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心が悴む前にー3
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その様子を見ていた仁は青ざめる。佰年の頭が徐々に肥大し、天井に届きそうな大きさになっていた。
「落ち着いてください支部長! ほら、キャラメルなんとか飲んで!」
仁がスターバックスの容器を佰年に差し出し、ストローを口に咥えさせる。佰年は中身を勢いよく飲み、膨れ上がった思考と脳を小さく落ち着かせた。
《五反田佰年 ユニゾン名:ブレイン・フルード・エクスプロージョン・ガール……IQを大幅に上昇できる。その分だけ脳と頭蓋骨が肥大化し、容量を超えると頭が炸裂、5時間ほどで元に戻る。》
「とにかく……。キノコ男が意識を取り戻さんと尋問もできん。それで口を割るとも思えんがな」
なんとか通常サイズに頭を戻した佰年が言う。それを聞くと仁は、「そうですよね」とだけ返して立ち上がり、出入り口のほうに向かう。
「僕はこれで。それと、しばらく外部の仕事で第一部隊のみんなに構ってられないんで、代わりの教官に面倒を任せます」
「外部の仕事? んなもんわしは依頼した覚えはないぞ」
佰年の言葉に対して、仁は右手の人差し指を上に向け、こう返した。
「いえ、もっと上からの指示です」
*
「やーやー、おはよう、第一部隊の諸君!」
その日の朝、共同スペースで訓練の時間までくつろいでいた第一部隊の面々の前に現れたのは、快活な笑顔を見せる女教官だった。
「あの……、どちら様で?」
その教官と面識のない遊大が質問する。
「ああ、夜空君は私と会ったことないんだっけね。私は阿玉花子(アタマ ハナコ)。灰色君がしばらく外注の仕事でここを開けることが多くなるという理由で、それまでの間君たちの面倒を見ることになった。よろしく~」
よろしくお願いしますと返す遊大の周囲では、諸先輩たちがざわついていた。
「阿玉先生は、あまりいい噂がないんだ……」
部屋の隅にうずくまる人陰が語り出す。
「落ち着いてください支部長! ほら、キャラメルなんとか飲んで!」
仁がスターバックスの容器を佰年に差し出し、ストローを口に咥えさせる。佰年は中身を勢いよく飲み、膨れ上がった思考と脳を小さく落ち着かせた。
《五反田佰年 ユニゾン名:ブレイン・フルード・エクスプロージョン・ガール……IQを大幅に上昇できる。その分だけ脳と頭蓋骨が肥大化し、容量を超えると頭が炸裂、5時間ほどで元に戻る。》
「とにかく……。キノコ男が意識を取り戻さんと尋問もできん。それで口を割るとも思えんがな」
なんとか通常サイズに頭を戻した佰年が言う。それを聞くと仁は、「そうですよね」とだけ返して立ち上がり、出入り口のほうに向かう。
「僕はこれで。それと、しばらく外部の仕事で第一部隊のみんなに構ってられないんで、代わりの教官に面倒を任せます」
「外部の仕事? んなもんわしは依頼した覚えはないぞ」
佰年の言葉に対して、仁は右手の人差し指を上に向け、こう返した。
「いえ、もっと上からの指示です」
*
「やーやー、おはよう、第一部隊の諸君!」
その日の朝、共同スペースで訓練の時間までくつろいでいた第一部隊の面々の前に現れたのは、快活な笑顔を見せる女教官だった。
「あの……、どちら様で?」
その教官と面識のない遊大が質問する。
「ああ、夜空君は私と会ったことないんだっけね。私は阿玉花子(アタマ ハナコ)。灰色君がしばらく外注の仕事でここを開けることが多くなるという理由で、それまでの間君たちの面倒を見ることになった。よろしく~」
よろしくお願いしますと返す遊大の周囲では、諸先輩たちがざわついていた。
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部屋の隅にうずくまる人陰が語り出す。
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