イレブン

九十九光

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♯8ー1

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 六月十日の金曜日。私は車に乗って八幡の住宅地の中を進んでいた。天候は三日ぶりの快晴だが、心の中は天草先生の言葉のせいで、無駄な緊張感という雨が降っている。

 町の中は古い家と明らかな空き家が点在していた。黒く塗りつぶされたトタンの外壁の家に、半壊して漆喰の壁がむき出しになっている家。個人経営の小さな商店に、小学生らしき子供が固まってDSらしき携帯ゲームをしている小さな社など、どこか昭和チックにも見える光景が広がっていた(あくまで個人の感想)。ちょっと遠くの空を見てみると、ほかの地区ではまず見られない竹藪のてっぺん部分がそこかしこに点在しているのが分かる。鍋山にある小学校の校歌の歌詞に、この辺の古い呼び名である『高根山』というものがあるらしいが、地形もその高根山を思い起こさせるような坂道が続いていた。

 私がやけに気にしている東中のOBのワル集団なのだが、これも説明なしにはかなりの勘違いを起こしかねない集団だ。

 彼らはカツアゲや武力抗争をするような本格的なワルではない。単に親や学校の言うことを聞かず、平日返上で遊びほうけ、ろくに高校にも行っていないというだけの集団だ。警察沙汰になるようなことは不純異性交遊くらいしかしていない。警察24時などで出てくる暴走族と比べるとかわいく思えるかもしれないが、今の東中には、伊達君彦を筆頭にこの集団とつき合う生徒がそれなりの数いるのだ。そのかわいい悪意が世代交代で風化せず、地元のお祭り以上にしっかりとした伝統として受け継がれてしまう。それが問題なのだと、私は昔山田先生から聞かされたことがある。

 そんな彼らのアジト、および内田平治の自宅には、数軒の家庭訪問の後、午後二時頃にや
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