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第六章 スピネル
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いつものようにステラがバイトをしていると、店のガラスケースの中に見覚えの無いカラフルなブレスレットがあるのを発見した。
それが気になったステラは、店内に居る店長に問いかける。
「店長、あのケースに入ってるブレスレット、新商品ですか?」
「ああ、あれは一点物のスピネルブレスレットだよ。
買うかい?ステラちゃん」
「う~ん、買うかどうかは置いておいても、じっくり見てみたいです」
「じゃあちょっとケース見てきな」
店長の許可をもらい、ガラスケースの前でじっくりとスピネルを眺めるステラ。
今までスピネルは赤い物だと思っていたが、赤だけで無くピンクやオレンジ、緑に青といろいろな色が揃っている。
これは欲しい。そう思ったステラはさりげなく値札を見るが、とうてい手の出ない値段が付いている。
思わずうなだれるステラの頭上から、サフォーが一生懸命舌を伸ばしスピネルを嘗めようとしてきた。
これは叱らないと。ステラがそう思いながら頭に手を伸ばすと、サフォーの舌がガラスに阻まれてスピネルに届かない。
「ケコ、ご主人様ガラス開けて」
「開けたら喰う気だろコノヤロ」
「嘗めるだけ、嘗めるだけぇぇぇぇぇ……」
サフォーの哀れっぽい声も無視し、ステラは店内に戻り、石を再び磨き始めたのだった。
バイトから帰ってきたステラは、サフォーのごはんを用意する訳なのだが、どうにも上の空。
サフォーは出された石を早速ねちっこく嘗め始めたのだが、ふとステラの方を見て心配そうな顔をする。
「ケコ、ご主人様何か心配事でもあるケコか?」
すると、ステラは額に手を当てて答える。
「なんかお店にあったスピネル見たら、欲しくなっちゃって。
でもあんなに数いらないし、ブレスレットになって無くて良いからもっと安いの無いかなって思ったの」
「あたしのごはんケコか?」
「ふざけんな」
すぐさま否定されてしまったサフォーはしょんぼりした顔をするが、すぐに目の前のごはんに目を向け、嘗め始める。
その姿を見て、ステラも取りあえずはスピネルの事を考えるのは一旦中断し、ごはんを食べに行った。
次の日、ステラは早速匠に相談をする。
どこかでスピネルを石だけで扱っているお店は無いのか。
すると匠はこう返してきた。
「御徒町辺りにあるよ。今度一緒に行く?」
「そう言えば御徒町は問屋街だもんね。
一緒に行こうよ!」
そんな話で盛り上がっていると、ステラの頭の上から声がした。
「ご主人様、匠様、悠希様も一緒に来てくれると嬉しいケコ」
「え?お兄ちゃんも?」
「なんでよ」
疑問に思う二人に、サフォーはこう説明する。
折角石のお店に行くのなら、悠希同伴でどういった石が良い物なのかを見分ける方法を教えてもらった方が良いというのだ。
「ううむ、それは一理ある」
「あと、悠希様ならおいしい石を選んでくれるケコよ!」
「サフォーのごはんを買うって決まったわけじゃないんだかんな?」
「んんう~、良いでしょぉ~」
そんなステラ達の様子を見て、匠はやれやれと言った感じで言う。
「まぁまぁ、スピネル自体はそんなに高い石では無いんだよね。
でも、折角なら良いの欲しいだろうし、お兄ちゃんにも来てもらおうか?」
「師匠に来て頂けるならこれ以上無い幸い」
「じゃあ後で電話してみる」
こうして、ステラと匠のスピネル買い出しツアーの計画が練られたのだった。
そしてツアー当日。
待ち合わせをしたステラと匠、そして悠希が小さな石屋へと入る。
その石屋はビーズ状の石は扱っておらず、ルースと呼ばれるカットだけを施した石ばかりを並べている。
スピネルだけで無く、様々な石が並ぶその様を見て、ステラは感嘆の声を上げる。
「凄い、鉱物ショー以外でこんなにルース並べてるお店初めて見た」
「あれ、ステラってこう言うお店来た事無いんだ。意外」
そんな話をしていると、悠希の側でだるそうにしている鎌谷が二人に声を掛ける。
「取りあえず驚くのはその辺にして、お目当てのもん探さなくて良いのか?」
はっとしたステラは、並んでいるショーケースに並んでいる石をまじまじと見つめてスピネルを探す。
赤いスピネルも良いが、個人的には青系のスピネルが欲しいと思っていたステラは、ある程度目星をつける。
それから、悠希に訊ねた。
「悠希さん。この中からだと、どれが一番良いやつかね?」
ブルースピネルの一群をくるくると指さしながらそう訊くと、悠希はその中から三個ほどに絞って答える。
「純粋に質が良いのはこの三つくらいかな?
