毎日記念日小説

百々 五十六

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10月19日 冷凍食品の日 雑談欲解消

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今日の雑談、どんな感じなのかな?
楽しく雑談できるかな?
このあふれる雑談欲を解消できるような雑談かな?
盛り上がるような雑談かな?
簡単で楽しい雑談かな?
新たな知識が増える雑談かな?
雑談が終わっても、ご機嫌でいられるような雑談かな?
俺は、今日の雑談を楽しめるのかな?
楽しみだなぁ。
楽しみだなぁ。
早く雑談したいなぁ。
雑談欲が溢れそうだ。
どんな話題かな?
面白話題に当たるかな?
ワクワクと心躍らせながら俺は、『雑談部屋』に入っていった。



今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『冷凍食品コーナーの前』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『村山様』『関様』『矢野様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『冷凍食品』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
冷凍食品か。
冷凍食品かぁ…
食べ物系の話だから、盛り上がりやすそうな話題になるのかな?
食べ物系にしては、少し話題の幅が広い。それが少し不安なポイントだな。
でも、盛り上がるだろ!
多分盛り上がるはずだ。
話す題材を出すかもしれないし、その時のテーマを決めなきゃなぁ。
どうしようかなぁ。
どうしようかなぁ。
何がいいかなぁ。
面白いテーマがいいなぁ。
”冷凍食品で何が好き?”みたいな、無難なテーマしか思いつかないなぁ。
しょうがない、面白いテーマなんて思いつかないから、”冷凍食品で何が好き?”をテーマとして思っていこう。
そうしよう。
誰か面白いテーマ持ってくるのかな?
それが楽しみだな。
テーマが決まったところで、光が収まった。

今日の話し出しは、関だった。
いつものハイテンポな雑談が始まった。
「今日の話題は、『冷凍食品』ですね、はい。皆さんは冷凍食品は好きですか?」
「俺は、冷凍食品と普通の食品の違いがあまり分からないタイプだから、手軽に食べられる冷凍食品は好きだぞ。冷凍食品って、レンジで最適な熱の入れ方するの難しいよな」
「僕はね、あんまり冷凍食品は好きじゃないんだ。僕はね、冷凍食品特有の味がちょっと苦手でね」
「僕は、冷凍食品は好きな方だと思う。うちの母は弁当に冷凍食品とかを結構入れるタイプだから、食べなれた味って感じがすると思う」
「私も冷凍食品は好きです、はい。弁当とかで食べなれているし、冷蔵庫にいつでも食べられるものがあるという安心感がすごいですよね、はい」



それから思いのほか雑談が盛り上がった。
好きな冷凍食品の話になったり、矢野が苦手だと言った”冷凍食品特有の味”がどんなものかを聞いたりした。
広めの話題だから、何を話せばいいのか迷子になるみたいな展開がなくてほっとした。
冷凍食品って、話題としてちょうどいいよな。毎日食べるものってわけではないけど、結構な頻度で食べるし。
今日の雑談に満足していると、アナウンスが鳴った。



”31分23秒49が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


最近の冷凍食品ってすごいですよね。
どんどん味もおいしくなってきて。
味音痴な私は、もう冷凍食品と普通の食べ物の違いがよくわかっていません。
保存も利くし、食べたいときにすぐ食べられるし、冷凍食品って優秀ですよね。
コンビニとかでも買えるし。
日常の中で、食事の選択肢の中に完全に冷凍食品が入ってきました。
便利な世の中になりましたよね!!


今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
今日の雑談は楽しかったなぁ。
溜まっていた雑談欲が、綺麗に解消された気がした。
すっきりした。
冷凍食品かぁ。
なんか食べたくなってきたなぁ。
夜にでも冷蔵庫を明後日食べようかな。
雑談欲の代わりに、食欲をわかせながら、次の授業の準備を始めた。








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