Night Sky

壊せ 予定調和の未来をー６

『各務ヶ原人間精肉工場』

「おい、待て！　人間精肉工場ってなんだ!?」

　文活が誰にするでもなく質問するが、誰もそれに答えない。ユニゾンを使った抵抗も試みるが、なぜかユニゾンは発動しない。そのままされるがまま、彼は他の人間ともども手枷で宙吊りにされた。

「近所の小学校のみんな、こんにちはー。今日は普段みんなが何気なく食べてる人肉がどうやって出荷されるのかを見せるよー」

　豚人間の一人が、牛や鶏、羊やヤギの頭を持つ小学生くらいの身長の生命体たちに話しかける。

　これはまさか……！　人間と家畜の立場が入れ替わった世界なのか!?

　文活が感づいた次の瞬間、豚人間が取り出したのは巨大な肉切り包丁やらペンチやらだった。

「人間を解体する時は、体の下から順に解体していくんだ。まずは足の爪。これはアクセサリーや漢方薬としての価値がある」

　そう言うと豚人間は文活の足の爪をペンチで一枚一枚剥がしていく。この瞬間、文活に幻覚とは思えないほどの激痛が走る。

「次に脚だ。太ももやお尻、ふくらはぎの肉はみんなもよく食べる部位。骨も出汁を取るとかの価値があるから大切な部位なんだ」

　そう言うと豚人間は肉切り包丁で文活の両脚を手際よく斬っていく。ここで文活は叫び、切断面から血が流れる。

「ちなみにこの血は真下の排水溝から工場の一施設に送られる。生き血としてそのまま飲む人もいれば、サプリメントにして飲む人もいる。次は胸からお腹を裂いてみよう」

　豚人間は内臓を傷つけないように注意しながら文活の胸から腹を切開していく。そこで一瞬、文活の意識は途切れた。

　そして気がつくと、もとの豚舎にいた。

「お前らー。出荷の時間だぞー」

　再び豚人間が豚舎の通路を通って現れ、人間たちを連れていく。

「ま、待ってくれ！　……！　夜空！　まさかこれを永遠繰り返す気じゃないだろうな!?」

　文活の中を、今まで感じたことのない恐怖心が支配した。

　一方雨は、一本の橋の上にいた。天気は快晴。左右には水が張っているだけで何もない。