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総文字数記念
5万文字記念 5万円あるとしたら
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「じゃあ、次5万円!!」
天井を指さし高らかに宣言した。
「その手なら、1万円でしょ。5なのに何で1を掲げてるの?」
お!今回は、一発で反応してくれた。
どうやら、イヤホンをつけていなかったようだ。
「今回は、イヤホンをつけてないんだな。それと、この指は”この指とまれ”で掲げているのであって1を表しているわけじゃないんだ」
妹がなかなか、指にとまってくれないので、指を掲げ続ける。
「どうせまた、お兄ちゃんが話しかけてくると思って、イヤホンは外してたんだよ」
妹は腰に手を当てふんぞり返っている。
しかし、まったく見下されている感じはしない。むしろ、えっへんのポーズに見えて頭を撫でたくなってしまう。
妹がいつまでも俺の指にとまってくれないものだから、だんだんと指に血液が廻らなくなってきた。
「妹よ、早くこの指にとまってはくれないだろうか」
妹はふんぞり返るのをやめた。
そして、精一杯の背伸びをして俺がぴんと立てた人差し指をつかもうとしている。
身長差が20cm以上ある俺たち兄妹。そう簡単に人差し指をつかむことができない妹。
しびれを切らしたのか、俺の方に手を置き、それを支えにして飛び跳ねだした。
しかしあと数cmのところで届かない。
だんだんと応援したくなってきた。
頑張るんだ妹よ。
あと少し、もう少しだ。
早くしてくれ。俺の手の指先が、ちょっとずつ冷たくなってきやがった。
「お兄ちゃん、高くて届かない。下げて!」
妹は、飛び跳ねるのをやめた後、シュンとしながらいった。
妹は、不貞腐れてしまったようだ。
「分かった、わかった。これでいいか?妹よ」
俺は、腕をまげて、トゥースのようなポーズになった。
「うん!これで掴める」
「じゃあ改めて言うぞ。5万円あったら何するのかについてお兄ちゃんと話してくれる人この指とまれー!」
俺がそう言うと、妹は勢いよく俺の指に飛びついた。
妹の勢いが強すぎて、正直かなり痛かった。
「お兄ちゃん、5000円の時も思ったんだけど、何で急に刻んできたの?それまで順当に一桁ずつ大きくなってたのに」
俺は、妹の方に手を置きゆっくりと諭すように言った。
「刻んでかないと、何回もかけないんだぞ。だんだんと今までの10倍も書くのが大変になってくるんだ。だから、今のうちから刻んでおくことで前例を作っておくんだ。そうすると、細かく刻みやすくなるだろ。これが後々効いてくるんだぞ。何を言ってるのか分からないと思うがそれでいいんだ。要は大人の事情というやつだ」
「そうなんだ。よくわからないけど、大変なんだね」
妹はきらきらとした目でこちらを見てくる。
うちの妹は時折、中学生なのかと疑わしくなるような、純真なきらきらとした目をする。
「それで本題なんだが、5万円あったら何をする?」
おなじみの妹の足パタパタタイムが終わり、妹は話し始めた。
「うーん、オリジナルパーカー作りたい!」
「なんで、パーカーなんだ?」
「ゲーセンのゲームの配信ってさ、基本画面と自分の後ろ姿が写るじゃん。だから、その後ろ姿がオリジナルのパーカーだったらかっこ良くない?」
妹が、おしゃれに目覚めたのかと思ったら、そういうわけではなさそうだ。
「オリジナルのパーカーって、5万で作れるもんなの?」
「どうなんだろ?今、調べてみるね」
妹がスマホで調べ始めた。
どうやら、ガチでパーカーを作ろうとしていたわけではないらしい。
価格などを知らないということは、思い付きのたらればであったのだろう。
「5000円くらいで出来るらしいよ」
「全然、5万じゃないじゃねえか」
「買えも含めて、10着買えば5万円だよ」
うちの妹は、ジョブズスタイルになってしまうのかもしれない。
「お兄ちゃんは5万円あったら何するの?」
「ん-、悩むな」
「何で悩んでるの?」
妹が思いのほかぐいぐい来る。
妹の食いつきがいい。
「どこかの配信に5万円の赤スパを送るか、ちょっといい腕時計を買うかで悩んでる」
「私なら、その二択なら腕時計一択かな。人にお金あげたいと思わないし、同じ金額を使うなら実物があるほうがお得じゃない?」
妹は、ゲーセン好きなのにオタク的な感覚の持ち主ではないらしい。
意外だ、そういうこともあるんだな。
「よし、決めた。俺は、5万円あったら腕時計を買う。まぁ、たらればの話だけど」
「お兄ちゃん、それを言ったらおしまいだよ」
「じゃあ、解散」
「次の議題の時に、声かけてね」
妹はそれだけ言うと、スマホに集中しだした。
