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7月17日 漫画の日
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今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。
”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”
やっぱりアナウンスが止んだ。
雑談部屋で一番無駄な時間なう。
再びアナウンスが鳴った。
”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『図書館』
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『中川様』『林様』『芦田様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『漫画』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”
俺はアナウンスに割り込むように考えこんだ。
趣味のど真ん中の話題すぎて話したいことが内からあふれてくるのだ。
好きな出版社から好きな雑誌、ジャンルやシチュエーション、作者まで何を聞こうかが頭の中を駆け巡る。
だから俺は後半のアナウンスが全くと言っていいほど入ってきていなかった。
まぁ、たぶんいつもと同じようなことを言っているはずだから聞き逃しても大丈夫でしょ。
アナウンスが止んだ。
いつも通りの光に包まれて俺は飛ばされた。
その間も俺は何を話そうかルンルン気分で考えていた。
飛ばされた先は本がいっぱいあるカフェスペースみたいなところだった。
公立の図書館のかっちりした読書スペースみたいなところかと思ったら、私立図書館のカフェスペースみたいなところだった。
これならカフェとでも呼んでくれればいいのにと思った。
状況観察はほどほどに俺は真っ先に話始めた。
「今回の話題は、漫画だって。皆って漫画は読むほう?俺はマンがめっちゃ好きなんだ」
「僕はあんまり読まないかな。めちゃくちゃ話題になる流行りのやつくらいしか読んだことないかも」
林がいつものペースよりも早く、突然話しかけられたものだからちょっとだけびくっとした後に普通に会話に入ってきてくれた。
そうか、林はあんまり読まないのか。
まぁ、それで「俺って、実はオタクってやつでさ。あれも読んだし、めっちゃオタクでしょ?」ってタイプじゃなくてよかった。このタイプだったら全面戦争だからなぁ。
林の真摯な返答を噛み締めていると、芦田が会話に入ってきた。
「私は、流行りものとかはよく分からないけれど、えぇ、ちょっとだけ少女漫画を読むよ」
芦田は少女漫画タイプかぁ。
少女漫画にまだ足を踏み入れてないから、気になるなぁ。
少女漫画というまだ踏み入れられてないジャンルに思いをはせていると、最後の中川が会話に参戦してきた。
「あたしは、結構読むほうだと思うよ。でもオタクってほどじゃない感じ」
みんな、最近のはやりに乗って中身のない自称オタク発言をしないめちゃくちゃいい人だなぁ。あのタイプのにわかオタクだけは許しちゃいけないからなぁ。
俺がここにはいない真の敵、中身のない自称オタクに対して闘志を燃やしていると今度は中川から質問が飛んできた。
「みんなって、電子派なの?紙派なの?あたしはちなみに電子派。紙で読みたいけどめっちゃ場所取っちゃうから」
「「「(えぇ)わかるー」」」
中川の発言にみんなは持って頷いた。
「俺は、紙派かな、電子の方が嵩張らないしいつでも読めるのは分かっているんだけど、紙の読み心地には勝てなくてね」
「僕は電子派かな。紙の方が好きだけど、保存とかのことを考えると紙ってめちゃくちゃ大変だから、ついつい楽な電子になっちゃってる」
「えぇ、私は、大切な漫画は紙で買うけど、それ以外のものは電子かな。えぇ、電子って簡単だけど漫画を持ってるって感じがしないから、めちゃくちゃ好きな漫画は紙で持ちたいんだよね」
俺の熱意とか、熱量にあてられたのか、それとも最近の漫画ブームでみんな高い熱量があったのか、話題『漫画』は、めちゃくちゃ盛り上がった。
盛り上がりすぎて体感じゃ今までで一番長い時間雑談した気がする。
やっぱ漫画っていいなぁ、こんだけ熱意をもって話ができるんだから。
心の中でそんな振り返りをしてたらやっとアナウンスが鳴った。
”34分24秒78が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。
趣味にそそぐ熱量、素晴らしいですね。今の熱量そのままに、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”
アナウンスが止み、教室に戻ってきた。
教室のかかりすぎな冷房が効いてきてだんだんと冷静になってきた。
俺は『雑談部屋』でかなり掛かっていたらしい。
冷静になって考えると、あのカフェスペースであんなに騒いでよかったんだろうか。
確実に他のお客さんたちに迷惑が掛かっていたのではないか。
そう考えるとめちゃくちゃ申し訳ないなぁ。
アナウンスさんのいう通り、あの熱量のまま一日乗り切ろうとしたのに、冷房が完全に出鼻をくじいてきた。
今日一日、俺大丈夫かなぁ?
