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if昭和史を描く理由
帝国陸海軍における課題、そして、犠牲にしたこと ~「プロジェクトX」のXは|×《ばつ》なのです~
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皆さんは、「プロジェクトX」というテレビ番組を知ってますか、中島みゆきさんの「地上の星」という歌が流れ、日本の技術が世界に誇るだけの力をもっていることを示した作品と言われています。しかしながら、これは間違いなのです、ドラマでしかありません。プロジェクトを推進する人間にとって、「プロジェクトX」は反面教師なのです。絶対にプロジェクトでやってはならないこと、プロジェクトを遂行するのにドラマは要りません。ドラマがあってはならないのです。
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プロジェクトマネージャーの中で、「プロジェクトX」のXは×なのです。
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昭和初期まで、日本の国力は、高くは無い、二等国並みの国力しかない。日清、日露と無い国力を遣り繰りして、戦争に勝つことと、大国との戦闘で勝てる戦力を整えることを要求された。
陸軍では、正面戦力の拡充が、必要であった。海軍では、大国の艦艇と正面から戦える戦闘力を、開発する必要があった。国産戦力として確保するために、凄まじいまでの努力をおこなったのが、富国強兵の流れであった。
日露戦争では、ロシア帝国に勝つために、軍の整備計画が立てられたのである。
帝国陸軍の整備は、歩兵用の銃火器や火砲における充実を図り、野戦火力の充実にも国力を裂く必要があった。
帝国海軍にしても、大国ロシアの艦隊を対象として、バルチック艦隊に勝てるだけの戦艦を計画し、建造する必要があった。
対露戦略構想計画は、国家予算としては、無理に無理を重ねたモノでもあった。正面戦闘能力の維持を優先するには予算が足りない、予算を確保するために削られたのは、戦闘継続能力であった。つまり、正面戦闘能力を確保することを優先するには、継続戦闘能力を犠牲にする必要があったのである。
日露戦争後、第一次世界大戦を迎えた。
第一次世界大戦の結果として、なんとか大国に入った日本は、大国としての立場から、正面戦力を整備する必要があった。つまりは、軍事技術が進展する中で、整備する予算を、確保しなければならないということである。海軍で、世界第三位となり、正面戦闘能力を維持することに、結果的には予算を必要としたのである。
つまり歴史の中で、日本は、明治から富国強兵を国是とせざるを得ず、それは第二次世界大戦になるまで変わらない、常に予算が不足する軍隊の整備・維持・運用を行わなければならなかったのである。
帝国陸軍の整備は、正面戦力を前提として、予算執行が偏っていた。結果として、維持に必要な予算は常に不足し、日常に必要とする予算は常に削減の対象とされていた。さらに、運用が必要とする、武器弾薬兵站については、予算が常に削減対象になった。
つまり、帝国陸軍は、正面装備予算が先行し、維持予算は不足し、運用予算は抽出しなければならなかった。運用予算を確保するには、維持予算が不足し、維持予算を確保しようとすると、正面装備予算が不足する。つまりは、どこかを犠牲にしなければ、予算が確保できないのが、帝国陸軍の実情であった。
帝国海軍も、陸軍と同様であった。正面戦力を維持することに、予算が偏って、維持予算は常に不足、運用予算も不足することが前提であった。これは、海軍の正面戦力を維持するのに必要とする予算自体が莫大であり、正面戦力の整備すら予算的に厳しかったのである。さらに、正面戦力はあっても、正面戦力を動かすための予算は厳しく、正面戦力を運用する兵站は乏しいに等しかったのである。
帝国陸海軍は、共通的な課題として、短期的な戦争であれば、一時的に世界最強ともいえる対応が可能であった。しかしながら、継続戦闘能力については、確保するだけの予算の無い軍隊でしかなかったのである。
昭和以降の歴史では、この戦力の偏りは、解消の見込みが立たない状況にあった。
帝国陸海軍は、世界最強の装備はあっても、日本の継続戦闘能力は、非常に厳しい状況であったのである。日本が、対米戦が発生した場合の戦略構想として、西太平洋での漸減作戦を基本としたのは、日本の継続戦闘能力が低いことが認識されていたからである。
第一次世界大戦時、ドイツの租借地であった、青島攻略戦を調べると理解できる。青島攻略するのに、帝国陸軍は、見事なまでの戦力集中と火力集中を成し遂げている。きちんと準備を行って、戦力を確保集中し、帝国陸軍史上で最も合理的な戦争を遂行した戦いを実行しています。帝国陸軍の官僚組織が、勝てる戦力を抽出し、勝つまでの期間を算出し、勝つための兵站を確保運用して、勝つべくして勝った戦争が、青島攻略戦となります。
困ったことに、青島攻略戦は、ドラマになりませんでした。少数で大軍を撃破する劇的な戦いで無かったし、犠牲を多くして必死に戦って勝ったのでもありません。つまらない戦いで、つまらない勝利を得たのです。
