琉球お爺いの綺談

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お爺の一考

上町台地異聞03 土木治水事業の進展と水稲栽培

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 大規模な土木治水事業は、大陸で生まれ、法家の思想と共に、筑紫ヤマトから畿内ヤマトへともたらされた。

 大規模治水工事は、難波宮の時代に拡大し、大規模な墾田開発と班田収授が行われたと推定される。食糧増産の結果、余剰人員が発生し、余剰人員によって、大規模な墾田開発事業を推進し、余剰人員を新たな墾田の労働力として食糧生産力を向上させる。余剰人員の拡大と墾田開発が、瀬戸内海沿岸での人口増につながっていた。その証拠となるのが、百舌鳥古墳群に代表される、日本の古墳である。大規模な土木治水事業が行われた結果であり、証拠でもある。

 天平期に成立したとされる律令体制は、大規模土木事業によって、余剰人員を新たな墾田の労働力として、国家規模そのものが拡大した時代であったと推定される。習慣法の整理と共に、経験的に班田収授でおこなっていた規約を、明文化して法的な整備として進めたのが、天平時代ということになる。この時期、巨大な土木治水事業は国家事業として確立されていて、国家事業としての新田開発が推進されていたと考えられる。

 しかしながら、大規模な土木治水事業と、見合うだけの新田開発による収益というのは、開発が進めば進むほどに成立しなくなる。台風等による水害や疫病による被害も多かった時代であれば、国家事業として墾田開発は、コストパフォーマンスが悪くなり、徐々に収益事業ではなく赤字の公共事業となっていく。

 律令体制の成立期と、国家事業としての墾田開発事業の赤字化が、記録上の歴史から見ると重なるのは、律令体制の確立期には、すでに墾田開発事業が赤字化していたためと考えられる。ただし、大規模な土木事業を伴う、墾田開発は赤字となったが、小規模な土木事業による墾田開発事業は、逆に律令体制以降に拡大していくことになる。行基の伝承で、各地に治水を含めた土木事業を推進しているのは、おそらくは行基だけでなく、行基を中心とした技術者集団の形成による、各地の有力者による開発事業の開始ということになる。

 「公地公民」という法的な表現は、主上すめらみことによる国体の確立であり、国府、国分寺、国分尼寺の建立は、日ノ本が国家として確立した時代であることを示している。

 各地で有力者が、私的に墾田を開発した場合、墾田は「公地」の中にある「私有地」ということになる。墾田永年私財法は、「公地」の中の「私有地」に関する法的な整備となる。

 元々、稲作および水稲栽培そのものが、国家事業による飢饉対策であり、単位面積当たりの生産量が大きく、救荒作物生産の国家事業であった。稲が他の作物と一緒ではなく、一定の価値を持って別扱いされるのは、籾米のままであれば長期間の保管が可能であり、ほしいいのように加工食品としても長期間の保存可能な食品であった。本質として、米と塩に雑穀や肉魚を加えることで、生命維持が可能であることを示していた。

 日本の主食が米になったのは、天平期以降であり、食生活そのものが米が基準となっていったのである。国内米では、一般庶民が精米することで白いお米となるのは江戸期からであり、天平期は赤米や黒米が基本であり、白米は少なかったといわれています。精米するとどの米も白米になるので、当時の米はカラフルな玄米で、御飯そのものが雑穀米に近かったのです。精米せずにご飯を炊くには、非常に時間がかかることから、庶民でも多少は精米をおこなって炊いていたと伝わっています。

 米を貯蔵する高床式倉庫の地域には、臼と杵で精米する精白米を作る職人が雇われていて、精米した米が役人の給与として扱われていたと伝わります。

 米の場合、籾殻を取ることそのものが難しく、籾と一緒に食べていたともされます。

 稲は、量産性が高く保存性に優れていますが、非常に手間がかかる作物です。

 水田を作り、籾を撒いて育て、毎日のように雑草や虫を取り除く世話をして、ようやく育った稲を刈り取って、天日干しをして、梳き取って籾米にして、杵と臼を使って脱穀して、籾摺りを行って籾殻を取り、風で飛ばすなどして籾殻を取り除いて、やっと玄米となります。

 千歯扱きや、唐箕といった装置は、稲から玄米とするまでの作業を機械化したものです。稲作そのものが、「八十八の手間がかかって“米”と呼ぶ」ように、非常に手間がかかるモノなのです。そういった手間暇がかかる作物なので、“米”という製品そのモノに、非常に高い付加価値があることになります。天平期には、白米は高価で、貴族の食べ物ということになります。


 結果として、白米を食べていた貴族に、脚気が流行することになります。京洛の衛生設備は、非常に貧弱であり、平安貴族は、皮膚病等に悩まされていたと記録にはあり、疫病等による被害も非常に大きかったといわれます。
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