Night Sky

九十九光

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仇花すっかり舞い散る季節ー1

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 ある日の朝、寮の共同スペースで朝食を取る第一部隊の一同に、花子がこんな連絡をしてきた。

「君たち、もとい夜空君に外注の仕事がきた」

 その言葉に、遊大は口の中のものを飲み込んでから確認をする。

「またテレビの取材ですか? 結構緊張するし、何話せばいいのか分からないから嫌なんですけど……」

「違う違う。幼稚園で園児と触れ合う仕事だよ」

 花子が笑いながら細かな説明をする。

「埼玉の川越にある私立の幼稚園からの依頼。今度の調整日の火曜日に、園児と触れ合ってくれって仕事。まあ地元のテレビ局が当日来るらしいから、インタビューはせざるをえないだろうけど」

 またテレビ。遊大が「なんで僕なんですか~? もっと経験のある人呼べばいいのに~」と文句を言う。そこに花子は、痛烈な大人の事情を説明した。

「君は日本初の飛び級を成功させた訓練生。軍は君を政府のプロパガンダとして、味がしなくなるまでしゃぶり続ける。民間人もそんな君に注目して指名する。そういう話さ」

 遊大の嫌そうな顔はより一層強くなった。

「そんな嫌そうな顔しないでよ~。君以外にも3人くらい連れてきてって依頼だからさ~。行く人手挙げて~」

 花子の言葉に対して、各々の反応は冷たかった。

「誰がそんなかったりい仕事するかよ」

 と颯天。

「子供と触れ合い……。絶対に無理だ……」

 と人陰。

「行ってもいいですが、こんな見た目なんで、園児が怖がる可能性が……」

 と大樹。

「せっかくの調整日くらい、ゆっくりさせてくれよ」

 と光。

「お前ら、そんな後ろ向きでいいのかよ」

 そんな中、前向きな姿勢を見せたのは王子だった。

「遊大の成長速度ははっきり言って異常だ。兵士としての素質はもう俺らと大差ねえくらいだ。そこにコミュニケーション能力まで備わっちゃ、俺らの立つ瀬がねえよ」

 王子は立ち上がり、両の拳を軽くぶつける。

「先生、俺も行きます! 兵士のカッコよさを見せつけてやります!」

 熱血漢で向上心の塊である王子らしい発言だった。
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