政府や軍としては、一時的な支出はともかくとして、最終的に低コストで終わった戦いであり、最も誇るべき戦果をえたのです。
海軍も同じであり、戦力を確保して整えて、南太平洋に出かけて行って、勝利して帰って来る。非常に効率よく、ドラマにならない戦いで、あっさりと南太平洋の島嶼を確保したのでした。
帝国陸海軍が腐りだすのは、戦いの結果として、最も良い結果をだしたはずの戦果に対して、国民も政府も、見合うだけの結果が出せなかったのです。
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プロジェクトマネージャーの中で、「プロジェクトX」のXは×なのです。
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昭和初期まで、日本の国力は、高くは無い、二等国並みの国力しかない。日清、日露と無い国力を遣り繰りして、戦争に勝つことと、大国との戦闘で勝てる戦力を整えることを要求された。
陸軍では、正面戦力の拡充が、必要であった。海軍では、大国の艦艇と正面から戦える戦闘力を、開発する必要があった。国産戦力として確保するために、凄まじいまでの努力をおこなったのが、富国強兵の流れであった。
日露戦争では、ロシア帝国に勝つために、軍の整備計画が立てられたのである。
帝国陸軍の整備は、歩兵用の銃火器や火砲における充実を図り、野戦火力の充実にも国力を裂く必要があった。
帝国海軍にしても、大国ロシアの艦隊を対象として、バルチック艦隊に勝てるだけの戦艦を計画し、建造する必要があった。
対露戦略構想計画は、国家予算としては、無理に無理を重ねたモノでもあった。正面戦闘能力の維持を優先するには予算が足りない、予算を確保するために削られたのは、戦闘継続能力であった。つまり、正面戦闘能力を確保することを優先するには、継続戦闘能力を犠牲にする必要があったのである。
日露戦争後、第一次世界大戦を迎えた。
第一次世界大戦の結果として、なんとか大国に入った日本は、大国としての立場から、正面戦力を整備する必要があった。つまりは、軍事技術が進展する中で、整備する予算を、確保しなければならないということである。海軍で、世界第三位となり、正面戦闘能力を維持することに、結果的には予算を必要としたのである。
つまり歴史の中で、日本は、明治から富国強兵を国是とせざるを得ず、それは第二次世界大戦になるまで変わらない、常に予算が不足する軍隊の整備・維持・運用を行わなければならなかったのである。
帝国陸軍の整備は、正面戦力を前提として、予算執行が偏っていた。結果として、維持に必要な予算は常に不足し、日常に必要とする予算は常に削減の対象とされていた。さらに、運用が必要とする、武器弾薬兵站については、予算が常に削減対象になった。
つまり、帝国陸軍は、正面装備予算が先行し、維持予算は不足し、運用予算は抽出しなければならなかった。運用予算を確保するには、維持予算が不足し、維持予算を確保しようとすると、正面装備予算が不足する。つまりは、どこかを犠牲にしなければ、予算が確保できないのが、帝国陸軍の実情であった。
帝国海軍も、陸軍と同様であった。正面戦力を維持することに、予算が偏って、維持予算は常に不足、運用予算も不足することが前提であった。これは、海軍の正面戦力を維持するのに必要とする予算自体が莫大であり、正面戦力の整備すら予算的に厳しかったのである。さらに、正面戦力はあっても、正面戦力を動かすための予算は厳しく、正面戦力を運用する兵站は乏しいに等しかったのである。
帝国陸海軍は、共通的な課題として、短期的な戦争であれば、一時的に世界最強ともいえる対応が可能であった。しかしながら、継続戦闘能力については、確保するだけの予算の無い軍隊でしかなかったのである。
昭和以降の歴史では、この戦力の偏りは、解消の見込みが立たない状況にあった。
帝国陸海軍は、世界最強の装備はあっても、日本の継続戦闘能力は、非常に厳しい状況であったのである。日本が、対米戦が発生した場合の戦略構想として、西太平洋での漸減作戦を基本としたのは、日本の継続戦闘能力が低いことが認識されていたからである。
第一次世界大戦時、ドイツの租借地であった、青島攻略戦を調べると理解できる。青島攻略するのに、帝国陸軍は、見事なまでの戦力集中と火力集中を成し遂げている。きちんと準備を行って、戦力を確保集中し、帝国陸軍史上で最も合理的な戦争を遂行した戦いを実行しています。帝国陸軍の官僚組織が、勝てる戦力を抽出し、勝つまでの期間を算出し、勝つための兵站を確保運用して、勝つべくして勝った戦争が、青島攻略戦となります。
困ったことに、青島攻略戦は、ドラマになりませんでした。少数で大軍を撃破する劇的な戦いで無かったし、犠牲を多くして必死に戦って勝ったのでもありません。つまらない戦いで、つまらない勝利を得たのです。
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海軍も同じであり、戦力を確保して整えて、南太平洋に出かけて行って、勝利して帰って来る。非常に効率よく、ドラマにならない戦いで、あっさりと南太平洋の島嶼を確保したのでした。
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