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僕らの革命前夜ー12
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「12人、問題ないか? アンタ一人で捌いてるみたいだが」
颯天が確認の質問をする。店主は「全然問題ないですよ! 何人こようと客に料理を出すのがあっしの仕事なんでね!」と、嬉しそうに答えた。
座敷席に案内された12人は、お品書きに目を通す。その間に嗅いだ厨房からの匂いで、どうやらラーメンに自信がある店だということが分かった。
「とんこつラーメンが自慢なんですか?」
糸美が尋ねる。
「分かりますか!? あっしらの店の自慢のスープでさあ! 2人の息子夫婦と一緒に守ってるスープでさあ!」
「……。ここも24時間営業なんですか?」
風雅の質問にも店主は、「当然! でも全然キツくないですよ! 創造主様が守ってくれるからねえ!」と答えた。
「で、何にしましょうか!?」
店主が12人のほうに向くと、彼彼女らは複雑そうな表情をしていた。「あの……」と店主が声をかけると、12人は一斉に注文した。
「とんこつラーメン人数分」
出てきたとんこつラーメンは、刻みネギにモヤシ、薄いチャーシューにメンマという、いたって普通のラーメンだった。
プロが作るだけあって、当然のごとく美味しいラーメンだった。小麦と王子はスープまで飲み干した。そのわりに12人は会話をしなかった。
「また来ておくんなせえよ!」
店主は景気のいい言葉で12人を送り出した。
*
都市部を離れた一行は、はじまり川の河川敷やって来た。空はほぼ満月に満点の星空。大気汚染の問題も解決している様子だった。
「今日、楽しかった?」
思い思いの場所に座る一同に、小麦が質問する。それに対して颯天は、「悪くなかった」と答えた。間を置いて一言つけ足して。
「あのラーメン屋を除いて」
誰もそれに対して何か言わなかった。全員が同じ気持ちだったからだ。
「仕事させてもらえることが幸せ? 創造主様が守ってくれるから笑顔でいられる? それをなんて言うか知ってるか? やりがい搾取って言うんだ。俺はあのクソガキの作ったこの世界を、理想郷だなんて思わねえ」
しばらくの静寂が続く。そして大樹が口を開いた。
颯天が確認の質問をする。店主は「全然問題ないですよ! 何人こようと客に料理を出すのがあっしの仕事なんでね!」と、嬉しそうに答えた。
座敷席に案内された12人は、お品書きに目を通す。その間に嗅いだ厨房からの匂いで、どうやらラーメンに自信がある店だということが分かった。
「とんこつラーメンが自慢なんですか?」
糸美が尋ねる。
「分かりますか!? あっしらの店の自慢のスープでさあ! 2人の息子夫婦と一緒に守ってるスープでさあ!」
「……。ここも24時間営業なんですか?」
風雅の質問にも店主は、「当然! でも全然キツくないですよ! 創造主様が守ってくれるからねえ!」と答えた。
「で、何にしましょうか!?」
店主が12人のほうに向くと、彼彼女らは複雑そうな表情をしていた。「あの……」と店主が声をかけると、12人は一斉に注文した。
「とんこつラーメン人数分」
出てきたとんこつラーメンは、刻みネギにモヤシ、薄いチャーシューにメンマという、いたって普通のラーメンだった。
プロが作るだけあって、当然のごとく美味しいラーメンだった。小麦と王子はスープまで飲み干した。そのわりに12人は会話をしなかった。
「また来ておくんなせえよ!」
店主は景気のいい言葉で12人を送り出した。
*
都市部を離れた一行は、はじまり川の河川敷やって来た。空はほぼ満月に満点の星空。大気汚染の問題も解決している様子だった。
「今日、楽しかった?」
思い思いの場所に座る一同に、小麦が質問する。それに対して颯天は、「悪くなかった」と答えた。間を置いて一言つけ足して。
「あのラーメン屋を除いて」
誰もそれに対して何か言わなかった。全員が同じ気持ちだったからだ。
「仕事させてもらえることが幸せ? 創造主様が守ってくれるから笑顔でいられる? それをなんて言うか知ってるか? やりがい搾取って言うんだ。俺はあのクソガキの作ったこの世界を、理想郷だなんて思わねえ」
しばらくの静寂が続く。そして大樹が口を開いた。
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