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#17: ワルイ男
ワルイ男 02
しおりを挟む市内・某マンション。
アヤナとはコーヒーショップで分かれ、鶴榮は夜子だけを連れてやってきた。夜子は初めて来る場所だったが、鶴榮に連れてこられたので警戒はしていなかった。
特別豪華というわけではないが目立った汚れはなく、そこまで老朽化もしていない。怪しい雰囲気はなく、夜子の目には至極有り触れた普通のマンションに見えた。
鶴榮はこの場所を何度も訪れている。マンションのエントランスに入り、迷い無くエレベータへ向かった。ボタンを押してエレベータを待つ間、口を開いた。
「アヤナちゃん、多分ええとこの御嬢様なんやろけど、男見る目はあれへんな」
鶴榮はやや顎の角度を上げてフーッと息を吐いた。
「石楠なんちゅうどエライ御嬢様学校に通うとるのに、何であんな脳ミソ半分以上性欲で占められとるよなアホに引っかかってまうんやろな。顔か? 顔なんか? 顔がええ男にはガードが甘なるんか? イヤ、あーいうツラしとる男こそ警戒せなあかんやろ」
「そうかもしれまへんな。ウチが言うのも何どすけど、世間知らずなんやと思います。澤木はんとのことにしても、あの子がまったく悪ないわけでもおへんし」
夜子が鶴榮を見ると、彼は何とも言えない表情で笑みを溢した。
夜子の手前、ハッキリと言葉にはしないが惘れているのだろう。愚かな小娘だと。恐らく、鶴榮に頼ってきたのがあの娘自身だったなら、夜子でなかったなら、鶴榮はお気の毒様と言ってそれまでだったに違いない。流石に涙を見せられては多少の同情心は湧くが、それをどうにかしてやらねばならない義理は本来はない。
「せやけど、ええ子なんどす。素直で健気で一途で……。何とかしたげたりたいんどすけど、ウチは鶴はんに頼るしかでけへんくて……。鶴はんは澤木はんのお友だちやのに妙なこと頼んでしもて、えろうすんまへん」
夜子は眉尻を下げて申し訳なさそうに鶴榮に訴えた。
何か頼み事をするにしても要求するにしても控えめな女だ。もし相談を鶴榮に断られたとしても、憎んだり臍を曲げたりはしなかったに違いない。アヤナに諦めなさいと、あなたも悪かったのよと、穏やかに言い聞かせたのだろうな。
鶴榮はそういう夜子だからこそ、心からいじらしく感じてしまうのだ。
「ヨルが謝ることあれへん。曜至が女癖悪いのもアヤナちゃんが男見る目あれへんのもヨルの所為ちゃう。それに、ヨルに頼られるのは悪い気せえへん」
鶴榮はマンションの一室に辿り着き、ドアホンを鳴らした。ドアはすぐに開かれた。すでに玄関で待っていたという迅速さだった。
ドアを開いたのは金髪の青年・美作だった。美作は夜子を見て「あれー」と声を漏らした。
「鶴さん、デートの途中で来はったんスか?」
「ンなワケあるかー」
鶴榮は美作の隣を擦り抜けて玄関に入っていった。
美作はドアを大きく押し開いて手で押さえ、夜子に「久し振り。どうぞ中へ」と促した。
夜子は美作へ丁寧に頭を下げた。
「お久し振りどす。美作はんのおうちどしたんか」
「イヤ、俺んちちゃうで」
夜子が玄関で靴を脱ぎ、鶴榮のあとを追って室内を進むと、リビングルームに渋撥が座していた。そこでようやく此処は渋撥の家なのだと気付いた。
鶴榮はリビングテーブルの傍、自分の隣に夜子を座らせアヤナと曜至の件を渋撥へ説明した。
「っちゅーワケで、協力頼むわ撥」
そう、鶴榮は締めくくった。頼み事をするというよりは、協力するのは当然といった態度だった。