妹もどうやら、この話題にはまってしまったらしい。
楽しいよね!こういうたらればの話。
天井を指さし高らかに宣言した。
「その手なら、1万円でしょ。5なのに何で1を掲げてるの?」
お!今回は、一発で反応してくれた。
どうやら、イヤホンをつけていなかったようだ。
「今回は、イヤホンをつけてないんだな。それと、この指は”この指とまれ”で掲げているのであって1を表しているわけじゃないんだ」
妹がなかなか、指にとまってくれないので、指を掲げ続ける。
「どうせまた、お兄ちゃんが話しかけてくると思って、イヤホンは外してたんだよ」
妹は腰に手を当てふんぞり返っている。
しかし、まったく見下されている感じはしない。むしろ、えっへんのポーズに見えて頭を撫でたくなってしまう。
妹がいつまでも俺の指にとまってくれないものだから、だんだんと指に血液が廻らなくなってきた。
「妹よ、早くこの指にとまってはくれないだろうか」
妹はふんぞり返るのをやめた。
そして、精一杯の背伸びをして俺がぴんと立てた人差し指をつかもうとしている。
身長差が20cm以上ある俺たち兄妹。そう簡単に人差し指をつかむことができない妹。
しびれを切らしたのか、俺の方に手を置き、それを支えにして飛び跳ねだした。
しかしあと数cmのところで届かない。
だんだんと応援したくなってきた。
頑張るんだ妹よ。
あと少し、もう少しだ。
早くしてくれ。俺の手の指先が、ちょっとずつ冷たくなってきやがった。
「お兄ちゃん、高くて届かない。下げて!」
妹は、飛び跳ねるのをやめた後、シュンとしながらいった。
妹は、不貞腐れてしまったようだ。
「分かった、わかった。これでいいか?妹よ」
俺は、腕をまげて、トゥースのようなポーズになった。
「うん!これで掴める」
「じゃあ改めて言うぞ。5万円あったら何するのかについてお兄ちゃんと話してくれる人この指とまれー!」
俺がそう言うと、妹は勢いよく俺の指に飛びついた。
妹の勢いが強すぎて、正直かなり痛かった。
「お兄ちゃん、5000円の時も思ったんだけど、何で急に刻んできたの?それまで順当に一桁ずつ大きくなってたのに」
俺は、妹の方に手を置きゆっくりと諭すように言った。
「刻んでかないと、何回もかけないんだぞ。だんだんと今までの10倍も書くのが大変になってくるんだ。だから、今のうちから刻んでおくことで前例を作っておくんだ。そうすると、細かく刻みやすくなるだろ。これが後々効いてくるんだぞ。何を言ってるのか分からないと思うがそれでいいんだ。要は大人の事情というやつだ」
「そうなんだ。よくわからないけど、大変なんだね」
妹はきらきらとした目でこちらを見てくる。
うちの妹は時折、中学生なのかと疑わしくなるような、純真なきらきらとした目をする。
「それで本題なんだが、5万円あったら何をする?」
おなじみの妹の足パタパタタイムが終わり、妹は話し始めた。
「うーん、オリジナルパーカー作りたい!」
「なんで、パーカーなんだ?」
「ゲーセンのゲームの配信ってさ、基本画面と自分の後ろ姿が写るじゃん。だから、その後ろ姿がオリジナルのパーカーだったらかっこ良くない?」
妹が、おしゃれに目覚めたのかと思ったら、そういうわけではなさそうだ。
「オリジナルのパーカーって、5万で作れるもんなの?」
「どうなんだろ?今、調べてみるね」
妹がスマホで調べ始めた。
どうやら、ガチでパーカーを作ろうとしていたわけではないらしい。
価格などを知らないということは、思い付きのたらればであったのだろう。
「5000円くらいで出来るらしいよ」
「全然、5万じゃないじゃねえか」
「買えも含めて、10着買えば5万円だよ」
うちの妹は、ジョブズスタイルになってしまうのかもしれない。
「お兄ちゃんは5万円あったら何するの?」
「ん-、悩むな」
「何で悩んでるの?」
妹が思いのほかぐいぐい来る。
妹の食いつきがいい。
「どこかの配信に5万円の赤スパを送るか、ちょっといい腕時計を買うかで悩んでる」
「私なら、その二択なら腕時計一択かな。人にお金あげたいと思わないし、同じ金額を使うなら実物があるほうがお得じゃない?」
妹は、ゲーセン好きなのにオタク的な感覚の持ち主ではないらしい。
意外だ、そういうこともあるんだな。
「よし、決めた。俺は、5万円あったら腕時計を買う。まぁ、たらればの話だけど」
「お兄ちゃん、それを言ったらおしまいだよ」
「じゃあ、解散」
「次の議題の時に、声かけてね」
妹はそれだけ言うと、スマホに集中しだした。
妹もどうやら、この話題にはまってしまったらしい。
楽しいよね!こういうたらればの話。
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