イレブン

九十九光

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♯4ー15

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 三島先生がついさっき職員室で決まったと思わしき話を伝えてくる。

「三年二組なんですけど、先ほど臨時の職員会議で、一時間目だけ中止にして、それ以降は普通にやることが決まりました」

「ああ、はい。分かりました」

「それとこの花瓶と花なんですけど……」

 私が今日の日程変更に関する話にまともな反応を返す前に、三島先生は持ってきていた花瓶に視線を落とした。私は石井と浜崎を呼ぶ。

「三島先生! エッチな看護してください!」

「あんたじゃない、山本。二人とも、この花瓶と花、どこから持ってきた?」

 私は三島先生の持つ花瓶を指さしながら、持ってきたと話していた二人に質問する。「花瓶は俺んちから持ってきた」と石井が説明し、「それ、今日通学路にある知らない人の家からむしって持ってきた」と浜崎が説明した。石井はともかく浜崎は、よくもまあ臆面もなく窃盗罪を認めたものだ。

「じゃあ浜崎は、今日の帰りにその家行って、正直に謝ってきなさい。いいね」

 私が浜崎にそう言うと、三島先生は、「じゃあこれ、一応職員室の花瓶に変えて、しおれないようにだけしておきますね」と言い残して保健室から出ていった。

 保健室はその後も、今病人がやってきたらどうするのかというくらいに騒がしかった。授業以外で久しぶりに顔を合わせた、石井以外の三人が深沢先生と何やら盛り上がって話をしており、元々静かな内田となぜか静かになった石井は、それぞれ北側と南側の窓から外の景色を眺めている。内田はともかくとして、石井まで静かなのは不思議だった。争いの原因がなかなかシビアだったのを理解して、こういう態度を取っているのだろうかくらいにしか、私は正直考えなかったが(騒がしいと言っておきながら、人が静かにしている理由を考えるとは、これいかに)。

 その時だった。

『樋口先生。樋口先生。至急校長室までお越しください』

 小林先生のドスのきいた声で校内放送が入り、私が呼び出された。

「もしかして怒られんの? 今日のことで」

 寝そべったままの湯本が私に尋ねてきた。それが分かっているならお前も少しは反省しろ、と思いながら、私はしぶしぶ保健室を出ていった。そして嫌々向かった校長室で、佐久間校長から次の言葉をかけられた。
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