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毎日記念日小説(完)

ストッキングってよくね? 5月15日はストッキングの日

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五月の穏やかな暑さの日。
3時間目が終わった休み時間。
授業から解放されて、皆の気が一番緩んでいる。
騒ぐというよりも、だべるという空気間の騒がしい教室。
窓際の席の俺は、グランドを眺めながら、厚くも冷たくもない心地よい風を受け、眠気に必死にあらがっていた。
やばい、ここで寝ると、絶対に4時間目の開始までに起きられない。
もし奇跡的に起きれたとしても、絶対に授業中に寝てしまう。
だから絶対に寝るわけにはいけない。
4時間目は、あの鬼の田村の授業だし、寝てたら絶対に怒鳴られる。
あいつ、図体でかくて、怒鳴る時の声量も馬鹿でかいくせに、授業中、英語で話してる時の声が異様に小さくて眠くなるんだよなぁ。
こんなに今眠いなら、ここで寝なくても、授業中に眠気にあらがえなくて寝てしまう可能性は大いにあるが、今寝てしまうよりは授業中、起きていられる可能性があるだろう。
だから耐えるんだ、俺!
ぼーっとそんなことを考えながら耐えていると、急に前の席の直樹に話しかけられた。
「なぁ、なぁ、正吾。ストッキングってよくね?」
直樹の問いかけに対して、脊椎反射でこたえてしまった。
「履くのがってことか?あいにく、俺はまだその境地に達していないから分からないんだが」
すると、直樹が噴き出した。
唾が俺の顔にかかった。
正直、イラっと来た。
直樹は、椅子から崩れ落ちていた。
直樹は、毒薬でも盛られたのか?みたいな体勢で悶えていた。
それから数分、直樹は腹を抱えて笑っていた。
なかなか笑いが収まらない直樹を見て、少し不気味に思えてきた。
こいつ、大丈夫か?
とりあえず声をかけた。
「大丈夫か?何か悪いものでも食ったのか?もともとお前はゲラだけれど、そこまでじゃなかっただろ」
すると、また直樹の笑いの勢いが増してしまった。
どうやら火に油だったようだ。
しばらくして笑いが収まったのか、直樹が深呼吸をしていた。
直樹は、深呼吸をやめ軽くお腹をさすりながら声をかけてきた。
「あぁ、わりぃわりぃ。お前がまじめな顔で、『履くのがってことか?』って言ったのが面白くてな。どうやったら、そういう発想になるんだよ。俺が言ったのは、フェチズムの話」
新しく判明した、友人の趣味に引き気味に聞く。
「お前のフェチが、ストッキングを履くことだって話じゃないのか?」
直樹は、手をぶんぶんと振りながら、大変慌てた様子で否定してきた。
「違う、違う。そんなフェチがあってたまるか!!!そうじゃなくて、ストッキングを履いた女子って良くないか?という話だ」
「そんなこと、堂々と言うんじゃないよ。周りを見てみろよ。じょしが何人か引き気味にこっちを見てるぞ」
じょしたちの視線が俺たちに突き刺さる。
なんで俺にまでそんな視線を向けるんだよ。
悪いのはどう考えても直樹だろ。
直樹のほうに顔を向けると、顔が青ざめていた。
初心者のくせに、内輪のノリだと思ってぎゃあぎゃあ騒ぐからこうなるんだよ。
耳を澄ませてみると、女子のこそこそ話が聞こえてしまった。
「正吾くんと、直樹君がさっき話してたこと聞いた?正吾くんは、ストッキングを履くことがフェチで、直樹くんは、それを見るのがフェチらしいよ…」
お前こそちゃんと聞いていたのか?…という気持ちになった。
何だよその趣味は。
それだとまるで、俺まだ変態みたいじゃねぇか。
こうやって、根も葉もない噂って広まっていくんだなぁ。
聞き耳立てるならちゃんと最初から最後までちゃんと聞いてほしいものだな。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴ってしまったようだ。
「おーい、直樹。予鈴なっちまったから席に着いたほうがいいぞ」
「あ、あぁ。じゃあまた昼な…」
直樹の反応が、ちょっと鈍かったけれど、大丈夫だろうか。
予鈴からあまり間を開けずに、田村が入ってきた。
田村は、予鈴までに着席してないと怒るタイプだ。
よかった、今回は全員ちゃんと着席していたようだ。
こいつの説教は、声がでかいくせにねちねちしてイライラするんだよなぁ。
チャイムが鳴り、号令をし、授業が始まった。
先ほどまであった眠気が、完全に吹き飛んでいた。
今までで一番眠くない4時間目だった。
授業は滞りなく終わった。
授業終わりの号令をして、直樹を捕まえた。
よし!これからお説教の時間だ。
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