353 / 379
白黒曖昧な正義のヒーローー1
しおりを挟む
「数が減ったからなんだって言うんだ! 俺は俺の仕事をこなすだけよ!」
フロリマールはバットを構えて臨戦態勢に入る。
性格から察するに、距離を取る相手やどうしようもない相手にのみ、第2のユニゾンは使うはず。となれば一番の驚異はジャイアントパンダの強靭なパワー。
信也の思考は冷静だった。今まで本当にどうしようもない修羅場をくぐって来たことを考えれば、むしろこの状況は戦いやすいくらいだった。
「あれだけ強がっといて尻込みか? てめえそれでも漢か? 来いよ! 真っ向から受けてやるぜ!」
フロリマールがそう煽った次の瞬間だった。
信也は人間ではあり得ない速度でフロリマールとすれ違い、その間に彼の体を同じく人間ではあり得ないほど深く爪で傷つけた。
何をした?
フロリマールは自分の体ののろさを実感しながら、思考を張り巡らす。振り向いて確認しようにも、首を動かす時間も遅くなっていてできない。
そして30秒経過。フロリマールは信也のいる後方へと吹き飛ばされた。裂かれた部分に強い痛みを感じながら彼は信也を見た。
足の爪はチーターのように、傷つけるほどの鋭さを持って床に食い込み、手の爪はアリクイのように異常発達していた。
「スロォモォション……! 夜明けの合図(サン・ゴーズ・アップ)……!」
*
「なるほど……。屋上に来た時、階段から来なかった理由が分かったぜ……」
傷を庇うことなくフロリマールが立ち上がる。
「爪の形状、硬度、を自在に調整できるようになったのか……! 爪を使って壁をよじ登って屋上に来たんだな……!」
息を整え終えた信也は、返事の代わりに口角を上げる。そして再び、チーターを真似た瞬発力でフロリマールに襲いかかる。
今度は金属バットで受け止めたフロリマール。直線的な移動しかできないなら、挙動さえ分かれば受けるのはそう難しくなかった。
そう思った矢先だった。
信也は片方の足の爪を牛の蹄のように形状変化させ、それでフロリマールを蹴り飛ばした。
女児向けおもちゃコーナーに叩きつけられ、肋骨が折れたのを実感したフロリマール。出し惜しみは禁物だと認識した。
フロリマールはバットを構えて臨戦態勢に入る。
性格から察するに、距離を取る相手やどうしようもない相手にのみ、第2のユニゾンは使うはず。となれば一番の驚異はジャイアントパンダの強靭なパワー。
信也の思考は冷静だった。今まで本当にどうしようもない修羅場をくぐって来たことを考えれば、むしろこの状況は戦いやすいくらいだった。
「あれだけ強がっといて尻込みか? てめえそれでも漢か? 来いよ! 真っ向から受けてやるぜ!」
フロリマールがそう煽った次の瞬間だった。
信也は人間ではあり得ない速度でフロリマールとすれ違い、その間に彼の体を同じく人間ではあり得ないほど深く爪で傷つけた。
何をした?
フロリマールは自分の体ののろさを実感しながら、思考を張り巡らす。振り向いて確認しようにも、首を動かす時間も遅くなっていてできない。
そして30秒経過。フロリマールは信也のいる後方へと吹き飛ばされた。裂かれた部分に強い痛みを感じながら彼は信也を見た。
足の爪はチーターのように、傷つけるほどの鋭さを持って床に食い込み、手の爪はアリクイのように異常発達していた。
「スロォモォション……! 夜明けの合図(サン・ゴーズ・アップ)……!」
*
「なるほど……。屋上に来た時、階段から来なかった理由が分かったぜ……」
傷を庇うことなくフロリマールが立ち上がる。
「爪の形状、硬度、を自在に調整できるようになったのか……! 爪を使って壁をよじ登って屋上に来たんだな……!」
息を整え終えた信也は、返事の代わりに口角を上げる。そして再び、チーターを真似た瞬発力でフロリマールに襲いかかる。
今度は金属バットで受け止めたフロリマール。直線的な移動しかできないなら、挙動さえ分かれば受けるのはそう難しくなかった。
そう思った矢先だった。
信也は片方の足の爪を牛の蹄のように形状変化させ、それでフロリマールを蹴り飛ばした。
女児向けおもちゃコーナーに叩きつけられ、肋骨が折れたのを実感したフロリマール。出し惜しみは禁物だと認識した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
戦艦大和、時空往復激闘戦記!(おーぷん2ちゃんねるSS出展)
俊也
SF
1945年4月、敗色濃厚の日本海軍戦艦、大和は残りわずかな艦隊と共に二度と還れぬ最後の決戦に赴く。
だが、その途上、謎の天変地異に巻き込まれ、大和一隻のみが遥かな未来、令和の日本へと転送されてしまい…。
また、おーぷん2ちゃんねるにいわゆるSS形式で投稿したものですので読みづらい面もあるかもですが、お付き合いいただけますと幸いです。
姉妹作「新訳零戦戦記」「信長2030」
共々宜しくお願い致しますm(_ _)m
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる