落愛

～エピソード1～

新学期が始まる今日という日に少しだるさを感じながら朝を迎える。
そして、これから恋に振り回されることを誰も予想していなかった。

目覚まし時計 ピピピピピピ ガチャ

真由美「ほら、起きなさい。学校遅刻するよ」

この女の子は和樹の幼馴染みの真由美である。和樹とは、家が隣で小さいときからずっと一緒だ。

和樹「ん～～～～～。あと五分」

真由美「もう、仕方ないなぁ。」布団ﾊﾞｻｯ

和樹「あ！」

真由美「学校遅刻するよって言ってんじゃん。早く着替えなよ。」

和樹「わかったよ。とりあえず部屋から出てくれよ。」

真由美「えっ何で？別に良いじゃん。あんたの着替えなんてしょっちゅう見てるし。」

和樹「よくないよ！。ってもういいや。好きにしてくれ」



朝の通学路にて...
和樹「ふぁ～～～。眠い。」

真由美「まったく。あんた夜遅くまで何してるのよ？」

和樹「いろいろだよ」

真由美「まぁ良いけどさ。寝不足が続くと体に悪いから、ちゃんと寝なよ？」

和樹「わかったよ。心配しなくていいよ。」

真由美「うわっ！撫でたってなんもないよ」ナデナデ

和樹「はいはい」



教室にて....
生徒 ザワザワ

浩司先生「静かにしろ。お前らにひとつ連絡がある。」

和樹(なんだ？連絡って)

浩司先生「入ってきて良いぞ」

加奈子 スタッスタッ

生徒A「すげぇ美人」

生徒B「きれい」

浩司先生「今日からこのクラスに転校してきた。お前ら仲良くしてやれよ。」

加奈子「よろしくお願いします」

浩司先生「お前の席は、和樹の隣で良いだろ。」

和樹「えっ？俺？」
和樹(マジかよ)

何て事だ、転校生が和樹の隣の席ということはこれから和樹がいろいろ教えなければいけないのだ。

加奈子「よろしく。」

和樹「あぁ。よろしく」

キーンコーンカーンコーン

生徒A「ねぇねぇ加奈子さん。前の学校どんなとこだったの？」

生徒B「彼氏とかいたの？」

ガヤガヤ

転校生が来たら確実といって良いほど起こること。質問攻めである。
少し困っているようだが、友達作りには大事なことだ。


授業にて....
加奈子 ガサゴソ

和樹「ん？」

加奈子が何やらバッグを探っている。
だが、すぐやめた。
どうしたのかな。


和樹「教科書忘れたの？」

加奈子 コクン

和樹「そっか。見せてあげるよ。」

加奈子「良いの？」

ようやく喋った。さっきの質問攻めでは無言をつらぬきとうしていた。

和樹「いいよ。まだ教科書もらってないの？」

加奈子「うん。まだ貰ってない。」

和樹「そっか。」

加奈子「ありがとう」

和樹「気にしなくていいよ」

放課後の教室
加奈子「今日はありがとう。教科書貸してくれて。」

和樹「ん？あぁ。どういたしまして」

加奈子「それじゃ、また明日」

和樹「じゃあね」

加奈子は無表情だ。お礼を言うときも、頼み事をするときも、話を聞くときも。

和樹(よく分からない人だなぁ。少し表情が出せれば良いんだけどな。)

和樹「帰るか」

帰路にて...
真由美「ねぇ。」

和樹「どうした？」

真由美「和樹のクラスに女の子が転校してきたらしいじゃん。」

和樹「うん。そうだけど。それがどうかしたの？」

真由美「どんな子？」

和樹「う～ん。いつも無表情な子だよ。」

真由美「かわいいの？」

和樹「まぁ、美人ではあるんじゃないのかな。」

真由美「ふ～ん」ムスッ

和樹「どうしたの？そんなに不機嫌そうな顔して。」

真由美「べっつに～」ムスッ

和樹「そう？なら良いけど。」

真由美(....バカ)


続く