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『ビッグボスゴブリン』リベンジ 前回の限界を超えて

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 ローズと話ながら『ビッグボスゴブリン』に鉄球を投げていると、すぐに『ビッグボスゴブリン』のHPが半分をきった。
 『ビッグボスゴブリン』は、HPが半分になってすぐに、防御姿勢になり、息を吸うモーションに入った。
 その様子を見てすぐに、ローズは『マイク』を使い、コルドに向けて叫んだ。

「咆吼よ!」

 それを聞いて過ぎに、コルドは2,3歩下がった。
 今度はきちんとヘイトコントロールできているのか、無理に深追いしていないみたいだ。
 俺も鉄球を投げるのをやめ、『ビッグボスゴブリン』を見守る。
 咆吼が来たらすぐにでも、ゴブリンの群れが来るであろう方向に走り出せるように準備しておく。
 心の準備をしながら、ローズに軽口をたたく。

「そろそろ俺の出番かな?」

 ローズも攻撃を一時的に止め、『ビッグボスゴブリン』に注意している。
 ローズは、初心者MPポーションを飲みながらも返してくれた。

「そうかもしれないわね。でも、オクツが戻ってくる頃には、もう『ビッグボスゴブリン』はいないかもしれないわね!」

 俺は、軽く笑いながら答えた。

「それは頼もしいけど、物足りないな」

「じゃあ、『ビッグボスゴブリン』が倒されないくらい早く済ませてくるのね」

 俺は、気合いを入れて答えた。

「爆速で終わらせてくるぞ!」

「それは頼もしいわ」

 ローズがそういったタイミングで、『ビッグボスゴブリン』が息を吸うモーションを終えた。
 これは、咆吼が来るぞ! と意気込んで、耳を塞ぐ。
 俺が耳を塞いだすぐ後、塞いだ手を突き抜けて、咆吼が聞こえた。

「うぅぅぅううううぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉおおおおおおおお!!!!!!!!」

 手を突き抜けて聞こえる咆吼を聞きながら、咆吼が聞こえる前からゴブリンの群れの方に向かっとけばよかったんじゃないかと思った。
 まぁ、思いつかなかったのだから仕方がない。
 次、同じようなことが起こったらそうしようかな。
 今は切り替えて、次のゴブリンの群れをどう対処するかを考えよう。
 10体の群れの時と同じでいいかな?
 まぁ、やってみてから判断しよう。
 咆吼が終わったので、耳から手を離した。
 俺は、ローズに声をかけて走り出した。

「じゃあ、ゴブリンの群れの方にいってくるな!」

「いってらっしゃい!」

 ローズに送り出されて、俺はゴブリンが今回も湧くであろう、先ほどゴブリンの群れと戦った場所まで走った。
 先ほどゴブリンの群れと戦った場所に戻ってきたら、ちょうど20匹のゴブリンの群れが、約200m先に湧いた。

 さぁ、戦闘開始だ!
 敵のゴブリンの内訳は、棍棒を持っているやつが、8匹、盾を持っているやつが、4匹、弓を持っているやつが、6匹、杖を持っているやつが、2匹。
 先ほどの10匹が単純に倍になったみたいな内訳だ。
 そういえば、魔法と物理攻撃って一緒にできるのかな?
 そういえばやっていなかったな。
 やってみるか。
 今までは、鉄球を投げ終わってから魔法を打ったり、剣で戦っていても一度後ろに下がってから魔法使っていたな。
 よし! 魔法と鉄球の同時攻撃試してみるか。
 まず、右手に鉄球を持ち、右手に剣を持った。剣がないと魔法を使えないので、鉄球を投げるのに使わない左手に持った。
 使う魔法は『ウィンドボール』でいいかな。
 デカい魔法でやって失敗したら大変そうだから、軽い魔法で行こう。
 魔法の『知力上昇』や『ダブル』、投擲用の『チャージ』『生命変換』なども使わずに、最低限の威力で行くことにした。
 左手の剣を使って、『ウィンドボール』を唱え始める。
 右手では、鉄球を振りかぶって投球のフォームに入った。
 ゴブリンの群れとの距離は、鉄球の射程にも魔法の射程にも入っている距離。
 『ウィンドボール』の詠唱が終わり、鉄球と同時にゴブリンの群れめがけて放った。
 とりあえず、魔法と鉄球を同時に投げることができた。
 これでちゃんとダメージが入れば、これからは、剣で切りつけながら魔法を使うなどの戦略の幅も広がるはずだ。
 俺の希望を乗せた、鉄球と『ウィンドボール』が、先頭のゴブリンに着弾した。
 結果はいかに?


