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魔法がとけるチョコみたいにー1
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「私と戦おうって? アンタ、意外とバカじゃな~い?」
上下の立ち位置で向かい合う風雅に、マラジジが上から見下ろす。
「こっちは近距離でも遠距離でも戦える完全飛行能力持ち。アンタとは格が違うの。か・く・が」
そう言われて風雅は回転しながら空を飛び、マラジジに拳をぶつけようとする。しかし飛行精度も速度も、マラジジが上だった。
「やっぱバカ! いくら飛行先をある程度制御できるようになっても、この始末じゃ私に勝つのは100年早いわね~!」
乱射されるビームをギリギリのところでかわす風雅。しかし彼には余裕があった。
「知ってるか? 単純なユニゾンほど、伸びしろがあるんだぜ」
そこでようやくマラジジは気がついた。周囲の風速が目に見えて上がってきていることに。
「ダブルラリアット! 半径6300km(アイ・オブ・ザ・タイフーン)!」
*
それから数分後。空中戦を繰り広げる颯天とローランは、互いに別々のビルの上にいた。吹き荒れる暴風を前に、落下防止のフェンスにしがみつくだけで精一杯だった。
「あのタケコプター! 広範囲を巻き込むから極力使わないっつった技使いやがったな!」
風の中心から離れた位置でこの始末である。風の中心の風雅のいる地点はさらにひどい有り様だった。
マラジジは文字通り台風の中に飛び込んだような暴風にさらされ、まともな飛行ができなくなっていた。グルグルと風にかき回されるがままだった。
そこに巻き込まれた車や道路標識、看板などが襲いかかる。マラジジは持ち前の近接戦闘力で迫ってくるそれらを弾き返すが、すべてそのように対処できるわけではなかった。いくつかは暴風に乗った速度そのままで彼の体に激突した。
「……! この……!」
マラジジはステッキを構えてチョコレート化ビームを連発する。しかし巻き込まれた物体が盾になって風雅には当たらない。そうでなくともこの暴風の中ではステッキの照準もまともに合わない。
距離を取るのはかえって不利。
そう判断したマラジジは、風に流されるがまま渦の中心へと向かった。いくつもの物体にぶつかりながらたどり着いたその先には、もはや人間なのか判別できない速度で回転する風雅がいた。
上下の立ち位置で向かい合う風雅に、マラジジが上から見下ろす。
「こっちは近距離でも遠距離でも戦える完全飛行能力持ち。アンタとは格が違うの。か・く・が」
そう言われて風雅は回転しながら空を飛び、マラジジに拳をぶつけようとする。しかし飛行精度も速度も、マラジジが上だった。
「やっぱバカ! いくら飛行先をある程度制御できるようになっても、この始末じゃ私に勝つのは100年早いわね~!」
乱射されるビームをギリギリのところでかわす風雅。しかし彼には余裕があった。
「知ってるか? 単純なユニゾンほど、伸びしろがあるんだぜ」
そこでようやくマラジジは気がついた。周囲の風速が目に見えて上がってきていることに。
「ダブルラリアット! 半径6300km(アイ・オブ・ザ・タイフーン)!」
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それから数分後。空中戦を繰り広げる颯天とローランは、互いに別々のビルの上にいた。吹き荒れる暴風を前に、落下防止のフェンスにしがみつくだけで精一杯だった。
「あのタケコプター! 広範囲を巻き込むから極力使わないっつった技使いやがったな!」
風の中心から離れた位置でこの始末である。風の中心の風雅のいる地点はさらにひどい有り様だった。
マラジジは文字通り台風の中に飛び込んだような暴風にさらされ、まともな飛行ができなくなっていた。グルグルと風にかき回されるがままだった。
そこに巻き込まれた車や道路標識、看板などが襲いかかる。マラジジは持ち前の近接戦闘力で迫ってくるそれらを弾き返すが、すべてそのように対処できるわけではなかった。いくつかは暴風に乗った速度そのままで彼の体に激突した。
「……! この……!」
マラジジはステッキを構えてチョコレート化ビームを連発する。しかし巻き込まれた物体が盾になって風雅には当たらない。そうでなくともこの暴風の中ではステッキの照準もまともに合わない。
距離を取るのはかえって不利。
そう判断したマラジジは、風に流されるがまま渦の中心へと向かった。いくつもの物体にぶつかりながらたどり着いたその先には、もはや人間なのか判別できない速度で回転する風雅がいた。
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