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お爺の一考
上町台地異聞05 上町台地掘削事業、大和川が生まれる
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河内湖一帯の干拓事業を推進するため、上町台地の掘削事業が江戸期に行われ、大和川が生まれている。
これは、奈良盆地から流れ出る水を、淀川に合流させずに、大阪湾に直接注ぐことで、生野区から東成区あたりまでの大規模治水事業を推進しようという試みである。この工事が完成すると、上町台地は、南に大和川、北に大川、西が大阪湾で、東が水量が減った平野川ということになる。緊急時には、大和川の水を平野川に戻すことで、平野川沿岸を水没させることも可能となる。
上町台地の掘削事業は、四天王寺の南側で、仁徳期に造成されていた、依網池を貫く形で推進されています。これは、依網池から住吉までの水路があったことも理由であったようです。依網池から大阪湾への工事が6km、依網池から柏原の平野川との分岐点までが10km、人力での治水土木工事としては、非常に厳しい工事となります。
上町台地の掘削事業を実施した場合、大きく地政学上の条件が変わります。奈良盆地から流れ出る土砂が堆積し、堺港や住吉津の機能が低下し、大型船の寄港地として、木津川沿いの難波湊が躍進します。神戸の大輪田泊との競合となりますので、平安末期は大輪田泊が、国際港としての地位を確立していると思います。当時の港の規模としては、大輪田泊の方が平家の一大事業として拡大しているので有利ですが、平家滅亡後の鎌倉期は、京洛との交通を含めて、難波湊も利用されるようになります。
幕末期に、大阪でなく神戸が開港地とされたのは、大阪が政治の要衝であったことと、人口が多かったためでもあります。
幕末期から大阪と神戸の争いは、港湾荷役の地位をめぐって、非常に殺伐した争いとなっていきます。開港地が神戸であったこともあってか、地位的には、神戸の方が優勢のようです。大阪は、淀川によって運ばれる土砂を浚渫する作業が必要となり、天保山に代表される浚渫工事が幾度も実施されていて、コストのかかる港であったといえます。
大輪田泊から港湾施設としては、重要拠点であった神戸ですが、平家滅亡以降は、瀬戸内海への入り口から川筋の物流ルートを抱えていた大阪は、政治と地理の要衝であるために、どうしても大きく地位を後退することが無かった。
難波の沖合にあった砂州を使い、鎌倉の和賀江島を拡大させた、人口の港湾施設を建設できれば、大阪の港湾施設として確立させることができる。江戸期には、大規模な浚渫工事を繰り返して、港湾設備を護った大阪である。人口的に港湾施設を造って、難波湊を造り上げたとしても、ビジネス的にも維持可能であったと推定できる。
これは、奈良盆地から流れ出る水を、淀川に合流させずに、大阪湾に直接注ぐことで、生野区から東成区あたりまでの大規模治水事業を推進しようという試みである。この工事が完成すると、上町台地は、南に大和川、北に大川、西が大阪湾で、東が水量が減った平野川ということになる。緊急時には、大和川の水を平野川に戻すことで、平野川沿岸を水没させることも可能となる。
上町台地の掘削事業は、四天王寺の南側で、仁徳期に造成されていた、依網池を貫く形で推進されています。これは、依網池から住吉までの水路があったことも理由であったようです。依網池から大阪湾への工事が6km、依網池から柏原の平野川との分岐点までが10km、人力での治水土木工事としては、非常に厳しい工事となります。
上町台地の掘削事業を実施した場合、大きく地政学上の条件が変わります。奈良盆地から流れ出る土砂が堆積し、堺港や住吉津の機能が低下し、大型船の寄港地として、木津川沿いの難波湊が躍進します。神戸の大輪田泊との競合となりますので、平安末期は大輪田泊が、国際港としての地位を確立していると思います。当時の港の規模としては、大輪田泊の方が平家の一大事業として拡大しているので有利ですが、平家滅亡後の鎌倉期は、京洛との交通を含めて、難波湊も利用されるようになります。
幕末期に、大阪でなく神戸が開港地とされたのは、大阪が政治の要衝であったことと、人口が多かったためでもあります。
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