でも、質が良いだけが石の魅力じゃないし、直感で決めても良いと思うよ」
「成る程。
ところでこの三つが質が良いって言うのは、どういう点をチェックしてるの?」
「まずは透明感。それと、インクリュージョンって言う不純物が入ってないかどうかと、照りだね」
「ほうほう」
悠希の説明に改めて見比べてみると、確かに悠希が選んだ物は澄んだ色をしていて、輝いている。
じっくりと石を眺めているステラに、匠が声を掛ける。
「中にもいっぱい有ると思うから、中入ろうよ」
そう促されて、鎌谷を残して三人は店内へと入っていく。
店内には、外のケースとは比較にならないほど沢山の石が並んでいた。
早速店員にブルースピネルを見せてもらうと、先ほどのショーケースに並んでいた分も含めて沢山の小さい箱が並べられる。
その物量にも驚くステラに、サフォーが鞄の中から舌を伸ばして言う。
「ご主人様ぁ……あたしのごはん……」
安いのならサフォー用に買っても良いと思ったが、そんな事が出来る余裕のある金額では無いので、ステラは無言でサフォーを鞄の中に突っ込んだ。
悠希と店員の助言を受けながらステラがスピネルを選んでいると、突然店の入り口から誰かが入ってきてこう叫んだ。
「お前等大人しくしろ!金を出せ!」
入って来たのは、目出し帽を被り包丁を握った不審人物。
包丁を振り回しながらステラ達に近づいてくる。
この状況に、ステラと匠は思わず目配せをした。
悪人を何とかしたいが、魔法少女に変身しないと二人とも普通の女子高生と何ら変わらない。
しかし、変身するにもする隙が無い。
思わずステラが拳を握りしめていると、店員と悠希が怯えて縮こまっている。
「こ、怖いよ……助けて茄子MANさん……」
悠希のつぶやきに、何言ってんだこいつはとステラは思ったが、次の瞬間何を言っているのか理解する事になる。
店の入り口から音も無く入り込んできた何者か。それが瞬く間に強盗犯の包丁をたたき落とし、羽交い締めにしたのだ。
「悪人め!お前のような輩はこの茄子MANが成敗してくれる!」
ステテコ姿に茄子のお面。そんな格好をしたよく解らない人物が手際よく強盗犯を締め上げているのを見て、ステラの頭では情報処理が追いついていない。
その一方で、なにやら慣れた様子の匠が携帯電話で警察に連絡を取っていた。
そして、その隣に座っている悠希はと言うと、
「茄子MANさん、来てくれたんですね!」
と喜びの声を上げている。
ステラとしては本当に何が有ったのかが解らない。
そうこうしている内に、強盗犯は店にあった梱包用資材で縛り上げられ、暫くして警察が到着した。
警察に強盗犯を引き渡した茄子MANに、悠希が憧れのまなざしを向けてこう言う。
「有り難うございました茄子MANさん!」
「市民の平和を守るのが私の役目だからな。
青年よ、何かあったらいつでも私を呼ぶと良い。
それでは、今日も夜勤ッスよ……」
よく解らない決め台詞残して去って行く茄子MANを、ステラは呆然と見送る。
正義の味方の形態にも、色々有るのだなぁと思いながら。
そして少し落ち着いて、ステラはまた店内でブルースピネルを選ぶ。
「ん~、これにしよう」
なんとかこれだという一個を決められたステラに、匠がこんな事を言う。
「ねぇ、折角だから赤いのも買ったら?
