Night Sky

九十九光

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許してはくれないか 弱い僕たちをー4

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 それを見て信也はにやついた。

 ナモが気づいた時には遅かった。今信也が立っている配管には、都市ガスの供給パイプにつき火気厳禁のシールが張られていた。

 地下で起きた電気による爆発は、真上のアスファルトをも吹き飛ばし、糸美とローランが交戦中の大通りへと2人を吹き飛ばした。

「……! 丼息さん!」

 糸美が焼けた状態で放り出された信也に声をかける。信也は即座にハンディキャップで回復し、息を切らしながらも立ち上がった。

「ああ! クソアチいなー! ちくしょう!」

 ナモはビルに取りつけられた大型モニターに電波化して入り込み、上半身だけ出していた。

「状況は!? 僕のスマホ壊れて!」

「秋晴さんアストルフォを倒しました! 敵はすべてユニゾン2つ持ち! 返事をした人は全員位置を教えてくれました!」

 糸美は自分では使いこなせないスマホを信也に投げ渡し、情報整理を託す。

「撹乱要因がやられたからなんだって言うんだ」

 そこにローランが糸美めがけて飛んでくる。ナモも電気化して糸美を襲おうとする。3人のように空中で活動できない信也が慌てた次の瞬間。

颯天がミサイル飛行で飛んできてローランの顔面を蹴りつける。

「颯天君! まともに動けるならLINEに返事してよ!」

「なんか言ったか、ショタホモ! まだ視界がぼやけてるし耳鳴りもするんだ!」

 颯天がそう返している間に、糸美がクモの糸でナモを拘束する。糸で巻きつけることはできたのだが、その瞬間に糸は電気で焼き切れ、糸美は感電した。

 何もできずに慌てふためく信也。そこに颯天と糸美が強気な発言をする。

「ショタホモ! この天使モドキは俺が相手する!」

「丼息さん! ナモは私が責任持って相手します!」

「ぼ、僕はどうすれば……」

「状況を読め、タコ! 自分の行動くらい自分で考えろ!」

 颯天が信也に厳しい正論を送る。

 その言葉に背中を押された信也は、路上に停まっていた車に乗り込み、行動を開始した。

「……。爆破のダメージを受けたりクモの糸で一瞬だけ拘束できたり。電気になれても物理攻撃は受けるみたいですね。」

 違うビルの壁に異なる方法でへばりつく糸美とナモ。

「あんさん、うちに勝てる気でおるん?」

 ナモのその質問に、糸美は力を込めてこう答えた。

「有言実行! 私の好きな言葉です!」
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