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らいねこ

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決心 6

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茉莉の右手が、颯人の左頬に触れた。


「…颯人、何で泣いているの」


「それは!感極まって…」


「急に、他人行儀になって」


「それは、先生なんだから…」


颯人が誤魔化そうとしている。


茉莉は確信をもったからこそ、言わなければならない言葉があった。


(今言えなければ、本当に一生悔やんでも悔やみきれない!)


颯人が手に力を込めて、茉莉を振りほどこうとしている。


(ここで上っ面の大人の態度を出したら、颯人が逃げてしまう!あの時みたいに、もう後悔したくない!!)


「颯人、好きだ!!」


「っ!」


颯人の身体が、ビクッと跳ね上がった。


必死で力を込めていた颯人の手は、急に力を緩めた。


逃げるのを辞めた颯人を、それでも茉莉は腕を掴んだまま今まで隠してきた想いを全部、ぶつけた。


「颯人が好きだ!出会って、少し経ってから好きだと自覚した。颯人は小学生だったけど、その時から颯人の事を抱きたいと思っていた!」


颯人は顔を上げ、ジーッと茉莉を見ていた。


「気持ち悪く思うかもしれないけど、ロリコンっていうか、それも颯人だけしか反応しなかったし」


(自分で何を言っているのか、わからなくなってきた!)


言いたい事がありすぎて、整理がつかないまま話してしまい、頭の中がパニックになる。


「とにかく!颯人が今でも、一番好きなんだよ!!大好きだ!」


離してやるものかと再び、颯人を抱き締めた。


颯人が、口を開いた。


「…やっと、言った」


茉莉の胸元で、言った。


「…え?」


茉莉はビックリして颯人を見た。


「そんなの知ってる。百合ちゃんにも茉莉が俺の事を好きだって、前々から聞いてたから」


茉莉は混乱した。


「百合?…前々って?」


(何の話?)


いきなり妹の名前が出て来て、意味がわからなかったが、颯人が説明をしてくれた。


「百合ちゃんとは、俺が中学生の時に再会しているよ」


「な?!この前じゃなくてか?」


「…初恋の茉莉を忘れられるわけないから、愁にも手伝ってもらって、茉莉を探していたの!」


「え…えっ?」


(初恋?颯人の?)


「茉莉が見つからなくて、百合ちゃんが『美人過ぎるCA』っていう新聞の取材を受けていて、そこからアポ取って百合ちゃんに会いに行った」


(そういえば、CAの養成学校で取材を受けたと言っていた気が…)


『まだCAにもなってないのに気が早い!』と、ぼやいていた。


「で、茉莉の勤務先がこの高校だって聞いて、ここに進路を決めたんだよ」


「…じゃあ?俺を追ってきたって事?」


「そう!だから、協力してくれた愁には感謝してるし、今でも仲が良いんだよ」


不安だった事を、サラッと言われた。




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