Night Sky

心が悴む前にー６

　花子が頭突きをして強引にロボットを後方に飛ばす。ロボットはその勢いのまま足の裏からジェット噴射のようなことをして宙に飛び上がった。

「……！　逃がすかよ！」

　花子が地面を蹴り上げて宙に飛ぶ。花子はそのまま空を蹴ってロボットと同じ高度に追いついた。

「アルティメット真拳奥義！　ハリケーンミキサー！」

　花子は上昇の勢いそのままにロボットに頭突きした。ブレーキをかける手段がないロボットは、今度は大きく後方に吹き飛んだ。

「力比べで私に勝とうなんざ、100億光年早いんだよ！」

《阿玉花子　ユニゾン名：アルティメットセンパイ……知能以外の身体能力が向上する。その代わり、各種欲求を押さえる理性が弱くなる。》

「明日カラ生キテク……、自分ノ身代ワリガ欲シクテ……、堪ラナイ……」

　吹き飛んだロボットは口を大きく開ける。何をしてくるかと花子が警戒していると、そこから複数体のロボットが飛び出してきた。造形やカラーリングは本体と同じだが、大きさは1/2ほど。だがどう考えても体内に格納していたとは思えない量と大きさだった。

　花子は覚った。このロボット、ユニゾンを持っていると。

　小型ロボットは花子に突撃してくる。彼女は最初の数体は比較的脆いボディのお陰で叩き潰せたが、何体かは懐に入り込むことを許してしまった。小型ロボットは噛みつきや殴る蹴るなどで花子に傷を負わせていく。

「アルティメット真拳奥義！　竜巻旋風脚！」

　花子はその場で回転し、まとわりつく小型ロボットを吹き飛ばした。しかし遠方の本体は次々と小型ロボットを口から射出してくる。

　その様子を地上から見ていた遊大と颯天。遊大は不安げに、颯天はイライラしながら見ていた。

「もう我慢ならねえ！」

　颯天は両手のひらを地面に向けると、そこからミサイルを射出する。遊大がその爆風に思わず目を瞑り、開けた時には颯天は宙に飛んでいた。その後も断続的にミサイルを撃ち続け、その反動で空中を移動していた。

　あんなこともできるのかと遊大が驚いたのもつかの間だった。撃ったミサイルは遊大めがけて飛んできた。