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五代目武川組
五代目武川組 五代目逝去
しおりを挟む五代目武川組長武川順之介の葬儀は、数万人を超える参列者に数十万の人々に送られる形で、満洲特区奉天郊外のロシア帝室府で挙行された。武川順之介は日本の華族松平智則の八男であり、ロシア帝室から伯爵位を持つ、日露双方で認められた貴族でもあった。また、五代目武川組武川順之介は、樺太鉄道都市警備局局長と満洲鉄道都市警備局局長を務めており、満洲里市長をも兼務していた。
武川組は世界大戦以降、対ボリシェビキ戦争の最前線で活躍し、満洲および樺太の治安維持を機能させた民間軍事会社「武川組」は、総構成員数百万を超える巨大組織に成長していた。会社組織としては、民間会社としているが、実質的に世界各国の義勇兵が所属し、国際聯盟事務局傘下で平和維持軍として編成され、満洲里を中心とした、対ボリシェビキ活動と満洲国境を防衛する国際聯盟軍の主力であった。
1920年に始まる、極東ロシア共和国とボリシェビキ・ロシアとの戦争は、1989年ボリシェビキ・ロシアが崩壊し、ロシア共和国となったことで、ようやく終焉を迎えた。70年近い戦争は、欧州各国からの開発支援によって、満洲を後方支援の巨大市場として発展した。
「満洲特区」は、国際聯盟の委任統治領であり、国際聯盟が統治する特別地域であった。いかなる国の制約も受けない国境なき国家とも呼ばれ、世界大戦以降に世界中で頻発した独立戦争によって生じた国際難民が、逃亡する移民が居住する地区でもあった。
武川順之介自身は、戦時国境線という形で極東ロシアが旧首都チタを放棄し、愛軍条約を基ととした戦時国境線が確定した1972年に引退し、六代目武川正之助に継承、奉天で隠居していた。長く奉天ロシア帝室病院で療養していたが、1989年にボリシェビキ・ロシアが崩壊し、ロシア共和国が建国されるニュースを見て涙を流していたと伝えられる。三日後、眠るようにして、往生した、安らかな死に顔であったと言う。
国際社会は、ボリシェビキ以降の世界構築に追われて、日米という巨大な国家となっていて、非常に大きな混乱の中にあった。
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