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時の奔流
歴史を遡行するのは難しい09 日本は、世界で最も厳しい、「契約社会」である4
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お爺ぃは、「判官びいき」が大嫌いである。
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「判官びいき」は、日本人の悪しき病である。ヒーローを祀り、悲劇を覆い隠す、理由は「可哀そう」である。可哀そうとするのは、勝者の余裕で在り、悲劇の主人公として認めるのも、生き残り勝者となったからである。だからこそ、お爺ぃはケンシロウが嫌いなのである。ケンシロウが勝つことで、結果として、人の悲劇も人の悲しみも消えることなく、ケンシロウが言う悪人が生まれては、ケンシロウに倒される。日本における善悪の判断は、非情なモノであり、「勝てば善」という前提で悲劇を招く基準となっている。
確かに、勝ったケンシロウは「善」人であるが、勝った後についてケンシロウは関与しない。ケンシロウが勝つことを嫌うのは、勝った結果、人は一時的に幸せになったように見えるが、勝たせて貰ったことに甘えるからである。
日本における「契約」は絶対で在り、「契約」を破ることは、理由に関係なく処断される。「契約」を護ることが、善であり、「契約」を破ることが、悪である。日本での情は、「契約」を超えて作用するため、処断される先に「許し」を与えるを情実としている。
「判官びいき」とは、処断される先の「許し」であり、日本の情実である。
お爺ぃは、「情実」そのものを否定しないし、「情実」が「契約」の上にあるのは、日本の在り方として正しいとしている。
「情実」の強さは、困ったことに勝利する事によって、自らに制限をかけてしまうことに繋がる。つまりは、勝てば勝つほどに、相手を有利にしなければならない、自縄自縛の鎖となっていく。
劇的な勝利を得れば、さらに劇的な勝利を、過酷な状況からの勝利を求める、これが「情実」の強さを規定した根幹となる。
強くなるまでは、暗殺しようが騙し討ちだろうが許されるが、強くなってからは、一切の妥協が許されず、より正当な勝利を求めさせられる。日本における「情実」の強さは、「契約」の遥か彼方の上にあって、人を縛る鎖となる。
「情実」が強きことは、強者にしか許されず、強者は、相手が卑怯であっても、許容した上で勝たなければならない。
王道を求めることを、強要されるのは、日ノ本の在り方なのかも知れない。そのうえで、負けた相手を悲劇として、「判官びいき」でifを求める、それもまた日ノ本の在り方なのだ。
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