毎日記念日小説

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7月25日 かき氷の日

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今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。
”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”
やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
再びアナウンスが鳴った。
”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『夏祭りのかき氷屋台の隣のベンチ』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『早川様』『大久保様』『野口様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『かき氷』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスが止み、光が包む。
今日のシチュエーションはやけに具体的だったな。
いつもならちょっと不親切くらいなのに。
アナウンスさんのフェチなのかな?
適当なことを考えていたら、光が晴れた。
多くの人がいる縁日。
だけれど、誰一人として話をしている人がいない。
完全な静寂。
めちゃくちゃいい祭りの景色なのに、音がないためかどこか不気味な雰囲気がある。
人の顔は分からない。
多くの人が右から左へ、左から右へと移動しているのに誰一人として顔を認識できない。
『雑談部屋』側が、設定をしていなかったための一種のバクとかそういう奴だろうか?
最近の癖となっているシチュエーションの考察をしていると、早川が話し始めた。
「かき氷って何味が好き~?」
野口がなぜかぴょんぴょんと跳ねながら挙手をし、そのまま答えだした。
「はいはい!俺は、レモン!酸っぱいのが逆に良い!」
「暑い時って酸っぱいの食べたくなるよね~」
早川がきちんと反応している。早川ってまめに反応するタイプなんだ。へぇ。
それにしても、今日、野口テンション高いなぁ。
お祭りでテンション上がるタイプなのかな?
やっぱお祭りとかはテンション上げられる人が近くにいると楽しいよね。
野口に続こうとする人がいなかったので、俺が答えた。
「俺は、ブルーハワイかな。青の食べ物ってあんまりないから面白いよね」
「あぁ、確かに」
また、早川が反応をくれた。
自分から話題を振ったから、意識して回そうとしてくれているのかな?
それなら、だいぶありがたいんだけど。
責任感なのかな?
まぁ、ムリしてないといいけど。
最後に、大久保が会話に参加してきた。タイミングでも探っていたのかな?
「私は、いちごが、すき、です。赤が、祭りって、感じがして、テンション、上がります」
「分かる~。祭りって赤って感じがするよね~」
大久保って、よく詰まるような話し方のわりに、聞き取りやすい音量しているんだよなぁ。
もしかして『雑談部屋』が調整してくれているのかなぁ?
大久保の話し方にしては、テンションの高い回答だった。
大久保って色々ギャップがすごいよなぁ。
ギャップ萌えにはまってるやつがいたら一発で落ちるんじゃないだろうか。
「最後に私はね~、メロンかな~。メロンソーダとか、かき氷のメロンとかのあの色好きなんだよね~」
この話題が終わってしまった。
次、どうしよう。
誰か話題準備できてないかな?
三人の顔を見ても、次いけますって顔してるやつはいなかった。
しょうがない。
俺が行くか。
「かき氷ってさ、よく全部同じ味みたいなこと言うけどどうなんだろうね?」
「あぁ、そういうのあるよね。俺は逆に全部ちゃんと違う味だと思ってるよ」
野口がいい感じに話題を広げてくれた。
これで無言の時間ができることはないだろう。
「あれって、同じ味、らしいよ。前に、気になって、調べたんだけど、同じ味って、出てきた。でも、高級の、やつは、違う味、らしいよ。普通の、かき氷の、違いは、香料と、着色料、なんだって。香料が、違ったら、味、違わない?って、私は、思うよ」
大久保にしては、長文をゆっくりと言ってくれた。
大久保さんってもの知りなんだなぁ。もしくは好奇心が旺盛なのかな?
それにしても、本当に同じ味なんだ。
香料が違うなら気づけないでしょ。
他二人の顔を見ても、「へぇー」っていう顔をしていて、誰も声に出して反応をしない。
だから静寂が訪れてしまった。
そのタイミングで、アナウンスが鳴った。
アナウンスさん、空気を読んでくれてありがとう。



”32分34秒22が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。



かき氷だって知識だって、一気に入れてしまうと、頭が痛くなってしまいます。だから計画性が必要なのです。後で一気に知識を入れるなんてことをして頭を痛めないために、残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”


アナウンスが止んで教室に戻ってきた。
久しぶりにちょっとだけ話し足りなかったな。
最近難しい話題が多くて何とか乗り切ったみたいな展開が多かったから、今回は良い感じに話しやすいお題でとても楽しかった。
最近のスイーツかき氷についてちょっとだけ話したかったなぁ。
あのメンバーで話すの楽しかったし。
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