Night Sky

Hip hip HOORAYー３

　16ポンド、7.2576キロあるボールはレーンの５センチ上をまっすぐ飛んでいく。そしてカコーンというピンが倒れる音ではなく、バコーンという着弾地点のあらゆるものが爆砕される音がした。

「……。阿玉先生。もうスポーツはやめましょう。ゲーセン行きません？」

　遊大の勧めで２人はゲームコーナーへ入った。UFOキャッチャーにメダルゲーム、その他有名なアーケードゲームが所狭しと立ち並ぶ有り様に、遊大は圧倒された。

「ねえねえ、夜空君！　このクソでかいうまい棒取ろ！」

　花子が食いついたのは、UFOキャッチャー内の巨大駄菓子だった。

　そんなものがあるのか。そもそもこんなちっちゃいアームで取れるものなのか。

　遊大はそんな疑問を感じたが、花子の欲望は止まらない。

「はいこれ。お札両替して用意した100円玉30枚。私その辺で遊んでるから、足りなくなったら言ってね」

　まだやるとも言っていないのに、花子は遊大に100円玉を預けてどこかへ行ってしまった。

　一応言われた通りUFOキャッチャーに挑戦する遊大。しかしこれも発の経験であり、５、６回挑戦したくらいでは傾くだけで取れる気配もなかった。

「僕、あのお菓子がほしいの？」

　すると遊大の後ろから、一人の女性の声がした。ゲームコーナー担当の店員だった。

「ほしいというか……、連れの人がほしいって言って、お金だけ預けてどっか行って……」

「ちょっと待ってて」

　店員はUFOキャッチャーのケースを開け、目標の駄菓子を落とし口の近くに配置し直す。

「このUFOキャッチャーは爪型のUFOキャッチャーで、景品の上の方にはわっかになってる紐がついてるの。だから景品本体を掴むんじゃなくて、わっかに爪を通すようにすると取りやすいわよ」

　遊大はそのアドバイス通りにクレーン部分を動かし、狙いを定める。爪は紐でできた輪に引っかかり、クレーンの上昇とともに景品も上に上がる。そしてお目当ての駄菓子は落とし口に見事入った。

「おめでとう！」

「あ、ありがとうございます」

　遊大は景品を抱えて女性店員にお辞儀した。