これなんかお手軽価格だよ」
「レッドスピネル?
……成る程、この値段なら手を出しても良いね」
匠がステラに勧めたのは、今選んだブルースピネルよりもだいぶ小さいが、その分値段も抑えられているレッドスピネル。
じっくり眺めた後に、折角だからと言って、ステラはレッドスピネルも購入したのだった。
そして家に帰り、サフォーにごはんを用意していると覚えの無い気配がした。
何かと思い周りを見渡すと、レッドスピネルの入った袋がもぞもぞと動いているのだ。
嫌な予感がする。そう思いながら袋を開けると、中から出てきたのはサフォーの様に背中にびっしりと赤い宝石を敷き詰めたメタリックなカエル。
「ご主人様、初めましてケコ」
「なんでお前はここに居るんよ?」
「このレッドスピネルに付いてきたケコ!
ねぇねぇ、ご主人様になってよ。
ごはんをくれれば、きっとそのうち役に立つケコよ」
その言葉にステラは溜息をつく。
正直、石の選別をする時に青い石に関してはサフォーの助言が非常に役に立っているのだが、赤い石はてんで駄目なのだ。
なので、赤い石の選別はこのカエルに頼めば良いのではないか。そう思った。
「う~……カエルのごはん代がかさむけど、石の選別には変えられない……」
「赤い石なら任せて!
あ、あと、あたしは贅沢言わないケコよ。
ごはんは赤っぽい石なら何でも良いケコよ」
カエルも必死に訴えているし、ステラにもメリットがある。
結局、ステラはこのカエルも飼う事にした。
「じゃあ、名前が無いと呼びづらいから、赤い石背負ってるって事であんたの名前は『ルーベンス』ね。それで良い?」
「ケコ!ステキなお名前!
あたしの名前はルーベンスケコ!」
名前が決まった所で、ステラは早速サフォー用のごはんを出し、ルーベンスにあげられる様な石があるかどうかを物色し始めたのだった。
それが気になったステラは、店内に居る店長に問いかける。
「店長、あのケースに入ってるブレスレット、新商品ですか?」
「ああ、あれは一点物のスピネルブレスレットだよ。
買うかい?ステラちゃん」
「う~ん、買うかどうかは置いておいても、じっくり見てみたいです」
「じゃあちょっとケース見てきな」
店長の許可をもらい、ガラスケースの前でじっくりとスピネルを眺めるステラ。
今までスピネルは赤い物だと思っていたが、赤だけで無くピンクやオレンジ、緑に青といろいろな色が揃っている。
これは欲しい。そう思ったステラはさりげなく値札を見るが、とうてい手の出ない値段が付いている。
思わずうなだれるステラの頭上から、サフォーが一生懸命舌を伸ばしスピネルを嘗めようとしてきた。
これは叱らないと。ステラがそう思いながら頭に手を伸ばすと、サフォーの舌がガラスに阻まれてスピネルに届かない。
「ケコ、ご主人様ガラス開けて」
「開けたら喰う気だろコノヤロ」
「嘗めるだけ、嘗めるだけぇぇぇぇぇ……」
サフォーの哀れっぽい声も無視し、ステラは店内に戻り、石を再び磨き始めたのだった。
バイトから帰ってきたステラは、サフォーのごはんを用意する訳なのだが、どうにも上の空。
サフォーは出された石を早速ねちっこく嘗め始めたのだが、ふとステラの方を見て心配そうな顔をする。
「ケコ、ご主人様何か心配事でもあるケコか?」
すると、ステラは額に手を当てて答える。
「なんかお店にあったスピネル見たら、欲しくなっちゃって。
でもあんなに数いらないし、ブレスレットになって無くて良いからもっと安いの無いかなって思ったの」
「あたしのごはんケコか?」
「ふざけんな」
すぐさま否定されてしまったサフォーはしょんぼりした顔をするが、すぐに目の前のごはんに目を向け、嘗め始める。
その姿を見て、ステラも取りあえずはスピネルの事を考えるのは一旦中断し、ごはんを食べに行った。
