日ノ本経済 始まりの話

始まりは縄文から

日ノ本経済 禁忌タブーが生まれた。

「海幸彦と山幸彦」の御伽噺は、禁忌タブーという概念が生まれた噺でもあります。
　山幸彦の嫁は、和邇姫ワニの姫であり、本性が八尋鰐ヤヒロノワニであったと伝えられています。つまり、山幸彦の嫁は、あやかしひとならざるものであったのです。
　産み月となって、産屋に入った豊玉姫トヨタマヒメが見てはならぬと言ったのを、山幸彦は守ることができず、規約プロトコルを破って、産屋を覗いてしまう。これは、イザナミを黄泉から連れ帰る時に、イザナギが覗いてしまうのも同じである。

　生死の境界で生じる出来事は、「禁忌タブー」として確立されたのもまた、縄文時代であった。

縄文草創期に確立された、規約プロトコルは、男女の中、生死の狭間における祭祀という、始原的な規約プロトコルの確立である。異なる一族との婚姻を可能にするためには、男女の契り、生死の境界における祭祀の規約プロトコルについて、最低限の習合を図ることが必要となります。

　男女の契りであれば、規約プロトコルを敗れば、契りは解消され、男女に別離が訪れます。

　この時に、子供を連れて行かず、子供を捨てて行くということは、子の養育権に関する規約プロトコルは、父親にあるのではなく、生まれた場所にあると規定されていることになります。これは、子を海民ではなく、人里で育てるために産屋を建てていることから判断できます。豊玉姫トヨタマヒメが産気づき、産屋で子を産み、それを山幸彦が覗いたことで、豊玉姫トヨタマヒメは子供を捨てて海へ帰っています。



　生まれた子を育てるために、豊玉姫トヨタマヒメは、妹姫を山幸彦に遣わします。