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朝のホームルーム、そして朝礼と授業風景から、唯奈にはいくつかわかったことがある。
それは、桜美聖也という少年が、真紀の言った通り“このクラスに六月からいる転入生”として扱われているということ。そして彼がクラスからそれなりに受け入れられており、ジョークも飛ばすし皆にもすっかり馴染んでいて、そこそこ人気者になっているという事実である。彼は頭もいいらしく、先生に当てられてもすらすらと問題を答えていた。グループワークでも、わからない生徒に親切に問題を教えている様子も散見される。これだけみれば、とても悪い人間とは思えない。
ただ、彼が自分達にとってはいるはずのない人間であったというだけ。
そして彼も――明らかに、それをわかっている様子だったということである。
『やあ、“転移者”のお二人さん。俺が桜美聖也だ、“初めまして”』
彼は初めまして、と自分達に言ったのだ。つまり、自分達にとってだけは初見であるということをしっかり理解していたということに他ならない。
――よくわかんないけど、確かめないと。……あいつ、私達のこと、“転移者”って呼んだんだから。
転移者。転生者の類義語のような形で使われるライトノベル用語だ。異世界転生ではなく、異世界転移をした者が時折呼ばれる言葉である。
自分達は、そんなことをした覚えはない。ただ、テレポートブロックを踏むという行為をしたのは事実だ。実際、異世界転生をした感触なんてものは全く無かったというだけで。
――私達は、何処かに飛んでいたってこと?気づかないうちに?
わからないが、確かめる必要はある。
彼はその答えを、知っているというのだから。
***
「さて、改めまして自己紹介といこうか。えっと、同じクラスの門脇唯奈さんと、太田真紀さん。俺は桜美聖也だ。この世界では六月からここに転入してきた生徒ってことになっている」
二十五分休みは、文字通りの長さしかない休み時間だ。あまりゆっくりはしていられない。唯奈は真紀、聖也と共に人があまり来ない一回東校舎の階段下に来ていた。このあたりは移動教室で使われる教室も、普通のクラスが入っている一般教室も殆どない。昇降口からも遠いので、わざわざ生徒が来ることが少ない場所である。秘密の話をするにはもってこいのスペースだった。
「初めまして、なのはお互い様だろうな。お前らからすると俺の顔なんか見たことないだろ?ていうか、こんなイケメンの顔見たことがあったら忘れるはずねーもんな?」
「自分でイケメン言っちゃったよコイツ」
「あたしナルシストな男って嫌いなんだけど」
「おおうはっきり仰るう……」
ややふざけ気味に告げる。桜美聖也とやら。ユーモアのある生徒なのかもしれないが、今は大事な話をしている。中途半端にふざけられるのは不愉快なだけだ。思わず唯奈が睨むと、ごめんごめん!と彼は焦ったように手を振った。
「単刀直入に言うわ、お二人さん。……お前ら、自分達が異世界転移したってことに気づいてなかったろ?俺に会うまでは」
やっぱり、そういうことだったらしい。やや唯奈は目眩を覚えて頭を抑える。
「冗談でしょ?」
第一声は当然それだった。確かに、謎の転校生なんてものは登場しているが、それ以外は自分達の世界におおよそ異常なんてものはないように見える。ライトノベルで語られるような、西欧風異世界に到着したわけでもない。いつもの学校だし、チート能力を授かったというわけでもない。異常は、目の前に謎の転入生がいるという一点のみである。
それで、異世界転移しました、と言われても。一体誰が信じるというのだろう。
「そう言いたくなるのも無理ねーよ。まあ、今の段階じゃ、お前らが知ってる世界とさほど変わらねーから当然だろうな」
うんうん、と頷く聖也。
「けど、お前らはちゃんと異世界に飛んでる。お前ら、テレポートブロックの噂を実行したんだろ?結論から言って、アレは本物なんだよ。ただ、小学生が学校に残って試すのにはちょっと面倒だっていう理由で、誰も本気で試そうとした奴がいなかっただけでさ」
「試すのが面倒だっていうのは認めるけど。だからって、踏んでも何も起こらなかったし、今あんたの存在以外何も変わったように見えないのに……異世界トリップしたとか言われても、さあ」
「だよねえ、唯奈」
「だろうな。でもそりゃ当然なんだよ。お前らだって、見えない壁を一個超えただけなんだからよ」
「壁?」
「そ。壁」
言いながら、聖也はその場で一段だけ階段を上がってみせる。こういうことー!とわざとらしく両手を広げて。
