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お爺の一考
義経嫌いな人のための源平合戦 vol.04 武家が必要としたモノ 後編
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関東を中心とした武家が求めたのは、土地争いにおける、公平に裁くことができる正当な組織である。
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関東地方で、叛乱が大規模化する原因は、土地争いの調停するにあたって、当事者が納得できない不公平さにあった。これは、京洛が長らく京洛での地位獲得に終始して、現地に赴任せず、遥任国司が定着し、現地の事情を踏まえた上での裁定ができなくなっていることにあった。
また、国司の権限には、地域が規定されている。しかしながら、武家が開発し守ってきた所領は、広範囲におよび国司の権限を越えることも多かった。結果として、各地域の境付近では、国司の権限が錯綜し、争いが多発することになる。
こういった裁定を最終的におこなったのが、頼朝を頂点とする鎌倉幕府であり、実際に裁いていたのは、大江広元や梶原景時らインテリ御家人であった。
武家にとって、公平な裁定が行われることが重要であり、公平な裁定を行ってくれるのであれば、相手を問う必要は無かったのである。武家にとってより公平な裁定を行ってくれたのが、鎌倉で在り、公平な裁定によって領地を護ってくれる恩義から、源頼朝に従って源平合戦に参戦したのである。
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関東と関西の違い
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権益の争いが、土地に密着するのが、関東の武家で在り、荷役や塩といった商品そのものを対象としたのが、関西の武家である。
京洛を中心とした地域は、最大の消費地である京洛を抱え、モノを生産地から消費地に移動させる必要があった。モノの移動は権益であり、当時は海上交通および河川交通による輸送が基本であった。
「承平・天慶の乱」は、平将門と藤原純友が同時期に起こした叛乱であるが、将門と純友の叛乱背景は同じではない。藤原純友が起こした叛乱は、国境の無い海上での利害関係者の抗争結果であり、海の武士団が起こした叛乱である。
平安末期に平忠盛や清盛が、征伐と裁定をおこなっていたのは、この海の武士団に対してである。平家の下に、瀬戸内海を中心とする、海の武士団を纏め上げて、一大勢力として確立したのが、平安末期の平家政権である。
源平合戦が、「ランドパワー=源氏」「シーパワー平家」と呼ばれることがあるのは、源頼朝を頂点とする源氏と平清盛を頂点とする武家の在り方から生まれている。
しかしながら、平家にも越後の城家に代表される、「ランドパワー」があり、源氏にも平家打倒に初期に動いた、源頼政のように淀川の川筋を権益とする「シーパワー」が存在していた。さらに言えば、同じ「ランドパワー」であっても、奥州藤原は独自の勢力であり、既に奥州で政権基盤を確立していた。
関東を中心とした武家が求めたのは、土地争いにおける、公平に裁くことができる正当な組織である。
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関東地方で、叛乱が大規模化する原因は、土地争いの調停するにあたって、当事者が納得できない不公平さにあった。これは、京洛が長らく京洛での地位獲得に終始して、現地に赴任せず、遥任国司が定着し、現地の事情を踏まえた上での裁定ができなくなっていることにあった。
また、国司の権限には、地域が規定されている。しかしながら、武家が開発し守ってきた所領は、広範囲におよび国司の権限を越えることも多かった。結果として、各地域の境付近では、国司の権限が錯綜し、争いが多発することになる。
こういった裁定を最終的におこなったのが、頼朝を頂点とする鎌倉幕府であり、実際に裁いていたのは、大江広元や梶原景時らインテリ御家人であった。
武家にとって、公平な裁定が行われることが重要であり、公平な裁定を行ってくれるのであれば、相手を問う必要は無かったのである。武家にとってより公平な裁定を行ってくれたのが、鎌倉で在り、公平な裁定によって領地を護ってくれる恩義から、源頼朝に従って源平合戦に参戦したのである。
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権益の争いが、土地に密着するのが、関東の武家で在り、荷役や塩といった商品そのものを対象としたのが、関西の武家である。
京洛を中心とした地域は、最大の消費地である京洛を抱え、モノを生産地から消費地に移動させる必要があった。モノの移動は権益であり、当時は海上交通および河川交通による輸送が基本であった。
「承平・天慶の乱」は、平将門と藤原純友が同時期に起こした叛乱であるが、将門と純友の叛乱背景は同じではない。藤原純友が起こした叛乱は、国境の無い海上での利害関係者の抗争結果であり、海の武士団が起こした叛乱である。
平安末期に平忠盛や清盛が、征伐と裁定をおこなっていたのは、この海の武士団に対してである。平家の下に、瀬戸内海を中心とする、海の武士団を纏め上げて、一大勢力として確立したのが、平安末期の平家政権である。
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しかしながら、平家にも越後の城家に代表される、「ランドパワー」があり、源氏にも平家打倒に初期に動いた、源頼政のように淀川の川筋を権益とする「シーパワー」が存在していた。さらに言えば、同じ「ランドパワー」であっても、奥州藤原は独自の勢力であり、既に奥州で政権基盤を確立していた。
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