毎日記念日小説

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9月4日 オークションの日 ふわっとしてても楽しめる

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昨日は楽しかったけど、やっぱりお客さんになって皆の話に相槌を打つだけなのってよくない気がする。
今日は『雑談部屋』なんだから、ちゃんと雑談に加わるようにしよう。
ちゃんと参加したほうが楽しいんだから。
よし、今日は頑張るぞ。
だから、なるべく参加しやすい話題でありますように。
俺のやる気に免じて、簡単な話題にならないかなぁ。
だんだんとやる気が願望に変わっていったところで、俺は『雑談部屋』に入っていった。





今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『オークション会場』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『九条様』『関様』『大久保様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『オークション』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
オークションか。
オークションかぁ。
どっちだぁ?
イージー側かぁ?
ハード側かぁ?
まぁ、どっちにしろ完全なイージーではないことは確かだ。
”オークション”って何を話すのかな?
ネットオークションについて?
それとも、なんか富豪とかが参加してそうなオークションのイメージについて?
それとも、官公庁のやってる差押え品オークションみたいな変わったオークションについて?
全く予想できないなぁ。
どれを話すのかによって、選ぶテーマも変わってくるしなぁ。
よし、今日は、勇気のテーマ丸腰で行こう。
これでダメだったらしょうがない。
その時は観戦者であることを甘んじて受け入れよう。
決意というか、諦めで心が決まったところで、光が収まった。


荘厳な会場で、おもわず私語を慎んでしまいそうな雰囲気がある。
これって、めっちゃリアルにできてるけど、私語を慎んじゃう雰囲気が出ていて、ある意味失敗のシチュエーションなんじゃない?
まぁ、そんな雰囲気なんかは、雑談が始まってしまえば忘れるからいっか。
いつも通り話し始めは九条だった。

「話題は『オークション』だって!!!皆は、オークションに参加したことある?ネットオークションでも!!!ちなみに俺はない!!!」

元気いっぱいの九条の声が荘厳な会場に響く。
九条の一声で、私語を慎む雰囲気とかが全部吹き飛んだ気がした。
話しやすい雰囲気になったから、俺が話し出した。

「俺は、参加したことないかなぁ。ネットオークションとかも、なんとなく緊張感があって大変そうだし、時間がかかりそうだから、参加したことないかな。それに、こういう感じのガッツリオークションみたいなのは、どこでやってるのかも知らないかな」

俺が話し始めたから、話しやすくなったのか、続けざまに関と大久保が話し始めた。

「私もないです、はい。販売時間にサイトで待機とかそういうのはやったことはあるけど、ネットオークションのものを買おうと思ったことはないかな、はい。私も田中君と同じようにがっちりオークションはどこでやってるのかも知らないかな、はい」
「私は、一回、ネット、オークションで、買ったこと、あるよ。厳密には、私、じゃなくて、お父さんが、買ったんだけど、昔の、バイクの、ミニチュアを、買ったよ。競る、人も、いなくて、オークションって、感じも、しなかった、けど。私も、ガッチリ、オークションの、やってる、場所も、知らない」

へぇ、大久保はネットオークション経験者なんだ。
なんとなく、ネットとかに強そうだし、オークションとかを利用しているイメージがあったけど、親が一度使ったぐらいなんだ、意外。
関は、使ったことない仲間なんだ。
というか、皆大して使ったこともないんだ。
よかった、みんな同レベルな感じで。
これなら、なんとかなりそうだなぁ。



それから、なんとなくのネットオークションのイメージと、ガッツリオークションのイメージを語り合った。
フワッとした会話の内容だったけど、楽しく雑談することができた。
ある意味成功だったのかな?
みんながみんな本物を知らないから、好きかっていえて楽しかった。
話の内容と同じように、フワッとしていたらアナウンスが鳴った。



”29分43秒13が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


イメージを持つことは大切なことです。
ですが、それが偏見や差別につながってはいけません。
そうならないために学校で線引きを学びましょう。
将来何気ない言葉で人を傷つけないために、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
楽しかったぁ。
みんながみんな、ふわっとしてるから楽しかったぁ。
だけど、今気持ちがふわっとしてるから、ちゃんと切り替えなきゃこの後の授業が大変なことになりそう。
切り替えなきゃ!!
切り替え、切り替え。


ふぅ、ようやく落ち着いたかな?
切り替えにだいぶ体力使っちゃったかな。
この後の授業大丈夫かなぁ。
ちょっと不安。


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