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我田引鉄だけじゃない?

我田引鉄だけじゃない?17 戦塵の舞う大陸、復興の平穏なる日本

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 昭和元年(1924年)は、大陸は大変な動乱に包まれていった。アメリカは、30万の軍を派遣して、北洋軍閥を倒すべく、長城を越えて侵攻を開始したのである。蒙古共和国軍は、赤軍に対抗するためもあって、国民皆兵制度があり、日本からの武器供与と支援によって、草原を舞台とした防衛戦闘を開始したのである。蒙古共和国軍にとっては、主敵がソビエト軍であることから、損耗を避けるように遅滞戦闘によって、西へ西へと誘引を図っていた。



 馬族を率いる日向達は、蒙古共和国軍へ義勇兵で参加し、山岳ゲリラ戦を展開していた。

 戦塵が舞い、死神が狂うかのように、蒙古の草原は、血飛沫を呑み込んでいった。



 米軍は、戦車を中心とする最新の機械化部隊を前面に押し出すことで、快調な進撃を続けていた。しかしながら、北京との補給路は、馬族による夜襲などの不正規戦ゲリラ戦によって被害を出していて、補給路の確保が厳しい状況にあった。





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 何も無い草原の海を、数百キロ進軍しても、遊牧民たちは既に遥か彼方へと、住処を含めて移動を完了していた。
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 米軍10万を蒙古共和国軍が壊滅に追い込んだが、実質の戦力は、蒙古共和国軍5万に馬族1万の戦力であった。ウンゲルン将軍が西方で赤軍と対峙していたため、デムチグドンロブやスフバートル将軍が蒙古共和国軍を率いていたのである。米軍を破ったと、大々的に報道されたこともあって、蒙古人の独立への気運はさらに高まっていった。

 イギリスは、アムール川を船で航行して、大量の武器を極東ロシア共和国、蒙古共和国へ供与をおこなっていた。イギリスにしても、日本にしても、ユーラシア大陸を赤軍に一元支配されるよりも、分割統治された方がありがたかった。

 蒙古共和国は、統一された政体ではないが、蒙古独立を主軸とするスフバートル、ロシア征服を夢見るウンゲルン、内モンゴルに影響力を持つ、馬族や、北洋軍閥に分かれていた。イギリスは、反共で一致するウンゲルンに肩入れをしていたが、日本は、デムチグドンロブやスフバートル独立派を中心として、北洋軍閥や馬族への支援を行っていた。問題は、独立派が北洋軍閥と組むことで、アメリカと真っ向から戦争を始めたのである。独立派へは、日本から武器供与がされていた。独立派からの要望を受けて、日本はイギリスの重火器に合わせた弾薬の製造をおこない、大連の開発部では、イギリスのヴィッカースから重火器Vickers gunのライセンス生産をおこなって、販売していた。帝国陸軍の7.7mm機関銃および12.7mm重機関銃は、重火器Vickers gunの日本型改良モデルであった。12.7mm重機関銃は、海軍用としても採用され、対空近接兵装として用いられた。

 日本における機関銃の製造は、ヴィッカースからのライセンス生産に始まることとなった。

 硬さを試験するにあたって、ダイヤモンドを四角垂に加工し、圧力で押し付けることで、鋼の窪みを計測することで、硬度試験法が、日本へ入ってきたのもヴィッカースからである。汎用性の高い硬度試験法は、大連開発局で喜ばれ、鋼板試験等にも使われるようになっていった。

  日本の復興は、世界中からの支援を受け、10億の国営満洲鉄道都市警備局が国債を買い上げ、モルガン商会へ5億、ロスチャイルドへ3億、ビッカースに2億の社債決済を実行した。満洲を中心に儲けを出している欧米の企業からすれば、満洲に安定を築いている日本が不安定になるのを避ける投資ということになる。モルガン商会は、新たな自動車工場の建設を遼陽に進め、大連の重化学工場は、ロスチャイルドの支援を受けて拡大していった。これらの資金の流れから、様々な憶測やデマが、世界中を飛び交うこととなっていった。

 かなり強引な区画整理を断行し、帝都の火災対策を遂行した。15億の予算を確保し、被災地を国家で買い取り、広大な敷地を確保した後藤新平率いる「帝都復興院」は、帝都の上下水道の確保と共に、隅田公園、浜町公園、錦糸公園、赤坂公園や芝公園など数十カ所の防災公園を設置した。

 帝都は、防衛と水源確保のため、多くの水路が引かれていることもあって、架橋は200を越えて工事が実行された。横須賀からの大道を外周として、複数の円環状道路と放射状の街道工事の建設が進められた。帝都建設への予算配分を不満とし、地方への予算配分を求めたことで、街道建設は東京から地方までの街道建設事業として、長期計画で開始された。

 街道建設は、鉄道利権とは別に道路利権として地盤を経由するように、縦横にブレながら拡がっていった。
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