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僕らは泥を這い蹲るものー1
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自分の戦闘スタイルを定めてから、遊大は蹴り技と飛行速度上昇の練習を積み重ねていった。
この日も朝早くからこの2つに磨きをかけるため、周辺地域から出た廃材をかき集めて作った第6グラウンドで練習をしていた。急上昇からの急降下で、的にした角材や鉄板などに蹴りを入れる。そんな身を削るような練習だった。
「ずいぶんと熱が入ってるね」
そんな遊大に1つの錆びたコンテナの中から、聞き慣れた声がする。遊大が空中で静止すると、コンテナの屋根から雨が上半身を出した。
「土竜さんこそ、こんな朝早くに」
遊大が高い位置から声をかけると、雨はこんなことを口にした。
「そりゃそうさ。2日前に教官棟に行った時、今日第一部隊に特別な訓練をするって話を耳にしたんだ」
特別な訓練。そんな言葉を聞かされて、向上心の塊になっている今の遊大が食いつかないわけがなかった。
「定期的にそういうことをして、訓練生の評価をしているんだ。基本は抜き打ちだけど、情報は得たもん勝ち。だから普段からピリピリしてる人もいれば、直前までだらけてる人もいる。まあ、千差万別ってやつだね」
遊大に食いつかれた雨は、そのように説明する。すると次に遊大の中に、新たな疑問が出てきた。
「どうしてそんなことを教えるんです? 初めて会った時、年下だからって甘やかしたりしないみたいなこと言ってたのに」
遊大の疑問に、雨は次のように答えてからコンテナの中に沈んだ。
「努力家は嫌いじゃないからさ」
*
「というわけで本日は、抜き打ち特別訓練ターイム!」
迷彩に着替え、第三体育館に集められた第一部隊の一同に、花子はクラッカーを鳴らしながら発表する。広い体育館で1発のクラッカー。これといって盛り上がることはなかった。
「で、今回は何をするんだ?」
颯天が切り出すと、花子は「ノリがいいね~、実砂君~」と嬉しそうにする。
「ズバリ! 一対一のガチバトル鬼ごっこ~!」
そう言いながら花子は懐からクラッカーを取り出して鳴らす。誰もそれについてはリアクションしなかった。
この日も朝早くからこの2つに磨きをかけるため、周辺地域から出た廃材をかき集めて作った第6グラウンドで練習をしていた。急上昇からの急降下で、的にした角材や鉄板などに蹴りを入れる。そんな身を削るような練習だった。
「ずいぶんと熱が入ってるね」
そんな遊大に1つの錆びたコンテナの中から、聞き慣れた声がする。遊大が空中で静止すると、コンテナの屋根から雨が上半身を出した。
「土竜さんこそ、こんな朝早くに」
遊大が高い位置から声をかけると、雨はこんなことを口にした。
「そりゃそうさ。2日前に教官棟に行った時、今日第一部隊に特別な訓練をするって話を耳にしたんだ」
特別な訓練。そんな言葉を聞かされて、向上心の塊になっている今の遊大が食いつかないわけがなかった。
「定期的にそういうことをして、訓練生の評価をしているんだ。基本は抜き打ちだけど、情報は得たもん勝ち。だから普段からピリピリしてる人もいれば、直前までだらけてる人もいる。まあ、千差万別ってやつだね」
遊大に食いつかれた雨は、そのように説明する。すると次に遊大の中に、新たな疑問が出てきた。
「どうしてそんなことを教えるんです? 初めて会った時、年下だからって甘やかしたりしないみたいなこと言ってたのに」
遊大の疑問に、雨は次のように答えてからコンテナの中に沈んだ。
「努力家は嫌いじゃないからさ」
*
「というわけで本日は、抜き打ち特別訓練ターイム!」
迷彩に着替え、第三体育館に集められた第一部隊の一同に、花子はクラッカーを鳴らしながら発表する。広い体育館で1発のクラッカー。これといって盛り上がることはなかった。
「で、今回は何をするんだ?」
颯天が切り出すと、花子は「ノリがいいね~、実砂君~」と嬉しそうにする。
「ズバリ! 一対一のガチバトル鬼ごっこ~!」
そう言いながら花子は懐からクラッカーを取り出して鳴らす。誰もそれについてはリアクションしなかった。
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