次の日、ステラは早速匠に相談をする。
どこかでスピネルを石だけで扱っているお店は無いのか。
すると匠はこう返してきた。
「御徒町辺りにあるよ。今度一緒に行く?」
「そう言えば御徒町は問屋街だもんね。
一緒に行こうよ!」
そんな話で盛り上がっていると、ステラの頭の上から声がした。
「ご主人様、匠様、悠希様も一緒に来てくれると嬉しいケコ」
「え?お兄ちゃんも?」
「なんでよ」
疑問に思う二人に、サフォーはこう説明する。
折角石のお店に行くのなら、悠希同伴でどういった石が良い物なのかを見分ける方法を教えてもらった方が良いというのだ。
「ううむ、それは一理ある」
「あと、悠希様ならおいしい石を選んでくれるケコよ!」
「サフォーのごはんを買うって決まったわけじゃないんだかんな?」
「んんう~、良いでしょぉ~」
そんなステラ達の様子を見て、匠はやれやれと言った感じで言う。
「まぁまぁ、スピネル自体はそんなに高い石では無いんだよね。
でも、折角なら良いの欲しいだろうし、お兄ちゃんにも来てもらおうか?」
「師匠に来て頂けるならこれ以上無い幸い」
「じゃあ後で電話してみる」
こうして、ステラと匠のスピネル買い出しツアーの計画が練られたのだった。
そしてツアー当日。
待ち合わせをしたステラと匠、そして悠希が小さな石屋へと入る。
その石屋はビーズ状の石は扱っておらず、ルースと呼ばれるカットだけを施した石ばかりを並べている。
スピネルだけで無く、様々な石が並ぶその様を見て、ステラは感嘆の声を上げる。
「凄い、鉱物ショー以外でこんなにルース並べてるお店初めて見た」
「あれ、ステラってこう言うお店来た事無いんだ。意外」
そんな話をしていると、悠希の側でだるそうにしている鎌谷が二人に声を掛ける。
「取りあえず驚くのはその辺にして、お目当てのもん探さなくて良いのか?」
はっとしたステラは、並んでいるショーケースに並んでいる石をまじまじと見つめてスピネルを探す。
赤いスピネルも良いが、個人的には青系のスピネルが欲しいと思っていたステラは、ある程度目星をつける。
それから、悠希に訊ねた。
「悠希さん。この中からだと、どれが一番良いやつかね?」
ブルースピネルの一群をくるくると指さしながらそう訊くと、悠希はその中から三個ほどに絞って答える。
「純粋に質が良いのはこの三つくらいかな?
でも、質が良いだけが石の魅力じゃないし、直感で決めても良いと思うよ」
「成る程。
ところでこの三つが質が良いって言うのは、どういう点をチェックしてるの?」
「まずは透明感。それと、インクリュージョンって言う不純物が入ってないかどうかと、照りだね」
「ほうほう」
悠希の説明に改めて見比べてみると、確かに悠希が選んだ物は澄んだ色をしていて、輝いている。
じっくりと石を眺めているステラに、匠が声を掛ける。
「中にもいっぱい有ると思うから、中入ろうよ」
そう促されて、鎌谷を残して三人は店内へと入っていく。
店内には、外のケースとは比較にならないほど沢山の石が並んでいた。
早速店員にブルースピネルを見せてもらうと、先ほどのショーケースに並んでいた分も含めて沢山の小さい箱が並べられる。
その物量にも驚くステラに、サフォーが鞄の中から舌を伸ばして言う。
「ご主人様ぁ……あたしのごはん……」
安いのならサフォー用に買っても良いと思ったが、そんな事が出来る余裕のある金額では無いので、ステラは無言でサフォーを鞄の中に突っ込んだ。
悠希と店員の助言を受けながらステラがスピネルを選んでいると、突然店の入り口から誰かが入ってきてこう叫んだ。
「お前等大人しくしろ!金を出せ!」
入って来たのは、目出し帽を被り包丁を握った不審人物。
包丁を振り回しながらステラ達に近づいてくる。
この状況に、ステラと匠は思わず目配せをした。
