Night Sky

九十九光

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The Greatest Show On Earthー6

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 時間はその日の午前10時ほどまでさかのぼる。山羽咲はパソコンのオンライン会議の画面をつけていた。すでに再火穂花は入っているが、生命正義と商学ナナツはなかなか入ってこない。

「……。これでいいのか? 声入っているか? 私の顔見えているか?」

「おおー。初めてオンライン会議やるけど、こんな感じなんだねー」

 予定の時間より3分遅れて、正義とナナツが入ってきた。「遅いぞ、貴様ら」と穂花が言うと、「再火隊長も私の助け借りてようやく入れたじゃないですかー」と、穂花の画面から女性の声が聞こえてくる。

「……。とにかく、これで連絡の取れた特級兵士は全員揃いましたね」

 咲は1冊の本を画面に映るように見せる。歴史は消えないだった。

「今朝、灰色仁氏から防衛省宛にこの本が届きました。問題は、表紙カバーの裏に貼りつけてあった紙です」

「なんて書いてあったの? 灰色さん何か掴んだの?」

 ナナツが興味を示す。咲はペットボトルの水を一口飲んでからこう告げた。

「ユニゾン革命隊の組織規模と、日本における全国一斉攻撃の予定日付です」

 想像を絶するほど物騒な言葉を聞いて、3人の特級兵士は言葉を失った。

「規模から説明すると、日本だけで、普通人間の戦士が約140万人。改造人間、ロイドは約50万体。支部は世界各国に存在し、当然その国にもロイドは存在するとのことです。全国一斉攻撃については、半年後に47都道府県の県庁所在地のある街で同時にテロ行為を行うという内容です。ユニゾン革命隊の目的は、日本の政治と軍事をすべて崩壊させ、新たな支配者となることです」

 半年後に計190万の戦力が全国で同時多発テロを起こす。それだけで特級兵士たちはすぐに言葉を出せなくなった。

 日本の現在の現役兵士の総数は約12万人。約29万人いる警察官と約15万人いる警察予備隊も戦力に数えても、単純な敵の総数には及ばない。半年という準備期間はあるが、それは革命隊も同じ。当日はさらに数の増えた戦力を相手にする必要があると考えられる。
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