渋撥がそれを察したかどうかは定かではないが、カーペットの上に座したまま身動きしなかった。フーッと紫煙を吐き出しただけ、何の言葉も発しなかった。鶴榮のほうを見もしなかった。
鶴榮が「シカトすんなや」と突いてようやく一言、面倒臭いと返ってきた。
「何で俺がそんな面倒事に首突っ込まなあかんねん」
「何でてお前、こんだけ丁寧に説明したったのにまだ事情が飲み込めへんのか。アホの子は気の毒やな」
「誰がアホじゃ」
渋撥は返事をするのも億劫そうに軽く首を振った。全身から関わりたくないという雰囲気を醸し出していた。
「確かに曜至は女癖が悪い。せやかてソレに引っかかったのはその女の自業自得や」
「そこはワシも否定せえへん。が、ヨルから頼まれてんのに無視はでけへんがな」
「お前が夜子から頼まれたんやろ。お前が何とかしたれ。俺の知ったことちゃう」
渋撥は素っ気なく言い放ち、美作に指で合図してキッチンに飲み物を取りに行かせた。
渋撥に断られても、鶴榮に落胆はなかった。自分も夜子の頼みでなければ相手になどしなかったであろう。しかしながら、他ならぬ夜子の頼みである以上、此処で引き下がることもなかった。
「ほな禮ちゃんに協力頼むかな」
「何で禮巻き込むねん」
渋撥の反応は早かった。鶴榮の話が始まって以来、初めて真面に顔を向けた。
「アヤナちゃんは禮ちゃんの後輩でもあるんやな~。禮ちゃんはヨルの親友や。後輩が泣くほど困っとってヨルから頼まれたら、禮ちゃんが断るはずがない。薄情なお前と違て」
鶴榮は胸ポケットからスマートフォンを取り出した。鶴榮は禮の連絡先を知っている。気さくにメッセージを送り合う仲でもある。会話をしながらでも余裕でメッセージアプリの禮の連絡先まで辿り着くことができる。
「ワシは禮ちゃんに撥が如何に非協力的で薄情やったかを切々と語るで。お前っちゅうヤツがどんだけ頼り甲斐のない冷血な男かコンコンと説明して――」
ガツッ、と渋撥はスマートフォンを持つ鶴榮の手首を掴んだ。
「なんぼでも協力したらァッ!💢💢」
「必死やな~撥。サスガのお前も禮ちゃんに嫌われるのだけはイヤか」
「お前、俺に相談しに来たんか脅迫しに来たんかどっちや💢」
鶴榮の勝ち誇った表情は、すでに人にものを頼む態度ではなかった。弱みを握ってほくそ笑む人間のそれだった。渋撥に対して脅迫材料たり得るものなど滅多にあるものではない。この暴君を自在に操ることができるというのは愉快ではないといえば嘘になる。
「近江さーん、冷蔵庫ン中コーラしかありまへんでしたでー。近江さんジュース系飲みはらへんっしょ。これ誰のコーラ――」
「無いなら外の自販で買うてこいッ!」
「ラジャーッ!」
言われた通り飲み物を取ってきただけなのに怒鳴られるとは損な役回り。完全に八つ当たりだ。
美作は勢いよく返事をして玄関から飛び出していった。
美作がマンション一階の自動販売機から戻ってきても、まだ渋撥の機嫌は直ってはいなかった。機嫌を害した元凶である鶴榮がまだ其処にいるのだからそれも当然だ。
美作は王様の御機嫌がよくなることなど諦めて、王様からは少し離れた位置、鶴榮の近くに座った。不機嫌な王様に近付くと拳が飛んできかねない。
尤も、王様に最も近しい鶴榮はそのようなことはまったく恐れていないけれど。
「その、後輩のアヤナちゃん? は曜至君から具体的に何されたんでっか」
美作は、渋撥のほうに身体の正面を向けている鶴榮の横顔に尋ねた。
「ヴァージン喰った」
「そらー何にせよ責任重いスね、曜至君」
だが彼は責任など考えもしないだろうな、と美作の口から乾いた笑いが零れた。
