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金欠のときの決断力

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 午前中に町中を探索をしてた、ローズに付いて行き、町の武器屋まで来た。

 店主は、道具屋の店主をもう少し厳つくしたような姿をしていた。
 ローズがその厳つい店主に話しかけた。

「ギンジさん!来ましたよ!友人を2人連れて!」

「剣士のオクツです」

「戦士のコルドだ!」

「お!嬢ちゃんじゃないか?!今回は、お友達づれか!俺は、この店の店主をしてるギンジだ!嬢ちゃん、今度は、金を持ってきたのか?」

「3時間前の私とは、違うんですよ!ちゃんとお金を持ってきました!」

「じゃあ、好きに見ていくといい!持ってみたりする分には構わないが、壊すなよ!」

「「「はーい!」」」

 店主の了承を得たので、お店の中を見て回ることにした。

 店に入って、左側には物理系、右側には魔法系の武器が置いてある。正面奥には、防具が置いてあった。

 俺たち3人は、みんな揃って、まずは物理系武器から見ることにした。
 物理系の武器は、基本的な性能は、初心者武器と同じだった。
 ただ、ニッチな武器や何かに特化した武器などがあった。
 攻撃力を上げることはできないけど、スキルとかを派生させる前に、武器と戦い方を決めるのにはいいのかもなぁ。
 ちなみに、置いてあった商品の性能はこんな感じだ。



 初心者のレイピア
 作成者:ギンジ
 ATK:3
 破壊不可


 初心者の大剣
 作成者:ギンジ
 ATK:3
 破壊不可


 初心者の刀
 作成者:ギンジ
 ATK:3
 破壊不可


 初心者のモーニングスター
 作成者:ギンジ
 ATK:3
 破壊不可




 レイピア、大剣、刀を使いたくても、初心者セットで手に入れられる武器では、すべて剣になってしまうので、細分化できるのはいいのかもしれない。
 モーニングスターは、多分初心者セットじゃ槌判定だと思う。

「俺、刀とか憧れるんだよな!」

「俺は、刀はパスかな。管理が難しそうだし、技術が必要そうだから」

「コルド!店の中で刀を振り回さないの!店を傷つけたり刀を傷つけたらどうするのよ。使いもしない武器を買い取ることになるわよ!それに、あんた今、剣ですらなく、体術で戦っているんだから、グローブかガントレットかシューズぐらいしか買えるものがないんじゃない?」

 コルドは刀をそっと元の位置に戻した。

 それから、じっとガントレットのコーナーを凝視している。

「オクツは、何かに特化した剣にしないのか?大剣とか!レイピアとか!」

「俺は、今の剣でいいかな。大剣とかにすると、スピードが死にかねないし、レイピアとかにするにはスピードが足らないし」

「コルドは、どうするの?何か武器買うの?」

「うーん…性能的には、初心者武器と変わらないし、今はいいかな!武器より防具かな!」

「じゃあ、次!魔法系の武器を見ましょう!」


 右側の魔法系の武器コーナーへ移動した。
 魔法系の武器は、各属性に特化した武器と、一つの用途に特化した武器があった。
 性能は、平たく見ると、初心者武器と同じくらいだけど、特化した部分は、初心者武器より強くなっていた。

 こんな感じの商品が並んでいた。



 初心者の火の杖
 作成者:ギンジ
 MAG:3
 火属性魔法ダメージ+10%
 火属性以外の魔法ダメージ-10%


 初心者の水の杖
 作成者:ギンジ
 MAG:3
 水属性魔法ダメージ+10%
 水属性以外の魔法ダメージ-10%


 初心者の長杖
 作成者:ギンジ
 MAG:3
 魔法ダメージ+10%
 装備中移動不可


 初心者の短杖
 作成者:ギンジ
 MAG:3
 魔法ダメージ-10%
 AGI:5



「ローズは杖を買うのか?」

「私は、いろんな魔法を使いたいから、属性系はダメ。長杖も短杖もデメリットがでかいから、今回はまだ武器はいいかな」

「長杖はなんでダメなんだ?!」

「私、杖を歩くときの支えにして楽するのが好きだから、装備時移動不可だと、きついんだわ」

「そうか!じゃあ!防具の方へ行こうぜ!」


 俺たちは、正面奥の防具コーナーへ向かった。
 防具コーナーの防具は、性能的には、初心者セットに入っている防具と変わらないVIT値だった。
 だけど、初心者セットでは貰えなかった部分の防具が多く、武器とかに比べて買う意味があると思う。

