琉球お爺いの綺談

ｉｆ昭和史を描く理由

諸族協和は、日ノ本の在り様でもあります ～「プロジェクトＸ」のＸは|×《ばつ》なのです～

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　二人目の無地領主Landless Lordの登場は、大きく時代を変化させる流れとなる。
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　崩壊したロシア帝国と清帝国は、無地領主Landless Lordという立場を、世界に与えたのである。

　帝室とは、血筋であり、血統でもある。血筋と血統は、権威であって、権力ではない。権威を権力から切り離す、権威と権力の分断であった。

  国際連盟が、ロマノフ家に続き、愛新覚羅家について、無地領主Landless Lordとして認められたことで、愛新覚羅家善耆の娘、金璧輝川島芳子が、国際連盟事務局、副局長に就任することが認められた。

　日本がイギリス、イタリアからの資本提供を受けて、敷設を進めている斉斉哈爾から黒河へ繋ぎ、アムール川を渡って、シベリア鉄道へ接続する路線工事が行われた。イギリスが日本とアメリカからの資本を受けて、チタからハバロフスク、ハバロフスクからウラジオストクまでの複線化工事と共に、「特区」における鉄道網の拡充が図られていた。特に、ウラジオストクから哈爾濱を経由して、満洲里からザバイカル鉄道を抜けてチタへ至る鉄道は、極東ロシアが安定し、満洲里や大慶といった油田開発が進むにつれて、輸送量が急激に増加していった。夏は、ハバロフスクからアムール川を下って、ニコラエフスクから船で輸出され、冬は満洲里からウラジオストクに運ばれ、船に積み替えて輸出されたのである。

　満洲における生産量が増加するにつれて、膨大な石炭、石油、鉄鋼といった原材料が、「特区」の主要港である、営口、大連、ウラジオストク、ニコラエフスクから輸出されていった。初期には、コークスや灯油、ガソリン等が、「特区」の輸入品目であったが、ウラジオストクと大連に重化学工場が稼働するよになると、コークスや灯油、ガソリンを輸出できるようになったのである。

　「特区」における地下資源と物流は、ロマノフ家と愛新覚羅家の資産であり、土地については国際連盟の委任統治領であった。満洲については、日本，フランス，イタリアの委任統治地域であり、沿海州はアメリカが委任統治しており、アムール川沿岸はイギリスの統治地域であった。

　中華民国および極東ロシアから抗議があったが、アイグン条約と北京条約については、ロシア帝国と清帝国の間で締結された条約であり、中華民国および極東ロシアには、権利が無いと決議された。ソビエトからも、ドイツを介して抗議があったが、ソビエトは、国家として認められずという状況であったので、国際連盟の議題に上がることもなかった。

　「特区」という経済成長圏を抱えた、イギリス、日本、フランス、イタリアは、恐慌による被害を払拭して、好景気に転換していた。アメリカは、恐慌の結果として、国内の失業者も多く、「特区」だけでなく、山東省や河北省への進出が加速していった。

　蒙古への侵攻もあって、日本との関係が悪化していた。しかしながら、ウラジオストクとチタを結ぶシベリア鉄道の複線化工事や、「特区」の鉄道路線建設への労働力供与で２０万を沿海州へと移民させたのである。アメリカは、ドイツと共に、膠州湾から北京への鉄道建設、承徳油田開発、膠州湾へのパイプライン敷設という、巨大土木工事を大陸で進めたのである。移民の実現は、禁酒法に代表される、行き過ぎた教条的な政策、恐慌後の閉塞感から、アメリカ国内で歓迎されていた。

　しかしながら、アメリカのアメリカによる、アメリカ第一主義は、ドイツに浸透した人種優越主義と共に、徐々に大陸での軋轢を広げていったのである。