渋撥は自業自得だと言い、人当たりのよい美作でさえ冗談のように言う。彼等にとってはその程度のことなのだろう。世間知らずな小娘が不運にも悪い男に引っかかった、有り触れた事柄なのだろう。夜子はそれを咎める気は無かった。しかしながら、先輩であり同じ女であるから笑い事ではなかった。
「アヤナちゃんが澤木はんとお付き合いし始めて三ヶ月くらい経った頃、そういう雰囲気になって……。アヤナちゃん、澤木はんのことほんまに大好きやったらしゅうて、この男はんとならええ思うたそうどす」
「え。三ヶ月付き合うたらそういうことしてええの✨」
「露骨か」
パンッ、と鶴榮は美作の後頭部を叩いた。
「それから付き合うてる内に段々澤木さんと連絡取りにくゥなってったそうどす。なかなかメッセ返ってこおへんかったり、デートしても他に約束ある言わはって早よ帰らはったり。アヤナちゃんも流石に何かおかしいなと思て、他に付き合うてる人いてるんちゃうって澤木はんを追及して…………そしたら澤木はん、まったく隠す気もおへんかったみたいで、ポロポロ女の人の名前出てきたそうどす。他の女の人と別れる気おへんさかい、これが嫌ならオマエが別れたらええって言わはったて、聞いてます」
「曜至君、タラシやけどマメちゃうからな~。一人二人ダメんなっても、また引っかけて補充したらええかーくらいのモンやねん」
美作は腕組みをしてウンウンと頷いた。
「アヤナちゃん、男見る目もあれへんのやろけど、男運も悪かったな」
「自業自得やろ」
鶴榮は首を竦めて渋撥に合図を送った。渋撥は無感情に放言した。この男には柔らかい表現をする配慮など皆無だった。事実を端的に――渋撥らしくて鶴榮は苦笑を漏らした。
あの、渋撥はん……、と夜子が口を開いた。渋撥は煙草を咥えたまま億劫そうに顔を傾けた。
「澤木はんとお友だちやのに、こんな相談持ち掛けてしもてほんますんまへん。鶴はんはああ言うてはりましたけど、渋撥はんがお嫌なんどしたら無理には……」
「お前が気にすることちゃう。俺はお前が持ってきた話やから噛むんとちゃう」
夜子の生白く美しい顔で、華奢で嫋やかな姿形で、弱々しくしおらしい態度で、お力をお貸しくださいと頼られたのなら恋人でなくとも大抵の男は何とかしてやりたいと思うのだろう。しかしながら、渋撥はそういった人並みの情は持ち合わせていなかった。故に、首を突っ込むのは断じて夜子の為などではなかった。
「俺が断って禮に話が行ったら禮が頭悩ますやろ。ほなどの道俺が何とかしたらなしゃあない。それだけや」
渋撥はぶっきらぼうに突っぱねるように放言した。
しかしながら、夜子は胸の真ん中辺りにじんわりと熱を感じた。滲み出るような穏やかな笑みを零した。渋撥の行動原理が禮への思い遣りだったからだ。
近江渋撥は並の人情は備えていなくとも、寵姫への偏愛は惜しまない男だ。
放課後にコーヒーショップで相談を受け、渋撥の家を訪れ事情を説明し、時刻は日暮れ時となった。鶴榮は、これ以上遅くになるのはいけないと夜子を帰らせた。
男だけの作戦会議を繰り広げて程なくして、美作は妙案があると言い出した。
美作は改まってコホンと咳払いをした。
「それではー、僭越ながら俺が考えた〝曜至君ギャフンと懲らしめ作戦〟の説明をー✨」
「ノリノリやな美作。ほんまは曜至が嫌いなんか。ちゅうか今日日ギャフンて」
「普段から根に持っとることでもあるんやろ」
曜至に対して恨みがあるか、美作は敢えてそこには触れなかった。言明しないほうが物事が上手く進むことは往々にしてある。
