琉球お爺いの綺談

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お爺の一考

義経嫌いな人のための源平合戦 vol.07 義経流とは何か

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 最近、「アン〇ルモア」という漫画に、義経流という話が出て来る、平安末期に平家追討で武功を上げたことになっている、源義経が伝えた兵法とされている。

 義経の戦は、義経流と言われているが、鞍馬で学んだのは、後に鬼一法眼が伝えた、京八流の源流と言うべき兵法であったと推定される。

 義経の戦場での行動は、戦争そのものではなく、二つの点を主眼としている。
 記す
  一つは、個人の戦闘能力を活かすこと。
  一つは、目的を達成するために、手段は正当化されること。
 以上

 平家を倒すという目的のために、すべての手段を正当化して、自分の立ち位置を出来る限り目立てるようにする。義経が、源平合戦でおこなった動きは、上記の二点に集約されている。

 義経の戦闘は、戦略目標を達成するために手段を選ばないのではなく、戦闘によって戦略目標を達成することが前提となっている。これには、義経にとっての戦闘目的が、頼朝や義仲と違い、非常に個人的な感情に起因していたと考えられる。

 義経の母、常盤御前は、身分は低いが、かなり美しい女性であったようで、義朝に見初められ子供が三人生まれている。平家物語では、清盛の妾となることの引き換えとして、三人の子供、今若、乙若、牛若の助命を願ったとされる。これ自体は、事実かどうかは不明であるが、負けた武将の妻女は、勝った側のモノとされることから、それほど間違ってない話とも言える。

 義経は、赤子であったことから、事実がどうであったかは知らされていないが、巷で伝わる噂そのものは、伝えられたと考えられる。母の常盤御前が、一条長成との間に、子供が生まれていたのは事実である。

 義経が、奥州藤原に身を寄せるのは、一条長成の伝手によるとされている。とすれば、一条長成は恩人であり、怨めない相手となる。

 また、義経は、弓を落として海に流れたのを、必死で奪い返そうとしている。理由は、小柄な義経は、貧弱な筋力から弱い弓しか使えない、それを平家に知られるのを嫌がったとある。義経が持つ、コンプレックスとプライドの高さを示す、一つの例であろう。

 義経は、源氏の頭領である、義朝の子供であることに誇りを持ち、身分の低い妾の子であるコンプレックスがあった。

 さらに、義経の立ち位置は、他の兄弟と異なり、かなり微妙な立場である。なぜなら、義経は、身一つで頼朝の下へ行った、兄の今若と異なり、奥州藤原氏から兵を預けられて、頼朝と会見している。純粋な意味では、頼朝の味方ではなく、奥州藤原氏の支援を受けた傭兵隊長のような立場となる。

 頼朝からすれば、味方が増えたことになるが、奥州藤原氏は強大な勢力を築いていて、厄介な味方であった。義経と他の兄弟が、扱いが異なるのは、義経が奥州藤原氏の支援を受けていたことである。

 義経としては、源平合戦の中で、自分の手柄を必要としていた。つまりは、誰の目にも理解しやすい手柄を、手に入れる必要があったのである。自分の手柄としては、戦場での武功というのが、もっとも理解しやすい。だからこそ、義経は戦場を作り、戦場で手柄を上げることを優先していた。





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 戦場での手柄を求め、武功を強引に奪い続けた結果、平家を滅ぼしてしまい、三種の神器を確保もできず、安徳陛下も死なせてしまった。
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 義経は、平家を倒した功で、京洛では英雄として迎えられ、官位を得てしまう。結果として、義経と頼朝の仲が悪化していくことになる。

 義経が学んだ鞍馬の兵法は、戦闘技法に近いモノであり、傭兵隊長としてであれば、有効な兵法であった。義経は、源平合戦に傭兵隊長として参加し、天運を得て、武功を上げることには成功した。しかしながら、戦闘のみに執着したことで、後鳥羽陛下を「神器無き陛下」としたことは、後鳥羽陛下と頼朝の恨みを買ったことになります。

 強引な手柄の奪取は、京洛貴族のような戦場に関係ないモノにとっては、有効な結果となるが、一緒に戦ったモノからは恨まれることとなる。

 さらに言えば、義経は、一介の傭兵隊長でしかなく、一家一門郎党を率いて源平合戦に参加していない。義経個人に従うモノであり、奥州藤原氏の支援や頼朝の名前で、軍を従えていたにすぎない。だからこそ、一軍を率いる大将としての手柄ではなく、義経個人に従うモノ達を率いて、手柄を立てる必要があったのである。義経の独断専行は、義経の立場からの行動であり、結果的に武功をあげたものの、危険な賭けを繰り返したのは、義経の支援背景から、生じた結果である。
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