「一段階段を登った。一歩隣に歩いた。教室に入った。……その程度しか“移動”してないんだ。歩いた振動が足に伝わるか伝わらないか、くらいなのにさ。壁を超えたことを察知しろってのはなかなか難しいもんだろう。お前らは確かに、壁を超えて一歩隣の世界に移動した。でも、裏を返せば“一歩しか”隣に移動してないから、今まで自分が生きていた世界とさほど変わらないルートを辿ってるし、お前らの知ってる現実との違いも大してない。確かに世界を渡ったはずなのにその実感もない。そういう状況になってるわけ、お分かり?」
本人的には多分、それなりに丁寧に説明してくれたつもり、なのだろうと思われる。思われるが、残念ながらさほど頭の良くない唯奈がしっかり理解するには少々足らないものがあった。どういうことよ?というつもりで真紀の方を見れば。彼女も肩をすくめてみせる。どうやら、理解が追いついていないのは唯奈だけではなかったらしい。
ならば自分達の頭がどうというより、彼の説明が下手くそなだけではなかろうか。
「あー……俺の説明、わかりにくい?」
聖也もそれを察したらしい。苦笑気味に、唯奈と真紀の顔を交互に見つめる。
「まあ、早い話な。……お前らが思うよりもずっと、異世界って存在は星の数ほどあるわけだよ。それこそ、次元の狭間に無限に広がっていると思ってくれて間違いない。……で、自分が今いる世界と遠い世界ほど、全く違う歴史や文化を辿った世界として存在していることが多いわけ。つまり、すぐ隣にあるような世界は、今いる世界のちょっとしたパラレルワールド程度の差しかないわけだよ。例えば存在しなかったはずの転入生がやってきた世界とか、昨日の朝ごはんをうっかり食べ損ねた世界とか、まあそれくらいの差だな」
「よくわからないけど。……私達が想像してたような、西洋風ファンタジーな異世界、みたいなのは……ここからずっと遠い場所にある異世界ってこと?隣とか、そんなんじゃなくて」
「平たく言えばそういうこったな。あのテレポートブロックで一度に飛ぶ距離なんてのはたかが知れてるんだ。一回踏んでも、それこそ壁を一つ超える程度の差でしかない。すぐ直近の異世界にトリップするだけだから、異世界転移をした実感もないってなわけだな」
「ええ……」
眉唾な話だが。もしそれが本当だとするならば、それこそ“剣と魔法の世界”まで到達するのに一体どれほどブロックを踏まなければいけないことになるのだろうか。まさか望んでいた異世界転移が、そんなにショボいものだなんて思いもしなかった。
「それ本当なら……超しょっぱいじゃん……」
真紀が素直な感想を漏らした。すると聖也はやや険しい顔になり、しょっぱくても本物なんだよ、と告げた。
「異世界を自由に渡る力を持っている存在を、魔女だとか魔術師だとか呼ぶわけで、まあ俺もその一人なんだけどな。そういう連中がたまに、厄介な置き土産を異世界に残していってくれるんだよ。今回のテレポートブロックもその一つ。異世界に、こんな簡単に飛べる装置なんか本来あっていいはずがない。だから俺は、そいつを封印するために、ブロックが存在する世界を捜して到着したんだけどな。……まさか到着した矢先に、そいつを使って世界の壁を越えちまうアホが出るとは思ってもみなかったんだわ」
「アホってなによ、私達のこと?そんないけないことしたわけ?」
「いけなくはないが、馬鹿だとは思うぜ、ストレートに。何でか教えてやろうか?後先考えてなさすぎだからだよ」
「はあ?」
あまりにもあっさり馬鹿にされ、唯奈は眉を跳ね上げる。ちょっと綺麗な顔をしているからって、いくらなんでも態度がデカすぎやしないだろうか。そもそも、こいつが言っている話もどこまで真実か分かったものではないというのに。
「お前ら、気づいてたんだろうが。テレポートブロックの噂に、異世界から帰ってくる方法が含まれてないってこと。……好きな異世界まで行けたら、それで満足だと思って多のか?今まで自分達が過ごしてきた世界を捨てて?本当に二度と帰れなくてもよかった、未練がなかったとでも言うつもりかよ?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
思わず口ごもる唯奈。本当のところ、彼の言う通り後先を考えていなかったのも事実だ。テレポートブロックの帰り道を考えていなかったのは確かというか、むしろそれさえ気づかないほど異世界への憧れが強かったのも間違いないことなのだから。
「俺がお前らの前に現れたのは、ブロックの封印が終わるまでお前らを見張る必要があると思ったからだ。……確かにテレポートブロックで移動できる距離は短い。一度や二度移動したところで、自分達が生きてきた世界とさほど変わらない世界にしか飛べないだろうさ。けど、それも積み重ねれば結果は変わってくる。どんな酷い世界に行っちまうことになるのか、わかったもんじゃない。……前にもいたんだよ。好奇心に負けて、結局自分の身を滅ぼした馬鹿野郎どもがな」
だからこれは忠告だ、と聖也は唯奈の額の中心をこつんと小突いてきた。