彼等が達成しなければいけない目的は曜至への報復だった。アヤナは曜至との復縁を望んでいるわけではない。自分の大切なものを捧げたのにまるで無価値であるかのようにぞんざいに扱った男に未練はない。世間知らずな娘がそこまで愚かではなくてよかったと、最低の相談から救われた気分だった。
また、報復と言っても痛い目に遭わせるなど直接的なものはアヤナの意にそぐわなかった。あんなことしなければよかったと己の行いを悔いる程度の報復。寧ろ、鉄拳制裁で済むのなら渋撥としては楽でよかった。目先の欲が最優先であり結果や影響など顧みない男から、後悔や懺悔を引き出すほうがよっぽど困難だ。
「合コン言うて曜至を仕込みの女で釣り上げて、二人きりでええ感じなってるトコ押さえてドッキリでしたー……か」
鶴榮はリビングのテーブルに頬杖を突き、美作が意気揚々と発表した反芻して「ふぅーん」と零した。この程度で曜至が愚行を悔い改めるのか疑問は残るが、世間知らずのお嬢さんの溜飲を下げるには丁度よい。
「まー、曜至のアホは合コンっちゅうだけで食いつくやろけど。釣り上げるには、その仕込みの女をどうするかやな。アイツ、メンクイやで相当レベル高い女用意せなあかんで。お前そんなレベル高い女にツテあるんか、美作。女運皆無のクセに」
「ヒドイッ」
美作は鶴榮と渋撥にビシッと人差し指を立てて見せ付けた。
「実際、仕込みの女の子がこの作戦の一番のキモなんスけど。ここは一つ、夜ちゃんと禮ちゃんに協力してもらおーかと」
鶴榮は「はあ?」と太い眉毛をひん曲げた。
「合コンのセッティング自体は夜ちゃんに何とかしてもらうとして、この釣りの女は夜ちゃんと並んで見劣りせんくらいの子やないと曜至君食いつかへんでっしゃろ。そんなん知り合いのなかで禮ちゃんくらいですやん。そもそも夜ちゃん・禮ちゃんレベルの女のコなんかそうそういてへんし」
「アッホか。なんぼ曜至でもワシや撥の女て分かってんのにノコノコ手ェ出すか」
「曜至君なら大丈夫です✨」
「何の自信やねん」
美作は確信を持ってグッと拳を握った。曜至は即物的で浅劣な男であり、美作は言動を見抜く自信があった。
「夜ちゃん・禮ちゃんみたあな飛び抜けカワエエ子のほうから誘われたら曜至君がグラつかへんわけないです。近江さんや鶴さんには内緒で~言うたら即落ちですわ。バレる心配あれへんならホテルで一発ヤるくらいやります、確実に。曜至君そういう期待は裏切らへん男です」
「却下」
鶴榮と美作は渋撥のほうへ目線を向けた。渋撥は今の今まで黙って聞いていたくせに否定の言葉だけは断言した。
美作はその低い声から固い意志を感じ顔面にブワッと汗が噴き出した。しかしながら折角懸命に発案した作戦、簡単には引き下がらなかった。
「夜ちゃん・禮ちゃんレベルの子は貴重――」
「却下」
「せやかて確実に曜至君を釣り上げる為には――」
「却下」
「誘ういうても演技ですし俺等も監視してるさかい妙なことには――」
「却下や」
「もうそれ以上言うな美作。ドツき回されるで」
鶴榮は美作の肩をパンパンと叩いた。
「なんぼ作戦でも撥が禮ちゃんにそんなことさせるワケないやろ。ワシかて曜至が下心でヨルに指一本でも触った時点で殺す」
「…………!」
――そうでした。あなた方はそういう勝手な人種でした。
美作は項垂れて肩を落とした。
「しゃあない。ワシが持ってきた相談やし、ワシが動くわ」
そう言って鶴榮はスマートフォンを取り出した。素早く何者かに電話をかけ、スマートフォンを耳に当てた。鶴榮は誰とも知れぬ通話相手に、美作が発案した作戦を掻い摘まんで説明しているようだった。
