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第2章 異世界攻略編

第43話 sleeping beauty……

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 カツカツと軍靴の音を立てながら廊下を歩くイレイス。行先には全くの迷いがないといった様子で、何度も通いつめたことが伺える。イレイスに連れられ、顔パスで中に通される。

 案内された病院の一室。
 しかしその扉を開ける前から嫌なムードが立ち込めていた。

 心臓が磨り潰されるような。
 寿命が刻一刻と縮まっていくような。

 ここにいるだけで気分がどんどんと悪くなっていく。

「早く終わらせよう」
「それでこそ君だ。では」

 ガララ……と扉を開く。

 それは、絶望という言葉では足りない。
 瀕死状態に陥った王国最強の騎士の姿だった。

「シンシア……」

 □■□


 醜悪なオーラに、俺は思わず顔を庇う。
 全てを飲み込もうとする闇の波動が病室に流れる。

「な、なんだこれは……」

 搬送されたのは約半日程前だろうか。
 まだ療養を続けていると聞いていた。

 彼女は目を覚ましていない。
 その原因が、例の短剣にあるのは明らかだ。

 

 瘴気がドライアイスのように瘴気となって溢れる。
 闇に一度触れたら、気を失ってしまう。そんな深淵を覗くにも似た感覚にうっと顔を顰める。

「あの短剣に『呪い』が付与されている」
「呪い……解除する方法は思いつかないんだな?」
「ああ。だから頼む」

 俺はドラ○もんかよって。

【ステータス】
 名前:レイ レベル:15
 HP360/360 MP211/220
 称号:【植物の探求者】
 ギルド:《北極星セプテントリオ
 ユニークスキル:【魅力支配ヴィーナス】【勇猛果敢メメントモリ
 EXスキル:《鑑識眼》C《演算領域》E《二刀流》E《気配遮断》F《処世術》D《全属性耐性》F
 スキル:『言語理解』C『料理』F『剣術』G『体術』F『槍術』G『火魔法』F『光魔法』G『土魔法』G『蓄積』F『瞑想』G『詠唱』G『紅魔』G『連携』G『受け流し』G『先見』G『暗視』G
 所持SP:25

「え……魔力が減ってる?」

 体力や魔力は全快していたはずなのに。
 こいつは……少し妙だぞ。

「まさか!」

 俺は《鑑識眼》をシンシアに向けて発動する。

【ステータス】
 名前:シンシア・オルデン レベル:78
 HP136/1580 MP0/1340
 称号:【全能者】
 ギルド:《王国騎士ロイヤル・フォート
 ユニークスキル:【一騎当千ペルフェクタ
 EXスキル:《剣聖》S《勇者》S《成長促進》E《全属性耐性》C
 スキル:『洞察眼』A『鬼神』B『剣術』SS『波動魔法』S『改魔』F『創作』G『根性』G『慧眼』G『気配察知』C『礼儀作法』B

 状態 『魔壊の呪い』

『魔壊の呪い』
 
 意識は昏倒して動けなくなる。また、周囲の魔力も奪う。

 昔は閲覧できなかったステータスが今なら良く見える。
 そして彼女を蝕む呪いの正体も、はっきりと。

「解呪方法の記載が無い……くそ。なあ、イレイス。普通だったら『呪い』はどう解くんだ」
「それは……シンシア様が得意としていた」

 そうなのか。なら、意味ねぇじゃん!
 シンシアは魔力がないから魔法が使えない。その上意識がなくて指の一本すら動かせないんだぞ。
 ど、どうすればいい?

 横たわるシンシアの傍に座り込む。

【ステータス】
 名前:レイ レベル:15
 HP360/360 MP210/220

【ステータス】
 名前:レイ レベル:15
 HP360/360 MP209/220

【ステータス】
 名前:レイ レベル:15
 HP360/360 MP208/220

 俺の魔力も減少していく。
 早めに決着を付けなければ!

 やむを得ん。

「EXスキル《演算領域》ッッ!!!」

 極限まで思考を加速する。
 俺が彼女を助け出せる方法。

 それを、考えろ……!

 脳が発熱していく。
 汗が無数に滲んで来る。

 口の中が乾いていく。
 全身の血管が、ドクドクと脈を打つ。

「絶対に、助けてやる……!」

 
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