悪人を何とかしたいが、魔法少女に変身しないと二人とも普通の女子高生と何ら変わらない。
しかし、変身するにもする隙が無い。
思わずステラが拳を握りしめていると、店員と悠希が怯えて縮こまっている。
「こ、怖いよ……助けて茄子MANさん……」
悠希のつぶやきに、何言ってんだこいつはとステラは思ったが、次の瞬間何を言っているのか理解する事になる。
店の入り口から音も無く入り込んできた何者か。それが瞬く間に強盗犯の包丁をたたき落とし、羽交い締めにしたのだ。
「悪人め!お前のような輩はこの茄子MANが成敗してくれる!」
ステテコ姿に茄子のお面。そんな格好をしたよく解らない人物が手際よく強盗犯を締め上げているのを見て、ステラの頭では情報処理が追いついていない。
その一方で、なにやら慣れた様子の匠が携帯電話で警察に連絡を取っていた。
そして、その隣に座っている悠希はと言うと、
「茄子MANさん、来てくれたんですね!」
と喜びの声を上げている。
ステラとしては本当に何が有ったのかが解らない。
そうこうしている内に、強盗犯は店にあった梱包用資材で縛り上げられ、暫くして警察が到着した。
警察に強盗犯を引き渡した茄子MANに、悠希が憧れのまなざしを向けてこう言う。
「有り難うございました茄子MANさん!」
「市民の平和を守るのが私の役目だからな。
青年よ、何かあったらいつでも私を呼ぶと良い。
それでは、今日も夜勤ッスよ……」
よく解らない決め台詞残して去って行く茄子MANを、ステラは呆然と見送る。
正義の味方の形態にも、色々有るのだなぁと思いながら。
そして少し落ち着いて、ステラはまた店内でブルースピネルを選ぶ。
「ん~、これにしよう」
なんとかこれだという一個を決められたステラに、匠がこんな事を言う。
「ねぇ、折角だから赤いのも買ったら?
これなんかお手軽価格だよ」
「レッドスピネル?
……成る程、この値段なら手を出しても良いね」
匠がステラに勧めたのは、今選んだブルースピネルよりもだいぶ小さいが、その分値段も抑えられているレッドスピネル。
じっくり眺めた後に、折角だからと言って、ステラはレッドスピネルも購入したのだった。
そして家に帰り、サフォーにごはんを用意していると覚えの無い気配がした。
何かと思い周りを見渡すと、レッドスピネルの入った袋がもぞもぞと動いているのだ。
嫌な予感がする。そう思いながら袋を開けると、中から出てきたのはサフォーの様に背中にびっしりと赤い宝石を敷き詰めたメタリックなカエル。
「ご主人様、初めましてケコ」
「なんでお前はここに居るんよ?」
「このレッドスピネルに付いてきたケコ!
ねぇねぇ、ご主人様になってよ。
ごはんをくれれば、きっとそのうち役に立つケコよ」
その言葉にステラは溜息をつく。
正直、石の選別をする時に青い石に関してはサフォーの助言が非常に役に立っているのだが、赤い石はてんで駄目なのだ。
なので、赤い石の選別はこのカエルに頼めば良いのではないか。そう思った。
「う~……カエルのごはん代がかさむけど、石の選別には変えられない……」
「赤い石なら任せて!
あ、あと、あたしは贅沢言わないケコよ。
ごはんは赤っぽい石なら何でも良いケコよ」
カエルも必死に訴えているし、ステラにもメリットがある。
結局、ステラはこのカエルも飼う事にした。
「じゃあ、名前が無いと呼びづらいから、赤い石背負ってるって事であんたの名前は『ルーベンス』ね。それで良い?」
「ケコ!ステキなお名前!
あたしの名前はルーベンスケコ!」
名前が決まった所で、ステラは早速サフォー用のごはんを出し、ルーベンスにあげられる様な石があるかどうかを物色し始めたのだった。
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