最愛Lovers

らいねこ

文字の大きさ
上 下
43 / 88

繋がる 1

しおりを挟む
車を運転していると、颯人が右手を伸ばしてきた。


茉莉の左太股に触れる。


「っ!颯人」


「…駄目?茉莉に触れてたい」


(いつの間に、そんな誘いテクを身につけてきたんだよ!)


茉莉は、颯人を襲いそうな衝動に駆られる。


(…落ち着け、俺!ここまで来て、カーセックスする訳にはいかないだろ!!)


ホテルまでは、我慢したい。


とにかく、今は運転第一。


茉莉は精神統一するために、深呼吸をした。


そして、颯人の右手の上に自分の左手を置いて、指と指の間に自分の指を絡めた。


「駄目じゃない、俺も触ってたい」


「ん…」


嬉しそうに、颯人が微笑む。


それを見て、茉莉の胸の鼓動はうるさいくらい大きくなった。





ホテルに着いた。


誰が聞いてもわかる有名なホテルに、颯人が驚く。


「茉莉、本当に…ここ?」


「あぁ、そうだよ」


「…高そう」


「安いプランだから、気にするな」


茉莉は、車をホテルの正面に着けた。


「宿泊でございますか?」


「あぁ、よろしく頼む」


ドアマンは、颯人が乗っている助手席を開ける。


茉莉も車を降りた。


「畏まりました。フロントは右手側に御座います」


「ありがとう」


そう言って車を預け、颯人の腰に手を回した。


「…茉莉、手慣れてる」


颯人が小さい声で言う。


「このホテルは初めてだよ。海外だと、これが当たり前だから」


「そっか…」


茉莉は日本にいるよりも、海外が多い事に気がつく。


(…ん?!手慣れてるって…なんか俺、誰かホテル連れこんでるイメージがあるのか?)


「家族と友達以外、ホテルに行ってないからな」


なんか、言い訳っぽい。


「…何、焦ってるの」


普通な態度の颯人に、少し寂しさを感じた。


(興味ない事…だよな)


フロントに着く前に、今は気にするなと考え直す。


チェックインを済ませて、部屋の案内をすると申し出があったが、丁重にお断りをしたら渋々部屋のカードキーを渡される。


(…仕事を取り上げて申し訳ないが、一緒に来られるとこっちが困る)


なんと言っても自分が発情してるから、部屋に入った後にすぐにでもキスをしたい。


案内の人がいる前で、おもむろにするわけにもいかないから断るのに必死だった。


エレベーターで、部屋がある階のボタンを押した。


すぐに一階についたので、それに乗る。


「…やっぱり高いでしょ、ここ」


颯人がボタンの31階を見て、言う。


「…そんな事を気にするよりも、これからの事を気にした方がいいぞ」


「これから?」


「…たぶん、身体は大丈夫じゃなくなる」


「…っ!」


颯人の顔が一瞬で赤くなる。


(可愛いんだよな~)


そう思っていたら、あっという間に31階まで着いた。


カードキーで部屋のドアを開けて、颯人を中へと促した。


颯人が部屋に入り、茉莉も後から入る。


入ってすぐに大きな窓が広がり、ソファーがあった。


ベッドルームは、左側だろうか。


颯人が窓に近づき、景色を見ていた。


「やっぱり高いね。あれ、さっきの海岸?」


茉莉が近づき、颯人の指先で指した方向を見る。


「…そうだな、なんとなく人が見える」


そう言って、颯人を後ろから抱きしめた。


「…」


颯人が首を捻る。


茉莉は颯人の唇を塞いだ。


ちゅっ、ちゅっとリップ音がなる。


颯人の胸に手を這わせる。


茉莉が颯人の口に舌を入れようとしたら、颯人が身体を窓に向けてしまった。


「ま…茉莉、待って。風で砂かぶったからお風呂に入りたい」


「あぁ…」


茉莉は気にしていなかったが、颯人が気にするなら仕方ない。


「茉莉から先に入って」


(…さすがに、一緒はまだ無理か)


「わかった」


茉莉は1人、バスルームへと行ったのだった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔性の男は純愛がしたい

ふじの
BL
子爵家の私生児であるマクシミリアンは、その美貌と言動から魔性の男と呼ばれていた。しかし本人自体は至って真面目なつもりであり、純愛主義の男である。そんなある日、第三王子殿下のアレクセイから突然呼び出され、とある令嬢からの執拗なアプローチを避けるため、自分と偽装の恋人になって欲しいと言われ​─────。 アルファポリス先行公開(のちに改訂版をムーンライトノベルズにも掲載予定)

だいきちの拙作ごった煮短編集

だいきち
BL
過去作品の番外編やらを置いていくブックです! 初めましての方は、こちらを試し読みだと思って活用して頂けたら嬉しいです😆 なんだか泣きたくなってきたに関しては単品で零れ話集があるので、こちらはそれ以外のお話置き場になります。 男性妊娠、小スカ、エログロ描写など、本編では書ききれなかったマニアック濡れ場なお話もちまちま載せていきます。こればっかりは好みが分かれると思うので、✳︎の数を気にして読んでいただけるとうれいいです。 ✴︎ 挿入手前まで ✴︎✴︎ 挿入から小スカまで ✴︎✴︎✴︎ 小スカから複数、野外、変態性癖まで 作者思いつきパロディやら、クロスオーバーなんかも書いていければなあと思っています。 リクエスト鋭意受付中、よろしければ感想欄に作品名とリクエストを書いていただければ、ちまちまと更新していきます。 もしかしたらここから生まれる新たなお話もあるかもしれないなあと思いつつ、よければお付き合いいただければ幸いです。 過去作 なんだか泣きたくなってきた(別途こぼれ話集を更新) これは百貨店での俺の話なんだが 名無しの龍は愛されたい ヤンキー、お山の総大将に拾われる、~理不尽が俺に婚姻届押し付けてきた件について~ こっち向いて、運命 アイデンティティは奪われましたが、勇者とその弟に愛されてそれなりに幸せです(更新停止中) ヤンキー、お山の総大将に拾われる2~お騒がせ若天狗は白兎にご執心~ 改稿版これは百貨店で働く俺の話なんだけど 名無しの龍は愛されたい-鱗の記憶が眠る海- 飲み屋の外国人ヤンデレ男と童貞男が人生で初めてのセックスをする話(短編) 守り人は化け物の腕の中 友人の恋が難儀すぎる話(短編) 油彩の箱庭(短編)

