Night Sky

九十九光

文字の大きさ
上 下
188 / 379

hero busts onto the scene!ー3

しおりを挟む
 ほぼ同時刻。負傷を治癒系ユニゾンで治してもらった第一部隊の11人。彼彼女らは都内の病院のロビーに集められていた。

 自分の無力さに打ちひしがれる者、遊大をさらわれた悔しさに溺れる者、光の死亡を悲しむ者。全員、複雑な心境だった。

 そこに11人を集めた張本人がやって来る。再火穂花だった。

「照州と夜空の件は残念だったな」

 穂花は一言言った。颯天がにらみつけただけで、誰も何も言い返さなかった。

 穂花は本題に入る。

「今夜、夜空救出作戦を決行する。私の詰所も加わるよう要請された」

 それを聞いて一同がざわつく。声を荒げたのは太陽だった。

「だったら俺たちも」

「遠夏。忘れてないだろうな」

 穂花が太陽を制止する。

「仕事に私情を挟むな。例え仲間を殺されようと、さらわれようと、我々兵士は与えられた仕事を淡々とこなすのみ。それ以上のことはしない、いや、してはいけないのだ」

 それを聞いて一同が黙り込む。この任務への参加が絶望的だと感じたからだ。

「防衛省からの命令はこうだ」

 そこに穂花がこう告げた。

「目標は最低でも夜空遊大の救出、最大で総督シャルルと十二勇士の逮捕。人手はいくらあっても足りない」

 一同が顔を上げる。

「私情を挟むことなく、現場の包囲に徹することができると確約できる者だけ敬礼しろ」

 それを聞いて一同の顔が晴れた。遊大救出に関われる。それだけで充分だった。

 全員がその場で敬礼した。
しおりを挟む

処理中です...