 クリティカル322ダメージ
 追撃! 35ダメージ
 124ダメージ


 鉄球と魔法の両方が直撃したゴブリンは、ギリギリ倒れた。
 ちゃんとダメージがでた。
 すごくうれしい。
 戦闘中だということを忘れそうなほどうれしい。
 これからの戦闘でも、魔法と物理攻撃を同時に発動したり、同時にダメージを出したりできるようになったから、DPSが大分上がったんじゃないかな?
 気を取り直して、残り19体のゴブリンとの戦闘に集中しなきゃな。
 どうやって倒そう。
 なるべく早く『ビッグボスゴブリン』との戦いに戻りたいしな。
 どうしよう?
 鉄球と魔法を投げなら考える。


 124ダメージ
 追撃! 13ダメージ
 98ダメージ


 130ダメージ
 271ダメージ
 345ダメージ

 どうしようかなぁ。
 何か作戦ないかな。
 範囲攻撃系のスキルもないし、地道にやっていこうかな。
 範囲攻撃系のスキル取っておけばよかったかな。
 魔法とかで何かないのかな?
 まぁ、あったとしても使ったことのない魔法をここで使おうとは思わないしな
 どうしようかな?
 俺が考え事をしている間も、投げた鉄球や魔法が当たっていく。


 127ダメージ
 追撃14ダメージ
 107ダメージ


 168ダメージ
 310ダメージ


 152ダメージ
 追撃17ダメージ
 クリティカル258ダメージ
 97ダメージ

 ちょっとゴブリン達と近すぎるな。
 もう少し下がるか。
 それにしても、どうやって倒そう
 効率的にあいつらを倒す方法をちゃんと考えてくればよかったな。
 今の倒し方は、安全な倒し方だけど、効率的な倒し買ったって感じがしないんだよな。
 ここで焦って剣で突撃しても、リンチにされるだけだからな。
 何かいい案ないかな?
 うーん……どうしよう?


 防御貫通173ダメージ
 追撃21ダメージ
 276ダメージ


 148ダメージ
 94ダメージ


 クリティカル! 324ダメージ
 追撃36ダメージ
 262ダメージ
 クリティカル! 741ダメージ


 あ、魔力が切れちゃった。
 MPポーション飲まなきゃ。
 MPポーションを飲みながら、鉄球を投げる。その間もずっと作戦を考える。
 何かいい案ないかな。
 もう、いっそこのまま投げ続けるだけでもいいかな。
 効率的なやり方にこだわっていた方が効率が悪そうだからな。
 よし、投げるのに集中しよう。
 20体のゴブリンと戦い始めて5分。ようやく戦いに集中しだした。
 投げるのに集中するのに、ゴブリンの群れの状況を確認すると、前衛のゴブリンのほとんどが壊滅していた。
 棍棒持ちが6体減って2体に、盾持ちが2体減って2体に、弓持ちが3体減って3体になっていた。 杖持ちの数は変わらず2体。
 合わせて、9体になっていた。
 これならすぐにでも終わりそうだな。

 それからは真面目に鉄球と魔法を投げ続けた。
 右手に鉄球。左手には剣。そして口にはMPポーションをくわえながら、ひたすら投げ続けた。
 途中、投げすぎて、手元に鉄球がない時間があったが、その間は『チャージ』を使って時間を埋めた。
 すると、ゴブリンの群れとの開始から8分で、20体のゴブリンを倒しきることができた。
 『投擲』のレベルがまた2つ上がった。
 前回倒せなかった20体のゴブリンを倒すことができた。
 すごい進歩だ。
 前回戦ったときは、ここを超えられるとは思ってもいなかったな。
 達成感!
 ここからは、前回達成できなかった領域だな。
 より一層気を引き締めていこう。
 そう気合いを入れて、俺はローズのところまで走って戻った。

 『ビッグボスゴブリン』本体の方はどうなっているかな?
 実は戦いが終わっていたりしないかな?
 さすがにそれはないか。






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