和製切り裂きジャック

九十九光

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#24ー5

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色々と言ってやりたいことはあったが、私は山田さんが犯人かもしれない人を見たという話だけを伝えた。
「マジすか……! で、警察への連絡は?」
「今ヘルパーの方がしてますんで」
 さらに今の状況を説明する。
「……。じゃあすぐに警察の人来たりするかな……」
「それはないんじゃないんですか? 目撃者以外に話を聞くことはないでしょうし。少なくとも今日は警察来ませんよ」
 私は氷川さんの心配事を否定することを口にした。警察が来るからと氷川さんに追い返されてしまうと、今この人から話を聞くことができなくなる。
「それより、氷川さんがよろしければ、家の中でお話しませんか? 別にお茶菓子とかもいいんで」
 こんな感じに話を切り出すと、氷川さんは「え? 今から?」と、驚いた様子で疑問符を使った。それもそうだろう。私は旅番組のロケでやってきた有名人ではないのだから。
「今友達がいるから……、ちょっと聞いてみるね」
 そう言うと氷川さんは家の奥へと消えていった。ずいぶんと寛大な性格の人だ。それとも私の心を、追い返してもしつこく言ってくるとでも読んだのだろうか。
 しばらくその場で待っていると、氷川さんは「OKだって」と帰ってきた。友達ともども、本当に心の広い人だ。私はお邪魔しますと言って氷川さんの家の中へ入っていった。
 リビングには氷川さんが言っていた友達がいた。黒髪を少し長めにしている、そこそこ背の高い男の人だった。
「おお! 結構かわいいじゃん! お前の彼女!」
「ちげえよ、バカ。知り合いの子供だよ」
 氷川さんは、開口一番からかうようなことを言った友達に、敬語を使わずに私のことを簡単に説明した。だがこの友達はそれでは止まらず、「俺、小暮直樹! ねえ名前は⁉ 後でLINE交換してよ!」と、ガンガンいこうぜで攻めてくる。
 私はそれを適当に流しながら、改めて氷川さんの家の中を確認した。テレビ横の橋本さん兄妹とのスリーショット写真を含めて、基本的に中のものは前と同じだった。テレビにつながれたプレステ4は画面上に格闘ゲームのポーズ画面を映し出し、ガラステーブルの上には炭酸飲料が入ったガラスのコップ二つにパーティ開けされたポテトチップの袋が、ソファの上には黒色のリュックサックが一つ乗っていた。パグのコロがいなかったが、和室につながっていそうな隣のふすまから犬の鳴き声が聞こえた。
 とりあえずしつこい小暮さんからの質問を終わらせるために、私は自分の名前やらLINEのIDやら親の職業やらさっき氷川さんにした話やらを一通り説明した。
「え⁉ お父さん警察⁉ じゃあ結構給料いいんじゃね⁉ ちょっと金貸してくんない⁉」
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