箱庭のエデン

だいきち
BL
人の負から生まれる怪異に対抗するのは、神の力を異能として操る祓屋だ。しかし、降臨地区の一つである京浜には神がいなかった。 神無しと馬鹿にされる街へ左遷されてきた白南由比都は、盲目の祓屋だった。 非公式祓屋集団、お掃除本舗そわか。その社長、夜見綾人の下で働くことになった由比都は、夜見にひどく振り回される羽目になる。 人懐っこい夜見によって徐々に心を解されていった由比都へ、神がいない秘密が明かされようとした時、強大な怪異が二人を襲う。 京浜地区で多発する、過去にない怪異の異常行動。解決の鍵を握るのは、由比都の心の傷にあった──。 最強の異能を持つ能天気大型犬攻め×流され系毒舌ツンデレ美人受け 狭い世界の中、私の世界の輪郭は貴方だった。 バトルBL小説企画作品 ハッピーエンド保証 ギャグ要素あり すれ違いあり 濡れ場は最後の方 よろしくお願いします。

俺はモブなので。

バニラアイス
BL
冷酷な第二王子×悪役令息の取り巻きモブの話です! ちなみにモブが溺愛されます! 初めて書くので誤字脱字お許しください💦 似ている作品があるかもですが先に謝っておきますごめんなさい🙏💦

悪役令嬢の次は、召喚獣だなんて聞いていません!

月代 雪花菜
恋愛
【3つの異なる世界が交わるとき、私の世界が動き出す───】 男爵令嬢誘拐事件の首謀者として捕らえられようとしていたルナティエラを、突如現れた黄金の光が包み込む。 その光に導かれて降り立った先には、見たこともない文明の進んだ不思議な世界が広がっていた。 神々が親しい世界で、【聖騎士】の称号を持ち召喚術師でもあるリュートと出会い、彼の幼なじみや家族、幼い春の女神であるチェリシュとの出会いを経て、徐々に己を取り戻していく。 そして、自分に発現したスキル【料理】で、今日も彼の笑顔を見るために腕をふるい、個性豊かな人々に手助けをしてもらいながら、絆を結んでいく物語である───   ルナが元いた世界は全く関係ないということはなく、どんどん謎が明かされていくようになっております。 本編の主人公であるルナとは別視点、あちらの世界のベオルフ視点で綴られる物語が外伝にて登場! ルナが去った後の世界を、毎週土曜日に更新して参りますので、興味のある方は是非どうぞ! -*-*-*-*-*-*-*- 表紙は鞠まめ様からのいただきものです!家宝にします!ありがとうございますっ! 【祝・3000コメ達成】皆様の愛あるコメが3000も!恒例の飯テロコメや面白劇場コメなど、本当にありがとうございますーっ”((._.;(˙꒳​˙ ;) ペコリ -*-*-*-*-*-*-*-

【完結】そっといかせて欲しいのに

遊佐ミチル
BL
「セックスが仕事だったから」 余命宣告を受けた夜、霧島零(21)はひったくりに合い、エイト(21)と名乗る男に助けられる。 彼は東京大寒波の日なのになぜか、半袖姿。そして、今日、刑務所を出所してきたばかりだと嘘とも本気とも付かない口調で零に言う。 どうしても人恋しい状況だった零はエイトを家に招き入れる。 過去を軽く語り始めたエイトは、仕事でセックスをしていたと零に告げる。 そして、つけっぱなしのテレビでは白昼堂々と民家を襲い金品を奪う日本各地で頻発している広域強盗犯のニュースが延々と流れていて……。

【完結】君が僕に触れる理由

SAI
BL
八田台美術大学に通う高橋歩は同じ学科に在籍する早瀬のことが好きだ。叶わない思いを胸に抱いたまま早瀬の親友である佐倉の手で欲望を発散させる日々。 これは自分の気持ちに鈍感な主人公の恋愛物語。 ※性描写を伴う箇所には☆印を入れてあります。 全17話+番外編 番外編の5年後にだけ挿絵があります。 8/24 番外編3話 追加しました。 9/12 アンダルシュ様企画 課題【お月見】に参加予定の為、一時的に完結表示が消えておりますが、本編は完結済みです。ショートストーリー【お月見】は9/18公開予定です。 10/19 こちらの作品の続編にあたる【酷くて淫ら】完結しました。早瀬メインのストーリーになっております。

異世界でのおれへの評価がおかしいんだが

秋山龍央
BL
とある船倉の中で目覚めたタクミ。彼が目覚めたそこは、RPGファンタジーゲーム、「チェンジ・ザ・ワールド」の世界とそっくりな異世界だった! いやいや、異世界転移するとしても、なんでこんな死亡フラグ立ちまくりの情勢不安定な世界になんだよ!? えっ、黒翼騎士団に加入しろ? おれ、ただの一般人ですけど? な、なんかおれへの評価がおかしくない? そんな主人公が過保護気味の騎士様たちに勘違いされつつ、異世界を冒険するお話です。

処理中です...