「もう二度と、テレポートブロックは使うな。あれは誰にもコントロールできねえ。イチかバチか、好きな世界に行けるかもしれないなんて二度と考えるんじゃねーぞ」
それは、桜美聖也という少年が、真紀の言った通り“このクラスに六月からいる転入生”として扱われているということ。そして彼がクラスからそれなりに受け入れられており、ジョークも飛ばすし皆にもすっかり馴染んでいて、そこそこ人気者になっているという事実である。彼は頭もいいらしく、先生に当てられてもすらすらと問題を答えていた。グループワークでも、わからない生徒に親切に問題を教えている様子も散見される。これだけみれば、とても悪い人間とは思えない。
ただ、彼が自分達にとってはいるはずのない人間であったというだけ。
そして彼も――明らかに、それをわかっている様子だったということである。
『やあ、“転移者”のお二人さん。俺が桜美聖也だ、“初めまして”』
彼は初めまして、と自分達に言ったのだ。つまり、自分達にとってだけは初見であるということをしっかり理解していたということに他ならない。
――よくわかんないけど、確かめないと。……あいつ、私達のこと、“転移者”って呼んだんだから。
転移者。転生者の類義語のような形で使われるライトノベル用語だ。異世界転生ではなく、異世界転移をした者が時折呼ばれる言葉である。
自分達は、そんなことをした覚えはない。ただ、テレポートブロックを踏むという行為をしたのは事実だ。実際、異世界転生をした感触なんてものは全く無かったというだけで。
――私達は、何処かに飛んでいたってこと?気づかないうちに?
わからないが、確かめる必要はある。
彼はその答えを、知っているというのだから。
***
「さて、改めまして自己紹介といこうか。えっと、同じクラスの門脇唯奈さんと、太田真紀さん。俺は桜美聖也だ。この世界では六月からここに転入してきた生徒ってことになっている」
二十五分休みは、文字通りの長さしかない休み時間だ。あまりゆっくりはしていられない。唯奈は真紀、聖也と共に人があまり来ない一回東校舎の階段下に来ていた。このあたりは移動教室で使われる教室も、普通のクラスが入っている一般教室も殆どない。昇降口からも遠いので、わざわざ生徒が来ることが少ない場所である。秘密の話をするにはもってこいのスペースだった。
「初めまして、なのはお互い様だろうな。お前らからすると俺の顔なんか見たことないだろ?ていうか、こんなイケメンの顔見たことがあったら忘れるはずねーもんな?」
「自分でイケメン言っちゃったよコイツ」
「あたしナルシストな男って嫌いなんだけど」
「おおうはっきり仰るう……」
ややふざけ気味に告げる。桜美聖也とやら。ユーモアのある生徒なのかもしれないが、今は大事な話をしている。中途半端にふざけられるのは不愉快なだけだ。思わず唯奈が睨むと、ごめんごめん!と彼は焦ったように手を振った。
「単刀直入に言うわ、お二人さん。……お前ら、自分達が異世界転移したってことに気づいてなかったろ?俺に会うまでは」
やっぱり、そういうことだったらしい。やや唯奈は目眩を覚えて頭を抑える。
「冗談でしょ?」
第一声は当然それだった。確かに、謎の転校生なんてものは登場しているが、それ以外は自分達の世界におおよそ異常なんてものはないように見える。ライトノベルで語られるような、西欧風異世界に到着したわけでもない。いつもの学校だし、チート能力を授かったというわけでもない。異常は、目の前に謎の転入生がいるという一点のみである。
それで、異世界転移しました、と言われても。一体誰が信じるというのだろう。
「そう言いたくなるのも無理ねーよ。まあ、今の段階じゃ、お前らが知ってる世界とさほど変わらねーから当然だろうな」
うんうん、と頷く聖也。
「けど、お前らはちゃんと異世界に飛んでる。お前ら、テレポートブロックの噂を実行したんだろ?結論から言って、アレは本物なんだよ。ただ、小学生が学校に残って試すのにはちょっと面倒だっていう理由で、誰も本気で試そうとした奴がいなかっただけでさ」
「試すのが面倒だっていうのは認めるけど。だからって、踏んでも何も起こらなかったし、今あんたの存在以外何も変わったように見えないのに……異世界トリップしたとか言われても、さあ」
「だよねえ、唯奈」
「だろうな。でもそりゃ当然なんだよ。お前らだって、見えない壁を一個超えただけなんだからよ」
「壁?」
「そ。壁」
言いながら、聖也はその場で一段だけ階段を上がってみせる。こういうことー!とわざとらしく両手を広げて。
「一段階段を登った。一歩隣に歩いた。教室に入った。……その程度しか“移動”してないんだ。歩いた振動が足に伝わるか伝わらないか、くらいなのにさ。壁を超えたことを察知しろってのはなかなか難しいもんだろう。お前らは確かに、壁を超えて一歩隣の世界に移動した。でも、裏を返せば“一歩しか”隣に移動してないから、今まで自分が生きていた世界とさほど変わらないルートを辿ってるし、お前らの知ってる現実との違いも大してない。確かに世界を渡ったはずなのにその実感もない。そういう状況になってるわけ、お分かり?」
