Night Sky

行き場の無い問いが蟠るー３

　颯天は足の裏以外のすべての砲口からミサイルを撃ち込む。それは追尾するようにローランへと飛んでいく。

「何発撃てようと、一瞬だけ酸素を抜けば爆破はしない」

　ローランが酸素抜きを実践した次の瞬間。ミサイル群は閃光と爆裂音を轟かせてローランを怯ませた。火薬抜きの閃光弾と爆音弾だった。

　その隙に颯天は足の裏からミサイルを撃ち、一気にローランとの距離を詰める。ローランが気づいた時には、颯天の右の拳がローランの頬をとらえていた。

　大きく吹き飛ばされ、奥歯が欠けるローラン。第２のユニゾンで時間逆行し、ダメージを帳消しにしようとした矢先、再び颯天の大量のミサイルが飛んでくる。今度は怯ませるためのダミーと本物のミサイルの混合だった。そこに乗じて颯天が再び距離を詰め、ローランの翼を掴んで近くのビルに叩きつける。

　何もさせなければいい。相手の反応速度を越えた攻撃を繰り返せばいい。颯天の作戦は単純だった。

　その後はただひたすら颯天のターンだった。今までやられた分だけやり返す。時間操作でやりたい放題された分だけ、今度はこちらがやりたい放題する。すぐに颯天の全門は限界を迎えるが、アドレナリンがそれを帳消しにした。

「なぜ抗う！」

　ローランが叫んだ。

「旧世界はクソだ！　あんな世界影も形もなくなったほうがいいんだ！　なのになんでお前は！　お前らはそこまで執着する！　争いを望むのか！　幸せを認めないつもりか！」

　颯天の右手の砲口が、大きく開けられたローランの口をふさぐ。

「同じような答えの質問をするんじゃねえ！」

　次の瞬間、ローランの記憶にない光景が彼の脳裏によぎった。