それも、洋紙ではなく、まるで和紙のような――。
「……もしかして」
「ん?」
「あなたは、生きた人間ではないの?」
気配が、似ている。チョコにこの相談所を紹介してくれた、あの老人と。
彼は目をぱちくりさせた後、正解!と笑った。
「うん、俺はいわゆる幽霊ってやつです。正確には“式神”に近いものだけどね。名前は楠純也。純也でいいですよ。貴美華さんのサポートしてます」
「きみかさん……」
『ツクモ相談所の所長、“加藤貴美華”ちゃん。彼女に相談するんだ。付喪神に関するトラブルを解決する専用の探偵、みたいなものだからな。きっと君の正体を突き止め、元の場所に帰る手伝いをしてくれるだろう』
やはり、彼は補佐官とか秘書官とか、そういうポジションなのだろう。式神ってなんだっけ、と思いながら辺りを見回す。
狭いオフィスだ、探すまでもない。どうやらその所長の女性は、今此処にいないようだった。どこかに出かけてしまっているのだろうか。
「ごめんねえ、貴美華さんちょっと出ちゃってるんだ。最近仕事多くって」
困ったように純也は笑う。そうして見ると、普通の中学生男子にしか見えない。この長身からして、生前は何かスポーツをやっていたのだろうか。格闘技、というほどがっつり筋肉があるようには見えないが。
「とりあえず、今から貴美華さんに連絡入れますね。……なんなら、一緒に貴美華さん迎えに行っちゃう?此処で待ってるのも淋しいだろうし、貴美華さん怒らないと思うし!」
それは、このオフィスが完全に留守になるがいいのだろうか、とチョコは心の中で突っ込む。
同時に、思った。最近仕事が多い、という。こんな辺鄙な、よくわからない相談所に、駆け込んでくるような人はそんなに多いのだろうかと。
まあ、駆け込んでくるのは人ではないナニカなのかもしれないが。もちろん、そこにはチョコ自身も含めてはいる。
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