本人的には多分、それなりに丁寧に説明してくれたつもり、なのだろうと思われる。思われるが、残念ながらさほど頭の良くない唯奈がしっかり理解するには少々足らないものがあった。どういうことよ?というつもりで真紀の方を見れば。彼女も肩をすくめてみせる。どうやら、理解が追いついていないのは唯奈だけではなかったらしい。
ならば自分達の頭がどうというより、彼の説明が下手くそなだけではなかろうか。
「あー……俺の説明、わかりにくい?」
聖也もそれを察したらしい。苦笑気味に、唯奈と真紀の顔を交互に見つめる。
「まあ、早い話な。……お前らが思うよりもずっと、異世界って存在は星の数ほどあるわけだよ。それこそ、次元の狭間に無限に広がっていると思ってくれて間違いない。……で、自分が今いる世界と遠い世界ほど、全く違う歴史や文化を辿った世界として存在していることが多いわけ。つまり、すぐ隣にあるような世界は、今いる世界のちょっとしたパラレルワールド程度の差しかないわけだよ。例えば存在しなかったはずの転入生がやってきた世界とか、昨日の朝ごはんをうっかり食べ損ねた世界とか、まあそれくらいの差だな」
「よくわからないけど。……私達が想像してたような、西洋風ファンタジーな異世界、みたいなのは……ここからずっと遠い場所にある異世界ってこと?隣とか、そんなんじゃなくて」
「平たく言えばそういうこったな。あのテレポートブロックで一度に飛ぶ距離なんてのはたかが知れてるんだ。一回踏んでも、それこそ壁を一つ超える程度の差でしかない。すぐ直近の異世界にトリップするだけだから、異世界転移をした実感もないってなわけだな」
「ええ……」
眉唾な話だが。もしそれが本当だとするならば、それこそ“剣と魔法の世界”まで到達するのに一体どれほどブロックを踏まなければいけないことになるのだろうか。まさか望んでいた異世界転移が、そんなにショボいものだなんて思いもしなかった。
「それ本当なら……超しょっぱいじゃん……」
真紀が素直な感想を漏らした。すると聖也はやや険しい顔になり、しょっぱくても本物なんだよ、と告げた。
「異世界を自由に渡る力を持っている存在を、魔女だとか魔術師だとか呼ぶわけで、まあ俺もその一人なんだけどな。そういう連中がたまに、厄介な置き土産を異世界に残していってくれるんだよ。今回のテレポートブロックもその一つ。異世界に、こんな簡単に飛べる装置なんか本来あっていいはずがない。だから俺は、そいつを封印するために、ブロックが存在する世界を捜して到着したんだけどな。……まさか到着した矢先に、そいつを使って世界の壁を越えちまうアホが出るとは思ってもみなかったんだわ」
「アホってなによ、私達のこと?そんないけないことしたわけ?」
「いけなくはないが、馬鹿だとは思うぜ、ストレートに。何でか教えてやろうか?後先考えてなさすぎだからだよ」
「はあ?」
あまりにもあっさり馬鹿にされ、唯奈は眉を跳ね上げる。ちょっと綺麗な顔をしているからって、いくらなんでも態度がデカすぎやしないだろうか。そもそも、こいつが言っている話もどこまで真実か分かったものではないというのに。
「お前ら、気づいてたんだろうが。テレポートブロックの噂に、異世界から帰ってくる方法が含まれてないってこと。……好きな異世界まで行けたら、それで満足だと思って多のか?今まで自分達が過ごしてきた世界を捨てて?本当に二度と帰れなくてもよかった、未練がなかったとでも言うつもりかよ?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
思わず口ごもる唯奈。本当のところ、彼の言う通り後先を考えていなかったのも事実だ。テレポートブロックの帰り道を考えていなかったのは確かというか、むしろそれさえ気づかないほど異世界への憧れが強かったのも間違いないことなのだから。
「俺がお前らの前に現れたのは、ブロックの封印が終わるまでお前らを見張る必要があると思ったからだ。……確かにテレポートブロックで移動できる距離は短い。一度や二度移動したところで、自分達が生きてきた世界とさほど変わらない世界にしか飛べないだろうさ。けど、それも積み重ねれば結果は変わってくる。どんな酷い世界に行っちまうことになるのか、わかったもんじゃない。……前にもいたんだよ。好奇心に負けて、結局自分の身を滅ぼした馬鹿野郎どもがな」
だからこれは忠告だ、と聖也は唯奈の額の中心をこつんと小突いてきた。
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