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♯14ー14
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って!」
「……。嫌です」
「……! それでもあなた本当に被災者なの!? 地震起きて知り合いが大勢死んだのに何も感じないなんて本当に被災者なの!? いい加減な嘘つかないでよ! 目の前で知り合いが死ねば誰だって悲しくなるに決まってる! それなのにそんなひどい嘘つかないでよ! 被災者なら被災者らしく、もっとあの地震を憎みなさいよ! 原発問題処理できない国を恨みなさいよ! あなたを差別して傷つける人に怒りなさい」
「うるせえんだよ!」
突然内田が叫んだ。石井母は黙り込み、私たちも彼女を押さえつける力を弱めた。
立ち上がった彼の顔は真っ赤になっており、両目からはしょっぱそうな液体が流れてきている。
「俺の親父はクズだった! くだらない嘘で母さんに逃げられて! その腹いせに俺のけつの穴にちんこ突っ込んで! こんなのが死んだからなんだよ! なんであんな奴が死んで悲しくならなきゃならないんだよ! 学校や近所の連中も同じだ! ホモだホモだって言って殴ったり蹴ったり、あからさまに距離とったりするくせに! 俺が親父の話したらそんなの嘘に決まってるって決めつける! 誰も俺のために動いてくれなかった! 自分の都合で毎回考え方を変えて自分の行動が正しんだって言い張るばかりで! 誰も俺の味方になってくれない! こんな連中が死んだからどうだって言うんだよ! 知らねえよ! 人が死んで悲しいとか! そもそもあの地震がなかったら俺はまだあの町でクソみたいな親父にやられて! 学校でいじめられて! 先生や近所の大人に煙たがられて! 地震関係なくマジに自殺しててもおかしくなかった! むしろ嬉しかったよ! あのクソみたいな連中を全部流してくれて! 死んで当然の奴らをみんな殺してくれて! そんでこっちに来たらどうだよ! 被災者だから学校に来るなって言われて! 誰もそれが間違いだったって言わない! 先生たちは俺のこと面倒な奴だって思うだけで何もしてくれないし! 今日は被災者なんだから人が死んだことを悲しめなんて言ってくる! なんなんだよお前ら! 俺のこと全然分かろうとしないくせに俺にばっかりあれこれ言いやがって! だからこんなところ来たくなかったんだ! お前らなんかと一緒にいたくなかったんだ!」
途中嗚咽で言葉を詰まらせながらも、バケツの中身をぶちまけるように声を張り上げた内田は、自分の後ろのパイプ椅子を蹴り飛ばし、そのまま走って会議室を出ていった。私たちがすぐにその後を追いかけたのは言うまでもない。
「……。嫌です」
「……! それでもあなた本当に被災者なの!? 地震起きて知り合いが大勢死んだのに何も感じないなんて本当に被災者なの!? いい加減な嘘つかないでよ! 目の前で知り合いが死ねば誰だって悲しくなるに決まってる! それなのにそんなひどい嘘つかないでよ! 被災者なら被災者らしく、もっとあの地震を憎みなさいよ! 原発問題処理できない国を恨みなさいよ! あなたを差別して傷つける人に怒りなさい」
「うるせえんだよ!」
突然内田が叫んだ。石井母は黙り込み、私たちも彼女を押さえつける力を弱めた。
立ち上がった彼の顔は真っ赤になっており、両目からはしょっぱそうな液体が流れてきている。
「俺の親父はクズだった! くだらない嘘で母さんに逃げられて! その腹いせに俺のけつの穴にちんこ突っ込んで! こんなのが死んだからなんだよ! なんであんな奴が死んで悲しくならなきゃならないんだよ! 学校や近所の連中も同じだ! ホモだホモだって言って殴ったり蹴ったり、あからさまに距離とったりするくせに! 俺が親父の話したらそんなの嘘に決まってるって決めつける! 誰も俺のために動いてくれなかった! 自分の都合で毎回考え方を変えて自分の行動が正しんだって言い張るばかりで! 誰も俺の味方になってくれない! こんな連中が死んだからどうだって言うんだよ! 知らねえよ! 人が死んで悲しいとか! そもそもあの地震がなかったら俺はまだあの町でクソみたいな親父にやられて! 学校でいじめられて! 先生や近所の大人に煙たがられて! 地震関係なくマジに自殺しててもおかしくなかった! むしろ嬉しかったよ! あのクソみたいな連中を全部流してくれて! 死んで当然の奴らをみんな殺してくれて! そんでこっちに来たらどうだよ! 被災者だから学校に来るなって言われて! 誰もそれが間違いだったって言わない! 先生たちは俺のこと面倒な奴だって思うだけで何もしてくれないし! 今日は被災者なんだから人が死んだことを悲しめなんて言ってくる! なんなんだよお前ら! 俺のこと全然分かろうとしないくせに俺にばっかりあれこれ言いやがって! だからこんなところ来たくなかったんだ! お前らなんかと一緒にいたくなかったんだ!」
途中嗚咽で言葉を詰まらせながらも、バケツの中身をぶちまけるように声を張り上げた内田は、自分の後ろのパイプ椅子を蹴り飛ばし、そのまま走って会議室を出ていった。私たちがすぐにその後を追いかけたのは言うまでもない。
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