美作は、重要な作戦会議を中途に放り出してまで誰と通話しているのかと鶴榮を見守った。何とかすると言った鶴榮のことだから意味の無いお喋りをしているわけではないだろう。
数分後、鶴榮は通話を終了してスマートフォンをズボンのポケットに仕舞った。美作に向かって得意げにニカッと笑って見せた。
「喜べ美作。女ゲット」
「まさか夜ちゃんバリの美少女が知り合いにおったんでっか」
「オウ。とっておきの美人や」
「近江さんや鶴さんばっかりそんな美少女とどこで⁉ ズルイ!」
「津伍」
心の底から鶴榮を妬んだ美作だったが、その名前を聞いた瞬間ピタッと硬直した。
騒がしい美作が口を閉ざしたことにより、室内に沈黙が訪れた。鶴榮は得意げにニヤニヤと笑い、渋撥はその名前に反応すらしなかった。美作は、鶴榮が自分の反応見たさにわざとその名前を挙げたのではないかとすら考えた。
時間が停止したようなしばしの沈黙を、煙草から立ち上る紫煙のみがゆらゆらと揺蕩った。
イヤイヤイヤ、鶴さん! と美作がハッと我を取り戻した。
「男、男、オス! なんぼキレエなカオしててもアレも歴とした男でんがな!」
分かり切ったことを大声で騒ぎ立てるのも滑稽だが、美作はそうしなければ気が済まなかった。
正直、鶴榮は腹の中では美作が騒然としているのが可笑しかった。彼は想像した通りに慌てふためいてくれる。しかしながら、津伍をキャスティングしたのは酔狂ではなかった。
「ヨルや禮ちゃん並みの美少女なんかそういてへん。なら作ったらええ」
「逆転の発想っちゅうヤツ⁉ どんな発想してはるんでっか!」
「お前よりは頭が柔らかいんかもしれんな」
美作は「うっ」と押し黙った。美作も津伍とは気さくな知人同士であるのに、その希有な美形振りは認めているのに、脳裏を過りもしなかった。鶴榮が自分より数段上の策士であるとしても悔しさなどは微塵もない。鶴榮もまた渋撥とは異なる領域で尊敬の対象であり、ただただ素直に頭が下がる。
美作は自分の作戦に津伍を当て嵌めてみて、妙案を得たようにハッと目を見開いた。
「イヤ、考えようによってはコレは逆によかったかも知れへん…………。曜至君には徹底的に痛い目見てもらお。そうや、トコトン津伍に吹っかけさして曜至君をその気にさしたる。男相手にフル勃起っちゅう死ぬほどの赤っ恥かかしたるでーー!」
美作は天井に拳を突き上げて高笑いをした。
コイツやっぱり曜至のこと嫌いやろ、と鶴榮は渋撥へ目線を動かして親指で美作を指した。
ひとまず作戦の大枠は決定した。
美作は、鶴榮や渋撥公認で曜至をやり込めるとあって意気揚々。渋撥はそもそも作戦に参加すること自体が不本意であり内容などどうでもよいから異を唱えなかった。
鶴榮はカーペットに座り込んだ体勢で片膝を立てた。胸ポケットから煙草の箱を取り出し、煙草を一本取り出して唇に挟んだ。テーブルの上に放ってあった渋撥のオイルライターを断りも入れず手に取り、煙草に火を付けた。煙を呑み、吐き出し、それをゆっくりと繰り返しながら一人で物思いに耽った。
しばらくして、美作に作戦に少々手を加えてよいかと言い出した。美作が鶴榮を否定することはまずない。勿論どうぞと承諾した。
「事が全部上手う運んだら、確かに曜至はこれ以上ないくらい凹まされるやろ。お前の日頃の恨みもちったあ晴れる。せやけど、それだけじゃあ足らんなあ」
「?」
美作にはまだ、鶴榮の胸中を読むことなど不可能だった。
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