 防具でもVIT値ではなく他のものに補正がつくものもあった。

 こんな感じで商品が並んでいた。



 初心者の帽子
 作成者:ギンジ
 VIT:1
 破壊不可


 初心者の篭手
 作成者:ギンジ
 VIT:1


 初心者のすね当て
 作成者:ギンジ
 VIT:1


 初心者のコート
 作成者:ギンジ
 MP:4


「俺はこれとこれを買おうかな!体術って感じがするし!」

 コルドが、初心者の篭手と、初心者のすね当てを手に取って言った。

「金は大丈夫なのか?」

「大丈夫!一つ5000Gで、2つで10000G!もう一つ買いたかったけど、これ以上所持金を減らしたくないから、これでストップ!残金は8800Gだよ!」

「そんな、コルドにおすすめの防具があるわ!この『初心者のチャンピオンベルト』局所の防御用だからVITは1だけど、ボクサーっぽくて面白いでしょ」

 ローズが隅っこの方にあった防具を持ってきた。
 チャンピオンベルトを掲げるようにコルドに見せている。
 よく、そんなの見つけたなぁ。

「うぅ…面白そうだし、使えそうだし。”初心者の”って入ってるのにチャンピョンベルトってギャップが面白い!欲しい…欲しいよぉ…でも、お金がぁ、金がなくなっちゃうよぉ…」

 いつもの元気いっぱいのコルドから様変わりして、項垂れながら本気で買おうか悩んでいる。

 その間に俺は、会計を済ませておいた。
 俺が買ったのは、帽子とコートと篭手、それに下着の上下。
 合計で、25,000Gもした。
 残金が7000Gくらいになってしまった。


 下着の上下は、どちらもVIT1で、試着してみた感じ、着ている感覚はないから、ガチャガチャしてたり、重量だったりとかで、移動のじゃまにならなくていい商品だったから買った!下着の良さをローズにも共有しておいた。ローズも喜んで買っていた。ローズはSTRに全く振ってないから、重量のある装備だとおもすぎて疲れてしまうらしい。だから重量を感じない下着装備にめちゃくちゃ喜んでいた。


 会計を終えても、コルドは悩んでいた。

 俺的には、面白い商品だし、似合ってるし、コルドに買ってほしいなぁ。

 そう思った俺は、コルドの背中を押す一言を言った。


「金はまた稼げばいいんだよ!防御力を上げれば、その分ポーション代が浮くだろうし、またすぐ金が貯まるよ!金策したくなったら狩り手伝うし!」

「悪魔のささやきだよぉ…でも、囁きの内容が、真っ当なことだから、なおさら悪魔だよぉ…買おうかなぁ、どうしよう?!これを買っちゃうと、所持金が5000Gをきるんだよなぁ…」

「今お金があったところで何に使うのよ!買っちゃいなさいよ」

 ローズもコルドにチャンピオンベルトを買わせようと、コルドの背中を押すことを言う。
 ナイス援護!
 コルドって、普段は気前もいいし、何でも即断即決
 !!みたいな感じなのに、金欠のときのこういう決断だけ優柔不断なんだよなぁ。

 俺達の説得が聞いたのか、コルドの顔が決意の顔に変わった。

「うん!わかった!チャンピオンベルト、買う!たしかに今お金があってもポーションを買うか、装備を買うか、しか使い道ないし!節約してても仕方ないね!俺!この3つ買ってくるね!」

 篭手にすね当て、更には追加のチャンピョンベルトを持って、コルドは会計に向かった。


 しばらくして、買った3つの防具を装備したコルドが戻ってきた。

「どう?!似合ってる?!」

 コルドが腰に手を当てて、えっへんの体勢で俺達に聞いてきた。

「あぁ、いい感じだぞ」

 そう言われてコルドは。、満足気に頷いている。

 しばらくして俺の変化に気づいたコルドは、首を傾げながら聞いてきた。

「あれ?装備変わったよね?いつのまに防具買ったの?」

「コルドが項垂れている間に買ったぞ。俺は、篭手とコートと帽子と下着の上下。結構買ったから残金が7000Gくらいになっちゃった」

「ちなみに、私も防具をかったわよ。下着の上下だけだけど。私も残りは4000Gくらいよ」

「俺にも下着の防具を教えてよ!教えてくれたら、それも選択肢に入れて悩んだのに!」

「教えたら、あんたの悩んでる時間が長くなるから教えなかったのよ!」

「みんな装備を整えたし!ポーションも補充したし!みんな金欠だし!もう一狩り行きますか!」

「「了解!」」




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