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。
”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”
やっぱりアナウンスが止んだ。
雑談部屋で一番無駄な時間なう。
再びアナウンスが鳴った。
”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『図書館』
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『中川様』『林様』『芦田様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『漫画』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”
俺はアナウンスに割り込むように考えこんだ。
趣味のど真ん中の話題すぎて話したいことが内からあふれてくるのだ。
好きな出版社から好きな雑誌、ジャンルやシチュエーション、作者まで何を聞こうかが頭の中を駆け巡る。
だから俺は後半のアナウンスが全くと言っていいほど入ってきていなかった。
まぁ、たぶんいつもと同じようなことを言っているはずだから聞き逃しても大丈夫でしょ。
アナウンスが止んだ。
いつも通りの光に包まれて俺は飛ばされた。
その間も俺は何を話そうかルンルン気分で考えていた。
飛ばされた先は本がいっぱいあるカフェスペースみたいなところだった。
公立の図書館のかっちりした読書スペースみたいなところかと思ったら、私立図書館のカフェスペースみたいなところだった。
これならカフェとでも呼んでくれればいいのにと思った。
状況観察はほどほどに俺は真っ先に話始めた。
「今回の話題は、漫画だって。皆って漫画は読むほう?俺はマンがめっちゃ好きなんだ」
「僕はあんまり読まないかな。めちゃくちゃ話題になる流行りのやつくらいしか読んだことないかも」
林がいつものペースよりも早く、突然話しかけられたものだからちょっとだけびくっとした後に普通に会話に入ってきてくれた。
そうか、林はあんまり読まないのか。
まぁ、それで「俺って、実はオタクってやつでさ。あれも読んだし、めっちゃオタクでしょ?」ってタイプじゃなくてよかった。このタイプだったら全面戦争だからなぁ。
林の真摯な返答を噛み締めていると、芦田が会話に入ってきた。
「私は、流行りものとかはよく分からないけれど、えぇ、ちょっとだけ少女漫画を読むよ」
芦田は少女漫画タイプかぁ。
少女漫画にまだ足を踏み入れてないから、気になるなぁ。
少女漫画というまだ踏み入れられてないジャンルに思いをはせていると、最後の中川が会話に参戦してきた。
「あたしは、結構読むほうだと思うよ。でもオタクってほどじゃない感じ」
みんな、最近のはやりに乗って中身のない自称オタク発言をしないめちゃくちゃいい人だなぁ。あのタイプのにわかオタクだけは許しちゃいけないからなぁ。
俺がここにはいない真の敵、中身のない自称オタクに対して闘志を燃やしていると今度は中川から質問が飛んできた。
「みんなって、電子派なの?紙派なの?あたしはちなみに電子派。紙で読みたいけどめっちゃ場所取っちゃうから」
「「「(えぇ)わかるー」」」
中川の発言にみんなは持って頷いた。
「俺は、紙派かな、電子の方が嵩張らないしいつでも読めるのは分かっているんだけど、紙の読み心地には勝てなくてね」
「僕は電子派かな。紙の方が好きだけど、保存とかのことを考えると紙ってめちゃくちゃ大変だから、ついつい楽な電子になっちゃってる」
「えぇ、私は、大切な漫画は紙で買うけど、それ以外のものは電子かな。えぇ、電子って簡単だけど漫画を持ってるって感じがしないから、めちゃくちゃ好きな漫画は紙で持ちたいんだよね」
俺の熱意とか、熱量にあてられたのか、それとも最近の漫画ブームでみんな高い熱量があったのか、話題『漫画』は、めちゃくちゃ盛り上がった。
盛り上がりすぎて体感じゃ今までで一番長い時間雑談した気がする。
やっぱ漫画っていいなぁ、こんだけ熱意をもって話ができるんだから。
心の中でそんな振り返りをしてたらやっとアナウンスが鳴った。
”34分24秒78が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。
趣味にそそぐ熱量、素晴らしいですね。今の熱量そのままに、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”
アナウンスが止み、教室に戻ってきた。
教室のかかりすぎな冷房が効いてきてだんだんと冷静になってきた。
俺は『雑談部屋』でかなり掛かっていたらしい。
冷静になって考えると、あのカフェスペースであんなに騒いでよかったんだろうか。
確実に他のお客さんたちに迷惑が掛かっていたのではないか。
そう考えるとめちゃくちゃ申し訳ないなぁ。
アナウンスさんのいう通り、あの熱量のまま一日乗り切ろうとしたのに、冷房が完全に出鼻をくじいてきた。
今日一日、俺大丈夫かなぁ?
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